医療の現場においてミスや事故は決してあってはならないものですが、医療者も人間である以上どうしても「インシデント」や「アクシデント」が発生してしまいます。
今回は、訪問看護の現場におけるインシデントに関して、インシデントの具体例や発生時の対応、予防策について解説します。
1インシデントとは?インシデントとアクシデントの違い
1-1インシデントとは
1-2アクシデントとは
1-3インシデントとアクシデントの境目は?
2訪問看護のインシデントの例
2-1移乗や移動時の気管カニューレ抜去
2-2カテーテル類の自己抜去・事故抜去
2-3内服セットミス
2-4入浴介助中の転倒
3インシデントの予防・対処方法
3-1インシデントの予防
3-2インシデントが発生した際の対処方法
4報告書の書き方
4-1インシデント発生に至った経過の整理
4-2原因や問題点の明確化
4-3対策の検討
5訪問看護のインシデント報告には『iBow』がおすすめ
6まとめ
インシデントとは?インシデントとアクシデントの違い
インシデントとアクシデントについて、それぞれの定義を解説します。
インシデントとは
インシデントとは、誤った医療行為をしたあるいはしそうになった場合に、結果的に患者への被害・悪影響を及ぼさなかったできごとのことをいいます。またの名をヒヤリハットともいいます。
具体的には「患者に誤った医療行為をするところで未然に防げたが、仮に実施されていたら何らかの被害が予想されるケース」「医療行為が患者に実施されたが結果的に被害がなかったケース」が該当します。
アクシデントとは
アクシデントとは、医療者側の過失の有無に関わらず患者や医療者に被害・悪影響を与えてしまった事故のことをさします。
医療行為に関わるものや転倒・転落、針刺し事故などもアクシデントに該当します。
インシデントとアクシデントの境目は?
ミスが発生した場合に「これってインシデント?アクシデント?」と迷うことがありますが、基本的には患者に及ぼした影響の程度でレベル分けされています。
インシデントに該当するのは以下の場合です。
レベル0:誤りが発生したが、患者には実施されなかった。
レベル1:誤った医療行為を患者に実施したが、患者に変化は生じなかったあるいはその場の対処のみで済み、経過観察が不要であった。
レベル2:誤った医療行為を患者に実施し、検査や経過観察の必要があった。緊急な治療は要せず、生命に影響は及ぼさなかった。
レベル3以上はアクシデントの扱いとなります。
レベル3:医療事故が発生した。生命の異常はないが、緊急で処置や治療が必要であった。それにより入院日数が増加した。
レベル4:医療事故が発生し、患者に障害が残るなど生命への影響が強い。
レベル5:医療事故が発生し、患者の死亡原因となった。
訪問看護のインシデントの例
訪問看護におけるインシデントの例について解説します。
移乗や移動時の気管カニューレ抜去
訪問看護では移乗や移動を介助する場面がありますが、気管カニューレ挿入中の患者の介助をする際に動きに伴って気管カニューレが抜けかかるあるいは完全に抜けてしまうという事故が発生しています。
カテーテル類の自己抜去・事故抜去
バルンカテーテル・経鼻胃管・ドレンなどが挿入されている利用者において、看護師の訪問時間以外に自己抜去してしまったり、固定の甘さゆえに体動により抜去されてしまったりというインシデントが報告されています。
入院中のインシデントであれば医療者がすぐに気が付き、しかるべき対応ができますが、在宅では発見や処置が遅れてしまうことも考えられます。
内服セットミス
利用者や家族での服薬管理が難しい場合などに、訪問看護師がカレンダーや容器などに内服薬をセットすることがあります。
そのセットを間違えてしまい、薬の内容や量を誤ってしまうインシデントが発生しています。
入浴介助中の転倒
訪問看護では入浴介助を行うことがありますが、水気や石鹸などで床が滑りやすくなり、利用者が転倒してしまうことがあります。
今回は入浴介助中の転倒を例にあげましたが、在宅療養においては入浴中以外にも、療養スペースの段差や階段、ベッドの転落など、常に転倒・転落のリスクがある状態です。
インシデントの予防・対処方法
続いて、インシデントの予防・対処方法について解説します。
インシデントの予防
インシデントは予防の意識も大切です。
日々の業務のなかでインシデントを未然に防ぐためには、医療や看護に関する知識を多くもっておくことはもちろんのこと、業務に関して常にアンテナを張り「何かおかしい」「いつもと違う」と気づくことが重要です。
また、自信のないことやわからないことは事前に調べ、時には人に聞く勇気も必要です。
とは言え、全てを完璧にできる訪問看護師はいないでしょう。そのためにも確認やチェックの体制を整えることが重要です。複数の看護師の目が入ることでミスを防げることもあります。
利用者の元を一人で訪問している場合は、指差し呼称を積極的に取り入れ、声を出しながら確認するようにしましょう。
インシデントが発生した際の対処方法
インシデントは利用者の生命への影響がないとはいえ、軽視できません。また、単にミスをしてしまったことに対して落ち込んでいるだけでは今後に繋がりません。
なぜインシデントが発生したのかその原因を振り返り、今後同じインシデントが発生しないよう対策を検討することが何よりも重要です。
それは看護師個人のみならず、ステーション全体でも同じミスを繰り返さないようにする必要があります。
インシデントの振り返りや問題点の抽出、今後の予防策を立案するために活用すべきなのが事故報告書やインシデントレポート・アクシデントレポートです。
事故報告書やインシデントレポートに対して「始末書」のようなイメージをもつ人もいるかもしれませんが、それらは決して個人のミスを攻撃するものではありません。
インシデントに至った経緯や背景、問題点等をステーション全体で共有し、再発防止に努めるためのレポートです。
報告書の書き方
インシデントが発生したら速やかに事故報告書を作成しましょう。
インシデントレポートの構成は「インシデント発生に至った経過の整理」「原因や背景の明確化」「対策の検討」の3つです。
インシデント発生に至った経過の整理
まず、インシデント発生に至ったまでの経過を整理します。ここには個人の意見や推測は入れず、時系列に沿った事実のみを書きます。
原因や問題点の明確化
インシデント発生までの経過を振り返りながら、原因や問題点を明確化させます。できる限り具体的に、細かく洗い出していくことが大切です。
対策の検討
明らかになった原因や問題点に対し、対策を考えます。「誰が」「いつ」「どのように」実施するのかを考え、実現可能な目標であることが重要です。
訪問看護のインシデント報告には『iBow』がおすすめ
訪問看護専用電子カルテシステム『iBow』では、インシデント報告書の作成が可能です。
また、報告書作成後は登録された管理者メールアドレス宛にメールが送信されるため、インシデントについて速やかに共有できます。
インシデント発生時は事故報告書の作成だけでなく管理者や他スタッフへの共有も重要ですので、『iBow』の活用がおすすめです。
まとめ
今回は訪問看護におけるインシデントについて解説しました。
インシデントは予防する意識も大切ですが、発生時や発生後の対応も重要です。『iBow』を利用して速やかに事故報告書を作成し、管理者へ報告・共有も忘れないようにしましょう。