利用者を看護する上でもっとも基礎となる観察の一つが、バイタルサインです。バイタルサインはバイタルと省略されることが多々あります。
正しい数値を把握することはもちろん、利用者の普段のバイタルサインを把握しておくことで利用者の変化に早期に気づくことができ、状態の悪化を未然に防ぐこともできます。
しかし、普段なにげなく測定しているバイタルサインを本当に正しく把握できているのか、改めて確認する機会はなかなかありません。ここで一度振り返ることでいざという時のフィジカルアセスメントにも役立つでしょう。
目次
1バイタルサインとは
2バイタルの測定方法
2-1呼吸
2-2体温
2-3血圧
2-4脈拍
2-5意識レベル
2-6尿量
3測定時の注意点
4簡単に時系列を把握する方法
5まとめ
バイタルサインとは
バイタルサインとは日本語で「バイタル=生命」「サイン=兆候」と訳し、直訳すると生命の兆候を意味します。つまり、バイタルサインとは人間が生きる上で重要な生命活動の指標となります。
バイタルサインには「呼吸」「体温」「血圧」「脈拍」「意識レベル」などの項目があり、この5つに加え、病院では「尿量」もバイタルサインに含まれます。
また、バイタルサインの測定は正しい数値を把握し、フィジカルアセスメントに繋げる目的があります。
バイタルの測定方法
正しくバイタルを測定することで正しいデータを得ることができます。また、ただ測定するだけではなく、バイタルが基準値と比較して逸脱していないかや普段と違う点がないかを把握することが大切になります。
普段のバイタルを把握しておくことで状態の変化に早期に気づくことができ、早い段階での対応が可能となるほか、状態の悪化を防ぐことにも繋がります。基準となる数値や測定方法について説明します。
呼吸
呼吸回数の正常値は16~20回/分が1つの目安として考えられます。測定の際、測定することを利用者に伝えると利用者が意識してしまい、正確な呼吸回数を測定することが難しくなる可能性があります。脈拍の測定時に同時に測定すると自然な呼吸回数が把握できるでしょう。
呼吸回数は「吸って吐く」を1回とし胸部や腹部の動きを見ながら1分間測定します。また、動作後や呼吸が乱れている時には一旦安静にしてもらい落ち着いてから測定するようにしましょう。
呼吸の仕方についてについても注意が必要です。正常時には呼吸の際、異常音(ゼーゼー、ヒューヒューなど)は聞こえません。しかし、呼吸状態の悪い利用者の場合痰が絡んだような呼吸音や、呼吸音の左右差が生じたりします。
経時的に状態を把握するため、聞こえた音や呼吸状態は記録にしっかりと残しましょう。
また、酸素の循環状態を観察するための指標としてSpO2も重要な観察指標となります。SpO2は血中にどれだけ酸素が含まれているかを示す数値です。数値が95%以下の場合呼吸不全の可能性があるので注意が必要となります。
この測定は、パルスオキシメーターという機械を指先に装着し、数値を確認することで行えます。注意点として、あまりにも指先が冷えていると数値がでにくくなりますので、その場合手を温めたり違う指で測定したりするといいでしょう。
体温
平均的は体温は36~37℃とされています。しかし、体温には個人差があり早朝と夕方で誤差が出やすいため、測定する際はできるだけ毎回同じ時間に測定するのがベストです。
体温測定にはおでこなどの皮膚表面で測定する表面体温と、口腔内や脇の下で測定する口腔温・腋渦窩温、肛門から測定器を差し込んで測定を行う深部体温の3種類があります。一般的に測定方法として使用されるのは表面体温か口腔温、腋渦窩温になります。
今回は一般的に使用される脇の下での測定方法について説明します。まず、体温計は45°くらいの角度から脇中央深くに向かって差し込みます。脇は深部にいくほど正確な体温を測定することが可能です。
差し込めたら、体温計の先端が中央深部に密着するよう押さえましょう。測定終了音が鳴ったら取り出し、測定終了となります。
血圧
血圧とは心臓が血液を巡る際に血管壁にかかる圧力のことをいいます。具体的には1回拍出量×末梢血管抵抗の値です。血圧を測定することで、心機能の異常や全身血液量の異常を調べることができます。
特に高齢者の場合血圧の高い人も多く、脳卒中や心筋梗塞のリスクがあります。中には疾患によって高血圧の薬を内服している人もいるので、利用者の既往歴や内服薬なども把握しておくといいでしょう。
診察室で測定すると緊張などから普段の血圧より高めとなってしまう場合があるため、血圧の指標には診察室血圧と家庭血圧の2種類があります。
