健康診断の実施は、事業者に対し法律で義務付けられています。
訪問看護ステーションの管理者・経営者にももちろん、スタッフへ健康診断を受けさせる義務が発生します。
今回は、健康診断の種類や対象者、健康診断後の注意点について解説します。
1健康診断とは
2健康診断の種類
2-1一般健康診断とは
2-2特殊健康診断とは
3健康診断を受けられる従業員の条件
4ステーションでの健康診断について
5健康診断後の注意点
5-1 結果をスタッフに通知する
5-2 健康診断個人票を5年間保存する
5-3 異常所見が認められた場合は医師に指示を仰ぐ
5-4 必要な人には保健指導を行う
5-5 健康経営の視点をもつ
6まとめ
健康診断とは
健康診断とは、生活習慣病などさまざまな病気の早期発見・早期治療や病気そのものの発生を予防する目的で行われる、身体検査のことです。
検査の項目には、血圧、尿検査、胸部X線検査、視力検査、腹囲、身長、体重、血液検査等があります。
健康診断の種類
健康診断には大きく分けて「一般健康診断」「特殊健康診断」の2種類があります。
一般健康診断とは
一般健康診断には「定期健康診断」「雇入時の健康診断」「特定業務従事者の健康診断」「海外派遣労働者への健康診断」「休職従業員の検便」の5種類があります。
訪問看護ステーションに関連するのは「定期健康診断」と「雇入時の健康診断」ですので、順に解説していきます。
定期健康診断は、労働安全衛生法66条において「常時使用する労働者」に対して1年に一度の実施が義務付けられています。
また、雇入時の健康診断は、管理者が「常時使用する労働者」を雇い入れる時に実施が義務付けられている健康診断です。
検査項目は定期健康診断も雇入時の健康診断も同じで、以下のとおりです。
・既往歴及び業務歴の調査
・自覚症状、他覚症状の有無の検査
・身長
・体重
・腹囲
・視力及び聴力の検査
・胸部X線検査
・血圧の検査
・血液検査(貧血、肝機能、血中脂質、血糖)
・尿検査
・心電図検査
特殊健康診断とは
特殊健康診断は、屋内作業場等における有機溶剤業務に常時従事する労働者や鉛業務に常時従事する労働者等に対して行う健康診断ですが、訪問看護業務の場合は該当しないことがほとんどでしょう。
健康診断を受けられる従業員の条件
定期健康診断と雇入時の健康診断の対象者は、「常時使用する労働者」です。「常時使用する労働者」とは、下記の2つの要件を満たす人をいいます。
・期間の定めのない労働契約を交わしている者
・1週間の労働時間数が同種の業務に従事する正社員の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること
正規職員は1年に一度定期健康診断を受ける義務がありますが、「パートタイマー」「アルバイト」などの非正規雇用であっても、1週間の労働時間が正規職員の3/4以上となる場合には定期健康診断を受ける必要があるということです。
訪問看護ステーションにおいては、さまざまな雇用形態のスタッフが存在していることが考えられるため、経営者は各スタッフの労働時間を正確に把握し、該当者が必ず健康診断を受けられるように調整する必要があります。
勤務時間が正規職員の3/4を下回る場合は経営者が従業員に健康診断を受けさせる義務は発生しませんが、スタッフの健康管理の観点からは健診を受けるよう呼びかけることが望ましいといえるでしょう。
ステーションでの健康診断について
訪問看護ステーションでは、ステーションの経営者がスタッフに対して健康診断を実施する義務と責任があります。
また、ステーションにおける健康診断実施の義務に関しては、「実地指導の指摘要項」にも記載されています。
「実地指導の指摘要項」とは、「指定基準を満たして事業を運営しているか」「報酬を適切に算定・請求しているか」など、ステーションの管理が適切に行われているかどうかを都道府県や市区町村が調査する際に使用するものです。
訪問看護ステーションには、必ず自治体からの実地指導が入りますので、健康診断は必ず実施しましょう。
健康診断に係る費用はもちろんすべてステーションの経営者側の負担となります。
健康診断を受けている間の賃金に関しては、厚生労働省の基準によると「受診に要した時間の賃金は労使協議により定めるもの」とされていますが、スタッフに受診をスムーズに促すためにも、事業者が賃金を支払うことが望ましいでしょう。
健康診断後の注意点
ステーション経営者は従業員に健康診断を受けさせるだけではなく、その結果をスタッフの健康管理に活かしていく必要があります。
結果をスタッフに通知する
スタッフ自らが適切な健康管理を行えるよう、健康診断の結果はスタッフにフィードバックする必要があります。
健康診断個人票を5年間保存する
健康診断後は「健康診断個人票」を作成し、最低でも5年間は保存しなければならないことが義務付けられています。
また従業員数が50人を超える場合には、定期健康診断後に所轄の労働基準監督署長に結果報告書を提出する義務も生じます。
異常所見が認められた場合は医師に指示を仰ぐ
健康診断において異常所見が認められた場合には、健康保持のために必要な措置について医師に指示を仰ぐ必要があります。
医師により就業場所の変更や業務内容の変更、労働時間の短縮などが命じられた場合は、それに従わなければなりません。
必要な人には保健指導を行う
健康診断の結果、保健指導を要するスタッフがいれば、医師や保健師による保健指導を実施する必要がありま
す。
健康経営の視点をもつ
最近は「健康経営」という考え方が浸透しつつあります。
健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え実践することです。これは、管理者・経営者ともが健康管理を積極的に行うことで、職場の活力や生産性の向上などに繋がるという考え方です。
訪問看護ステーションにおいても、「健康経営」の概念を大切にしたいものです。
スタッフの健康が維持・増進されれば、結果的に利用者への看護サービスの向上に繋がり、訪問看護ステーションとしてさらなる発展を遂げることができるでしょう。
まとめ
今回は、訪問看護ステーションにおける健康診断について解説しました。
ステーションの経営者は、「常時使用する労働者」に対して1年に一度の頻度で健康診断を受けさせる必要があることが、法律と実地指導指摘要綱によって定められています。
訪問看護専用電子カルテシステム『iBow』では、実地指導に関するセミナーが開催されています。
実地指導指摘要綱には、健康診断の実施だけでなく管理者がステーションの運営を適切に行うために必要な事項が多数組み込まれていますので、管理者・経営者はぜひこの機会にセミナーを受けてみてはいかがでしょうか。