事業を始める時や、運営を継続するためには事業計画の策定が必須です。事業計画をしっかり立てないと、事業の開始はできません。さらに、運営の方向性が定まらず、事業に支障が出るリスクがあります。
ただ、何のために事業計画を立てるのか、どのように立てたら良いのかをすべて把握することは難しく感じるでしょう。
しかし、2021年の診療報酬改定で事業計画の策定が義務化され、すでに事業を運営している経営者も、事業計画を立てなければなりません。
今回の記事では、事業計画を立てる目的やメリット、書き方等の基本をお伝えします。
目次
1事業計画書の目的
1-1自治体から指定事業所の認定を受けるため
1-2金融機関や資金提供者から融資を受けるため
2事業計画書を作るメリット
3訪問看護での事業継続計画の義務化
4訪問看護開業時の事業計画書の書き方
4-1経営方針・理念
4-2事業内容
4-3収支・資金に関する計画
5訪問看護開業時の事業計画書を書く際の注意点
5-1計画内容について根拠をもって具体的に記載する
5-2今後の予測をどれだけ具体的に想定しているか
6まとめ
事業計画書の目的
事業計画はビジネスモデルともいいます。事業計画書とは、事業を健全に運営していくために、どのような方法で行っていくのか具体的に明記されています。
事業所を運営するには理念や目標が必須です。それらを達成するための、具体的な方法を考えなければなりません。
設備や資金、人員、運営方針など事細かに明記することで、運営が健全であるかどうかを判断する指標になります。
他にも事業計画書を作成する目的が2つあるので、説明します。
自治体から指定事業所の認定を受けるため
訪問看護ステーションを立ち上げる際には、指定事業所の認定を受けなければなりません。指定事業所として認められなければ、介護保険報酬を得られないためです。
指定事業所になるために、多くの申請書類を提出しますが、その中に事業計画書も含まれます。適正な事業計画書でなければ、継続した運営は不可能と判断され、指定事業所として認められません。
指定事業所でなければ介護保険を用いたサービス提供ができないので、しっかりとした事業計画が必要です。
金融機関や資金提供者から融資を受けるため
特に開業時は資金調達のために、融資を受ける必要が多いです。
融資を受けるということは、将来、借りたお金を返済しなければなりません。金融機関や資金提供者は、将来性がない、事業継続が困難である事業所にはお金を貸さないでしょう。
資金を調達できなければ、事業の開始や継続が困難になります。融資を受けるために、事業計画書には事業の継続可能性が見込めると判断できる内容を示すことが必要です。
事業計画書を作るメリット
事業計画書を作ることでメリットもあるのです。
理念や将来像、そこに到達するまでの方法を可視化できるようになります。可視化することで、事業者の描いている方針を整理できます。
また、他のスタッフと共有することが可能です。事業を運営するためには、事業者の考えをスタッフが理解しておく必要があります。
訪問看護での事業継続計画の義務化
令和3年の介護報酬の改定において、事業継続計画の策定が義務化されました。
第三条の三十の二 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、感染症や非常災害の発生時において、利用者に対する指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(以下「業務継続計画」という。)を策定し、当該業務継続計画に従い必要な措置を講じなければならない。
引用元)厚生労働省「厚生労働省令第九号」
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000753779.pdf事業継続計画とは、感染症や災害が起きた際もその事業を継続して運営していくための計画です。BCP(Business Continuity Plan)ともいいます。
事業運営では、普段の通常の業務を行いながら、有事に備えることが大切です。有事の際に、事業をいかにして継続していくかを検討し、計画策定をします。
訪問看護は利用者にとって重要なサービスです。そのため、感染症や災害によってサービス提供が中止されることは、可能な限り避けなくてはなりません。また、万が一サービス提供を中止せざるを得ない状況になっても、早期にサービス再開できることが重要です。
現実的な事業継続のために、具体的な実現可能な計画をしっかり立てましょう。そして、立案した計画はスタッフ間での共有や定期的な見直しが必要です。