診察室血圧は収縮期血圧(高血圧)140mmHg以上かつ/または拡張期血圧(最低血圧)90mmHg以上を高血圧といいます。一方の家庭血圧では、収縮期血圧(最高血圧)135mmHg以上かつ/または拡張期血圧(最低血圧)85mmHg以上を高血圧といいます。
参考)日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」
https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019_gen.pdf血圧の測定を行う際は腕を心臓と同じ高さに置き、肘を曲げないようにします。次にマンシェットを巻き、普段の利用者の血圧より20mmHg程度多めに加圧し測定を行います。透析や過去の手術の影響により上肢で測定ができない場合は大腿部か下腿部で測定を行います。
測定する部位で数値に誤差が出てしまいがちであるため、上肢で測定できない利用者の場合はどの部位で測定するかスタッフ間で情報を共有しておくといいでしょう。
脈拍
脈拍は血圧と同様、血液循環を把握するための指標となります。正常値は65~85回/分とされています。
測定のポイントとして、1分間の脈拍数を測定する際、回数だけでなく脈のリズムが一定かどうかも確認することが重要です。不整脈の場合脈のリズムが乱れていることがあります。脈拍は正常値の他に頻脈と徐脈に分類することができ、 100回/分以上を頻脈、50回/分以下を徐脈といいます。
測定では血圧が60mmHg以上の場合、橈骨動脈で測定するのが一般的です。逆に橈骨動脈が触知できない場合かなりの低血圧である可能性があり、利用者の状態をよく観察し場合によっては救急要請も必要となります。
測定方法は人差し指、中指、薬指の3本の指の腹で橈骨動脈に触れ1分間測定するというものになります。
意識レベル
意識レベルの評価にはJCSまたはGCSのどちらかが使用されます。正常な場合、JCS=0、GCS=15となります。JCSの場合短時間で簡単に評価することができるためおすすめの評価方法となります。
評価の分類は9段階あり、大きくは「刺激しないでも覚醒している状態」「刺激すると覚醒する状態」「刺激しても覚醒しない状態」に別れます。
刺激しないでも覚醒している状態で意識清明の場合が0、意識清明ではないが見当識がある状態が1、見当識状態がある状態が2、自分の名前、生年月日が言えない状態が3となります。
次に刺激すると覚醒する状態で呼びかけに開眼する場合を10、大きな声や揺さぶりで開眼する状態を20、痛み刺激に対し開眼する状態を30と表します。
最後に刺激しても覚醒しない状態で痛み刺激で払いのける動作をする場合を100、痛み刺激で顔をしかめる状態を200、まったく反応がない状態を300と表します。
尿量
尿量の把握は腎機能や心不全などの指標となります。尿量の正常値は1000~2000ml/日です。また、尿量だけでなく性状も観察しましょう。赤くなっている場合血尿の可能性があります。
訪問看護の場合、膀胱留置カテーテルのある利用者だと尿量の把握も可能となります。家族にも1日の尿量を記録してもらうよう指導すると、訪問看護がない時の尿量もわかるので変化に気づきやすくなります。
測定時の注意点
測定時にはまず安静な状態で行うことが大切です。動いた後や呼吸が乱れていると数値に変化が生じてしまいます。また、毎回同じ測定部位、測定方法で行うことで誤差を最小限に抑えることができます。
また、測定では正常値に目が行きがちですが、重要なのは利用者の普段の数値です。そのため経時的な利用者のバイタル把握はとても大切になります。
簡単に時系列を把握する方法
利用者の普段のバイタルを把握するためにおすすめなのが『iBow』の活用です。『iBow』を活用すればバイタルをグラフでみることができ、利用者の状態を時系列で把握することが可能となります。
また、情報を印刷したり、多職種にデータとして転送したりすることもできるのでタイムラグのない情報共有ができます。
利用者の状態はちょっとしたことで変化します。そのため経時的な状態の把握は変化の早期発見に非常に重要です。『iBow』を利用することで利用者の状態変化を早期に発見しやすくなり悪化の防止にも繋がります。
まとめ
バイタルサインは生命の兆候と言われるほど重要な指標です。
バイタルの正しい数値の把握だけでなく、利用者一人一人の数値を経時的に把握することで正確にフィジカルアセスメントを行うことが可能となり、異常の早期発見や悪化の予防に繋がります。
『iBow』を利用すれば経時的な状態の変化を把握しやすくなり、情報を整理しやすくなります。他にも『iBow』には様々な便利機能があります。データ管理でお困りの方は、ぜひ『iBow』を検討してみて下さい。