さまざまな原因で排尿が困難となった場合に使われる「膀胱留置カテーテル」。もちろん在宅医療の現場でも使われています。
今回は、訪問看護における膀胱留置カテーテル管理のポイントを解説します。
目次
1膀胱留置カテーテルとは
2膀胱留置カテーテルの適応について
2-1絶対的適応:萎縮膀胱
2-2準絶対的適応:残尿・尿閉があり自己導尿が困難である場合
2-3相対的適応:夜間排尿・尿失禁
3訪問看護での注意点
3-1感染予防をおこなう
3-2事故抜去に注意する
3-3皮膚ケアをおこなう
3-42週間に1回はカテーテルの入れ替えをおこなう
3-5本人・家族への指導をおこなう
4まとめ
膀胱留置カテーテルとは
膀胱留置カテーテルとは、何らかの理由で排尿が困難になってしまった際や尿量を正確に測定する必要がある際に尿道から膀胱へ挿入するチューブのことです。
在宅医療においては排尿障害のある利用者の排泄ケアとして使われています。
膀胱留置カテーテルは挿入しただけでは抜けてしまいますので、膀胱内にバルンを留置して固定します。
また、カテーテルの先端は「ウロバッグ」「畜尿バッグ」とよばれる袋に接続し、そこに尿が貯まっていく仕組みです。
膀胱留置カテーテルの適応について
膀胱留置カテーテルの適応は以下のとおりです。
絶対的適応:萎縮膀胱
膀胱容量が50ml以下の状態である萎縮膀胱では、膀胱留置カテーテルが必須となります。
萎縮膀胱では膀胱の弾力性と拡張性が失われてしまうことで尿が貯められない状態となってしまっています。
しかし、在宅の現場では萎縮膀胱よりも、次に述べる他の理由で膀胱留置カテーテルが必要になることの方が多いです。
準絶対的適応:残尿・尿閉があり自己導尿が困難である場合
100ml以上の残尿を認める場合や尿閉を認める場合で、利用者や家族の状況や都合により自己導尿が困難な場合にも、膀胱留置カテーテルの適応が検討されます。
残尿の原因としては前立腺肥大や尿道狭窄、術後(腰部椎間板ヘルニア、子宮癌、直腸癌など)の神経障害などがあげられます。
尿閉の原因で最も多いのは前立腺肥大ですが、その他にも進行した前立腺癌や長時間の座位、飲酒、鎮咳薬、感冒薬、精神安定剤、抗不整脈薬などが原因となることもあります。
相対的適応:夜間排尿・尿失禁
夜間排尿による睡眠障害や、尿失禁により皮膚炎や褥瘡などが悪化する可能性がある場合にも、膀胱留置カテーテルが適用されることがあります。
しかし、この場合は「夜間のトイレ誘導が困難である」「頻繁な皮膚の観察・ケアが困難である」というように介護的な視点での導入となるため、短期間の留置とし、2週間以内に抜去することが推奨されています。
訪問看護での注意点
続いて、訪問看護で膀胱留置カテーテルを扱う際の注意事項について解説していきます。
感染予防をおこなう
膀胱留置カテーテルの管理で最も重要なことは、感染予防です。
膀胱留置カテーテルの挿入は無菌操作でおこないますが、それでも留置後2週間が経てば必ず細菌尿が発生するといわれています。
細菌尿がみられても感染の症状がない場合は治療の必要はありませんが、発熱などを認めた場合にはカテーテルの抜去と抗生剤治療が必要となることがありますので、そのような状態とならないよう、感染予防を徹底する必要があります。
具体的なケアプランは以下の通りです。
・陰部洗浄やシャワー浴を毎日おこない、陰部の清潔を保つ
・排尿バッグは膀胱より低く排出口が床に付かない高さにする
・カテーテル接続部ははずさない
・12時間に一回は排尿バッグ内の尿を破棄する
・バッグ内の尿を破棄する際は、排出口が排液容器につかないように注意する
・尿破棄の際には手袋、エプロン、マスクを着用する
・利用者に水分摂取を促す
シャワーや入浴が可能な利用者の場合は、その時だけキャップをつけて入浴してもらいます。
キャップのつけはずしの際には、アルコール成分の入ったウエットティッシュなどでキャップを清拭することを忘れないようにしましょう。
排尿バッグの位置も重要です。膀胱より高い位置としてしまうと尿が逆流し尿路感染を起こすリスクが高まりますので、必ず膀胱より低い位置にしておきます。
就寝時には、ベッドの場合は柵などにバッグを結んでおくと安心です。布団の場合は、段差を作るために布団の下にマットなどを敷き込み、排尿バッグは布団の外で低くなるように設置します。
事故抜去に注意する
膀胱留置カテーテルが抜けてしまうと排尿が困難になってしまうだけでなく、バルンが膨らんだままの状態で抜去されてしまうことにより膀胱や尿道粘膜が損傷され、出血してしまう可能性があります。
そのような事態を回避するためには、カテーテルの固定状況をこまめに確認しておく必要があります。体動があり座位や歩行が可能な利用者の場合には特に注意が必要です。
固定テープに剥がれはないか、カテーテルにねじれや屈曲などはないか、カテーテルが体の下敷きになっていないか、尿の流出が妨げられていないかを観察しましょう。
皮膚ケアをおこなう
膀胱留置カテーテルはテープで皮膚に固定しますが、皮膚が弱い人ではテープによるかぶれや炎症を起こしてしまうことがありますので、適宜テープの貼り換えをおこないながら皮膚の状態を観察しましょう。
その際、テープを固定する位置は毎回変えるようにしましょう。
男性の場合は大腿最上部と下腹部に、女性の場合は大腿内側に固定することが一般的です。
2週間に1回はカテーテルの入れ替えをおこなう
膀胱留置カテーテルを長期的に留置することにより、カテーテル周囲に膀胱結石が形成されてしまうことがあります。
予防としては、2週間に1回はカテーテルの入れ替えをおこなうこと、水分摂取を促す、体位変換を促すことなどがあげられます。
また、ダイアモックスなどの尿酸排泄を増す内服薬の処方がされていないかを確認することも大切です。
本人・家族への指導をおこなう
先述した感染予防・事故抜去予防・皮膚ケアについて、利用者本人や家族がケアできるように指導することも、訪問看護師の重要な役割です。
訪問看護師が24時間体制でケアにあたるわけにはいきませんので、利用者本人や家族が主体的にケアしていく必要があります。
パンフレットなどを用いてわかりやすく指導をおこないましょう。
そして、訪問した際には指導した内容がきちんと理解できているか、ケアが適切におこなわれているかもあわせてチェックしていきましょう。
まとめ
今回は、訪問看護における膀胱留置カテーテル管理のポイントについて解説しました。
看護ケアの内容は病院等で扱う場合と同様となりますが、訪問看護の場合はさらにそれらのケア内容を利用者やその家族が理解し実践できるレベルにまで指導することが重要です。
感染予防や事故抜去等に注意しながら、利用者が快適な療養生活を送ることができるようサポートしていきましょう。