医療の現場では、病院医療から在宅医療へシフトする動きが活発になってきています。そのため、在宅看護分野の看護師の増加が求められているのが現状です。
訪問看護の分野でも、訪問看護師を確保するための活動が多くなされています。訪問看護アクションプラン2025においても新卒看護師の確保が謳われているのをご存じの方もいるでしょう。
今後、新人看護師を含め、訪問看護が未経験の看護師が増えていくことが予想されます。訪問看護未経験者が、訪問看護師として活躍できるためにどのような研修カリキュラムが必要なのでしょうか。
今回の記事では訪問看護における研修カリキュラムについて説明します。
目次
1研修の目的から考える
2新人スタッフ研修はいつの時期、どれくらいの期間で実施すべき?
3新人研修のカリキュラムを作る時のポイント
4カリキュラムによく取り入れられている新人スタッフ研修内容の具体例
5iBowを活用すればICTスキルの研修も簡単
6まとめ
研修の目的から考える
まずは、何のために研修を実施するのか、目的を考える必要があります。仕事を覚えてもらうことはもちろんですが、中長期的に見た時に、ステーションにとってどのような人材となって欲しいかも考えると良いでしょう。
新卒であれば、社会人としての接遇から始まり、看護技術の習得も必要です。看護師経験があり、ある程度の看護技術を身に着けているスタッフの場合は、病院看護と訪問看護の違いを学ぶことを中心に研修を計画していく必要があります。
また、将来、後輩育成ができるようになることや、管理職をフォローできるようになること等、スタッフ個人だけではなく、ステーション全体を見ながら考えましょう。
新人スタッフ研修はいつの時期、どれくらいの期間で実施すべき?
新人研修は、入職直後から始まります。新人スタッフの数が多いステーションでは、集合研修としてオリエンテーションを含めたステーションの概要についての指導を行います。
その後は、各新人スタッフの能力に合わせて進めていきます。また、数か月毎に振り返りやケーススタディなど、集合研修を実施することで個人の学びがさらに効果的になるでしょう。
研修期間は概ね1年程度を見込むステーションが多いです。入職が4月であれば、1年後にはまた新人が入ってきます。すると、その新人教育が始まるため、2年目のスタッフまで手が回らなくなる恐れがあります。
長期的にステーション全体でスタッフを育成することが重要ですが、新人研修の目途は1年程度と考えておくのが良いでしょう。
新人研修のカリキュラムを作る時のポイント
カリキュラムを作る時に重要なことは、目的です。何のために研修を行うのか、新人スタッフにどのようになって欲しいのかをしっかり考えましょう。
そして、その目的を新人スタッフ本人に理解してもらうことも大切です。研修の目的を理解できていない状態で実施しても十分な効果は得られ難いです。研修の目的とゴールはどこにあるのか、実施する側も、受ける側もしっかり認識しましょう。
また、新人スタッフは段階を経て成長していきます。いきなり様々な研修を実施すると、新人スタッフが混乱してしまう可能性があります。
まずは、社会人としてのビジネスマナーや接遇を身に着けることから始め、少しずつ利用者と関わる場を設けると良いでしょう。最初は意思疎通が問題なくとれる利用者と関わり、安心して関われるようになってから、少しずつ難易度を上げていきます。
このようにステップアップしていく形で、研修カリキュラムを組むと新人が研修スピードに着いていきやすくなります。
さらに、ステーション運営のための目的意識も共有しておく必要があります。チームビルディング研修を用いて、ステーションの理念や方針等を学び、ステーション全体が一つのチームとなって進んでいくことを学ぶ機会を設けましょう。
クリニカルラダーを用いたスタッフ育成カリキュラムも効果的です。日本看護協会が訪問看護ステーション向けのクリニカルラダーの実践例を作っています。スタッフのレベルがどの位置にあるかを把握し、そのレベルの目標や、目標を達成するための行動目標等を一緒に確認しながら進めていくと良いでしょう。
詳しくは日本看護協会のホームページをご覧ください(
https://www.nurse.or.jp/nursing/education/jissen/ladder/pdf/jissen_homon.pdf)。
カリキュラムによく取り入れられている新人スタッフ研修内容の具体例
新人研修にはOJT研修がよく用いられています。OJTとは「On the Job Training」の略で、現場で実践を積みながらスキルを上げていく方法です。
看護の分野では、実践による学びが大きい部分が多く、訪問看護の現場でも同様のことがいえるでしょう。講義形式の研修も大事ですが、講義で学んだことを実際の現場で経験することで、より研修の効果が得られます。
訪問看護では、先輩看護師の訪問に着いていく、同行訪問という形が取られます。利用者宅が看護の現場となる訪問看護は、同行訪問がOJTとして必須です。
同行訪問し、まずは利用者との関わりや利用者宅に訪問する際のマナーを実践していきます。そして、自らの目で確かめた利用者の居住環境や、関わりの中で得られた情報からアセスメントし、利用者に必要な看護を考えます。
また、看護技術においても実践での学びが大きいのが現状です。自己学習し、同行訪問の際にまずは先輩スタッフの手技を見学、指導を受けながら実施、見守りの下で実施、一人立ちという流れで行うのが良いでしょう。
同行訪問した後は、忘れずに振り返りの時間を作りましょう。多忙な業務の中、時間の確保が難しいかもしれませんが、振り返ることで学びがさらに深まります。学びが深まると、次の実践の場で活かしやすくなります。振り返りは必ず行ってください。
振り返りは反省点だけでなく、できたことも話題にあげるようにしましょう。できなかったことばかりに目が向いてしまいますが、できたことをフィードバックすることで、新人スタッフのモチベーションの上昇につながります。
電子カルテを活用しているステーションでは、その使い方の研修も必要です。ICTスキルを上げることで、電子カルテの活用方法だけでなく、利用者の情報収集が可能となり、その情報からアセスメントしたり、疾患の学習につなげたりできます。
また、公益財団法人日本訪問看護財団が実施しているeラーニングも便利です。訪問看護人材養成基礎カリキュラムに準拠しており、新人の教育に活用できます。職場や自宅のパソコンで好きな時間に学ぶことができるのは大きなメリットです。
詳しくは公益財団法人日本訪問看護財団のホームページ(
https://www.jvnf.or.jp/e-learning/)をご覧ください。
iBowを活用すればICTスキルの研修も簡単
iBowを活用するとICTスキルに関する研修をいつでも受講できます。iBowは訪問看護専用電子カルテで、見やすい画面、操作も比較的簡単です。
操作方法に関して、いつでも見られるオンライン研修が準備されているため、研修時間がなかなか取れない時もお勧めです。ぜひご検討ください。
詳しくは訪問看護専用電子カルテiBowのホームページ(
https://ewellibow.jp/useful/information_20211115/#m3)をご覧ください。
まとめ
今回の記事では、訪問看護における新人スタッフの研修についてお伝えしました。
今後、訪問看護スタッフが増える中で、しっかりとした研修カリキュラムを作っていくことが重要です。新人スタッフや、ステーション全体の成長のためにも、ぜひ効果的な研修体制を整えるようにしましょう。