また、事業体制は変化することがあるため、それに合った事業計画となるよう更新していきましょう。
訪問看護開業時の事業計画書の書き方
ここでは、訪問看護を開業する際に作成する事業計画書に書くべき内容について説明します。
経営方針・理念
まずは事業所の経営方針や理念について、読み手に伝わるように明記しましょう。どのような考えをもって訪問看護サービスを提供するのか、指定を受けるためには大切です。
また、居宅介護支援事業所や病院、利用者やその家族は関心を持っています。開業時に明確にしておくことで、利用者確保にもつながります。
事業内容
事業内容も具体的記載する必要があります。提供する訪問看護サービスの種類、例えば、精神科看護や小児看護も受け入れ可能なのか明示しましょう。
また、営業時間、土日祝日の稼働の有無、24時間体制をとるのかも重要です。そして、それらの体制をとれる人員の確保が可能なのかも、しっかりチェックしておきましょう。
自分の事業所ならではの強みやメリットも盛り込みます。他の事業所と違う点を主張することで、居宅介護支援事業所等の目にとまりやすくなります。
収支・資金に関する計画
事業を開始するにあたり、どのくらいのお金が必要になるのか綿密に計画を立てなくてはなりません。建物や必要物品等にかかる費用や人件費などを検討します。また、自動車で訪問を行う予定の場合は、自動車の購入費用、諸経費、維持費等も必要です。
BCPの観点からも、感染対策や、災害時に必要となる物品もしっかり揃えましょう。
そして、注意しなければならないのは、実際にサービスを提供してから報酬が支払われるまでに時間がかかるという点です。サービスを提供後、翌月にレセプト計算するため、収入が発生するのは翌月以降になります。そのため、最初のうちは利用者も少ないことや、収入が遅れて入ってくることを念頭に置きましょう。
また、質の高いサービスを提供するために、スタッフは多くの研修会に参加することが望ましいです。研修会に関する費用も、支出の予定に含めておきましょう。
資金計画については、融資を受けるためにも現実的で具体的な計画が求められます。支出項目を細かく列挙し、事業開始後は収入がほとんど見込めないことを見越した計画を立てることが重要です。
訪問看護開業時の事業計画書を書く際の注意点
事業計画書を書く際の注意点を説明します。
計画内容について根拠をもって具体的に記載する
事業計画を具体的に伝えられなければ、指定事業所としての認定や融資を受けることは際極めて難しいです。計画書を読んだ時に、読んだ人が想像できるくらい具体的に、分かりやすく書きましょう。
また、具体的でも根拠がなければ意味がありません。整合性がとれており、根拠を示しながら計画を立案することが大切です。
気をつけなければならないのは、細かく具体的に盛り込みすぎてしまい、書類が膨大になってしまうことです。分かりやすく提示できるよう、注意しましょう。
今後の予測をどれだけ具体的に想定しているか
計画書の中には、開業後の見込みについても記載する必要があります。
開業後の展望をどれだけ具体的に予測しているか、経営者としての手腕が問われます。立案した計画で事業を進めると、どのような方向で運営していけそうか考えておきましょう。
また、事業開始後の想定できるリスクや課題についてもしっかりと検討することが必要です。様々なリスクや課題を想定しておくことで、リスクマネジメントにつながります。
まとめ
今回の記事では、訪問看護における事業計画書の目的やメリット等をお伝えしました。
事業計画書は指定介護事業所としての認定を受けることや、金融機関などから融資を受けるために重要です。
また、感染症蔓延や災害時、有事の際にも、事業を継続したり、一時的にサービス提供を中止しても早期に再開したりするために、事業継続計画を策定しておくことが必要になります。
有事の際に停電や断水等インフラが破綻した際も、インターネットが使える状況であればICTを活用して事業を継続することが可能です。
訪問看護専用電子カルテiBowは、クラウドサービスのためインターネット環境があれば、利用者情報などのデータ復旧が可能です。また、他のスタッフとリアルタイムで情報共有ができるため、ステーションに集合しなくてもスムーズにサービス提供することができます。
iBowを利用することで、継続的な事業運営につながるでしょう。詳しくはこちらの記事をご覧ください。(
https://ewellibow.jp/useful/information_20210928/)