令和3年の介護報酬改定において、同一建物等減算について一部改定が行われました。
今回は、訪問看護における同一建物等減算について解説します。
目次
1同一建物等減算(集合住宅減算とは)
2訪問看護は同一建物等減算の対象になる?
3同一建物等減算の種類と単位数、算定条件
3-1同一敷地内建物等で1月あたりの利用者が50人以下の居住の場合
3-2同一敷地内建物等で1月あたりの利用者が50人以上居住する場合
3-3同一敷地内建物等以外の同一建物で、1月あたりの利用者が20人以上居住する場合
4同一建物訪問のQ&A
5同一建物等減算には『iBow』
6まとめ
同一建物等減算(集合住宅減算とは)
同一建物等減算は、訪問看護ステーションと同一敷地内の建物や利用者が多い集合住宅等において、訪問看護師の移動時間が短縮化され、効率的なサービスの提供が可能であることを適正に評価する目的で作られた減算制度です。
“同一建物等”の定義は、「事業所と同一敷地建物等、又は隣接する敷地内に所在する建物」あるいは「同一敷地内建物等以外の建物で、1月あたり20人以上の利用者が居住する集合住宅等」です。
参考)厚生労働省「訪問介護及び訪問入浴介護(参考資料)」
https://www.mhlw.go.jp/介護保険制度では「減算」して算定しますが、医療保険制度の場合は「同一建物居住者に対する基本療養費」として算定します。
今回の記事では、介護保険制度における同一建物減算について解説していきます。
訪問看護は同一建物等減算の対象になる?
訪問看護ももちろん、同一建物減算の対象です。
同一建物等減算の対象となるサービスは以下の通りです。
・訪問介護
・(介護予防)訪問入浴介護
・(介護予防)訪問看護
・(介護予防)訪問リハビリテーション
・通所介護
・(介護予防)通所リハビリテーション
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・夜間対応型訪問介護
・地域密着型通所介護
・(介護予防)認知症対応型通所介護
同一建物減算等の種類と単位数、算定要件
同一建物減算の種類・算定要件は以下の通りです。
・同一敷地内建物等以外の建物で、1月あたり20人以上の利用者が居住する集合住宅等に居住する利用者に訪問看護サービスを提供している
・訪問看護ステーションと同一敷地内等に居住する利用者に訪問看護サービスを提供している(利用者が1月あたり50人以上となる場合は減算率が異なる)
種類によって減算率・単位数が異なりますので順に解説していきます。
同一敷地内建物等で1月あたりの利用者が50人以下の居住の場合
同一敷地内建物等で1月あたりの利用者が50人以下の居住の場合は、10%の減算となり、単位数は×90/100となります。
同一敷地内建物等で1月あたりの利用者が50人以上居住する場合
同一敷地内建物等で1月あたりの利用者が50人以上の居住の場合は、15%の減算となり、単位数は×85/100となります。
より効率的な訪問看護サービスの提供が可能であることを鑑みて、上記のように定められています。
同一敷地内建物等以外の同一建物で、1月あたりの利用者が20人以上居住する場合
同一敷地内建物等以外の同一建物で1月あたりの利用者が20人以上居住する場合には、10%の減算となり、単位数は×90/100となります。
同一建物訪問のQ&A
同一建物訪問におけるQ&Aをいくつか解説していきます。
緊急訪問したことで、その日の同一建物居住者への訪問が3人となった場合、3人とも訪問看護基本療養費(Ⅱ)の(2)を算定することになるか?
この場合、3人とも訪問看護基本療養費(Ⅱ)の(2)を算定することにはなりません。
緊急に訪問した場合は、同一日の訪問や計画訪問に対する訪問看護基本療養費の算定に影響を及ぼしません。
例えば、同一日同一建物居住者への計画訪問が2人で、緊急訪問が1人だった場合には、計画訪問の2人は訪問看護基本療養費(Ⅱ)の(1)を算定し、緊急訪問の1人は訪問看護基本療養費(Ⅰ)を算定します。
『令和3年版 訪問看護実務相談Q&A』(2021年、一般社団法人全国訪問看護事業協会編集)273ページ 参照
医療保険における同一建物となる建物には、マンションなどの集合住宅や一戸建ての住宅も含まれるのですか?
マンションなどの集合住宅や一戸建ての住宅も含まれます。
マンションなどの集合住宅や一戸建ての住宅も同一建物と見なして考えます。
『訪問看護お悩み相談室 令和3年版』(2021年、中央法規出版刊)99ページ参照
同一建物に同日、医療保険で2名に介入し、精神科訪問看護で1名介入した場合、減算対象となるのですか?
同一建物に居住する利用者を同一日に訪問した場合は、訪問看護基本療養費を算定する利用者数と精神科訪問看護基本療養費を算定する利用者数を合算してカウントを行います。
このため、同一建物に同日、医療保険で2名に介入し、精神科訪問看護で1名に介入した場合は、同一日3人として減算対象となります。
『令和3年4月版 介護保険・医療保険 訪問看護業務の手引』(2021年、社会保険研究所)111,115,116ページ 参照
同一建物等減算には『iBow』
訪問看護専用電子カルテシステム『iBow』では、「同一建物情報登録」にて対象建物の情報登録を行うことができます。
そのため、介護保険の利用者は訪問ごとに減算が自動で適用されます。
医療保険の利用者の場合、看護記録書Ⅱの作成画面上にて、加算項目内で「同一日同一建物2人」、「同一日同一建物3人以上」が表示されるため、同一日に対象建物に訪問する利用者数に応じて選択してください。
まとめ
今回は、同一建物等減算について解説しました。
同一建物等減算は、訪問看護ステーションと同一敷地内の建物や、それ以外の同一建物において月の利用者が20人以上となる場合に、効率的なサービス提供が行えることを踏まえて設けられた減算制度です。
訪問看護におけるレセプト業務は複雑なものも多く時間や手間を割かれてしまいますが、訪問看護専用電子カルテシステム『iBow』を使うことで業務の効率化を図ることができます。
同一建物等減算においても、『iBow』を利用して建物情報を登録しておくとレセプト業務が簡単にできますので、ぜひ利用してみてください。