介護保険サービスで「訪問看護」と「訪問介護」というサービスがあるのは知っている方も多いと思います。
しかし、訪問看護と訪問介護の何が違うのか、お互いの仕事内容をきちんと理解できていないこともあるのではないでしょうか。
今回は訪問看護と訪問介護の業務内容の違いや連携の仕方について解説していきます。
1訪問看護と訪問介護の違い
1-1訪問看護とは?
1-2訪問介護とは?
1-3訪問看護と訪問介護の決定的な違い
2ヘルパーがやってはいけない事
2-1範疇を超えた医療行為
2-2散髪や受診待ち、自家用車での送迎などの身体介護
2-3利用者以外の生活にかかわる介護
3訪問看護とヘルパーを同時利用できるのか?
4訪問看護とヘルパーの連携
5連携にも活躍!iBow
6まとめ
訪問看護と訪問介護の違い
訪問看護と訪問介護の違いについて、定義から見ていきましょう。
訪問看護とは?
厚生労働省の資料より訪問看護とは、「疾病又は負傷により居宅において継続して療養を受ける状態にある者に対し、その者の居宅において看護師等による療養上の世話又は必要な診療の補助を行う。」とされています。
引用)厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会第182回」資料より引用
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000661085.pdf看護師が病院で行う療養上で必要な身の回りのお世話や医師が行う診療の補助を自宅で行うということです。要介護認定の申請をしていれば、要支援1から介護予防訪問看護サービスとして利用できます。
訪問看護は介護保険と医療保険に適応でき、医療保険ではがん末期や急性憎悪などの理由の他に、認知症ケアや統合失調症、双極性障害などを対象とした精神科訪問看護があります。
訪問介護とは?
厚生労働省の資料より訪問介護とは、「訪問介護員等が利用者(要介護者等)の居宅を訪問し、入浴・排泄・食事等の介護、調理・洗濯・掃除等の家事等を提供するもの」とされています。
引用)厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会第142回」資料より引用
https://www.mhlw.go.jp/訪問介護員等とは、介護福祉士や実務者研修などの研修を修了した有資格者をさします。訪問介護員が自宅を訪問して、身の回りの介護(身体介護)や家事を行い生活を支援する(生活援助)などのサービスとなります。
また通院などのために乗用車を使用する場合には、乗車または降車の介助を行うサービス(通院等乗降介助)も行います。利用者は要介護認定を申請し、要支援1または2であれば介護予防訪問介護サービスが利用可能です。
訪問看護と訪問介護の決定的な違い
訪問看護と訪問介護の定義を見てわかるように、身体のお世話を行うことは一緒です。
しかし訪問看護はケアプランへの記載と医師からの「訪問看護指示書」が必要とされていますが、訪問介護はケアプランへの記載があれば利用可能です。「訪問看護指示書」の有無が明らかな違いになります。
また看護師は医師の指示で医療行為を実施することができますが、訪問介護員(以降ヘルパー)は一定の条件のものでしか医療行為をすることができません。ヘルパーの医療行為については次項で詳しく見ていきましょう。
ヘルパーがやってはいけない事
ヘルパーは身の回りのお世話や生活援助が主な業務ですが、その中でも行うことができない業務について見ていきましょう。
範疇を超えた医療行為
医療行為は医師や歯科医師、看護師等の専門的な知識や技術を持った職種のみが行うことができる行為になります。そのためヘルパーは基本的に医療行為をすることが法律で許されていません。
現在、喀痰吸引と経管栄養は一定の研修を修了した者であれば、医師や看護職員との連携により実施することが可能となっています。医療行為ではないとされている、爪切りや耳掃除、口腔ケア、処置などでも範疇を超えた症例では禁止されているため気をつけましょう。
たとえば、通常の爪であればできる爪切りでも、水虫や爪の周囲に異常がある場合はできません。血圧測定も自動血圧測定器での血圧測定は可能ですが、水銀血圧計での測定は禁止されています。
散髪や受診待ち、自家用車での送迎などの身体介護
自宅で散髪を頼まれても髪を切ることはできません。また通院等乗降介助のサービスはありますが、あくまでも乗降介助のみです。
受診時の待ち時間の付き添いやヘルパーの運転で送迎することは禁止されています。受診の待ち時間に一緒に待っていたとしても、サービスとして請求することはできませんので注意しましょう。
散髪や自家用車での送迎などのサービスは、美容院や理髪店、タクシー会社などの専門業者があるため、そちらを利用するようにしましょう。
理美容でも自宅を訪問して散髪や髪染めを行ってくれるところもありますし、タクシーもタクシーチケットで割引になることもあります。
利用者以外の生活にかかわる介護
生活介護サービスでも、範疇を超えたサービス提供は禁止されています。
生活介護では基本的に本人の日常生活支援が目的とされているため、その他の家族分の調理や本人が利用しない部屋の掃除はできません。
また窓ふきや庭の掃除、家具の移動などは危険が伴い、日常生活に支障がないものであるため介護保険サービスでは適用されないのです。
どうしてもの場合には介護保険外サービスを受けている事業所と別途契約して依頼するようにしましょう。
訪問看護とヘルパーを同時利用できるのか?
原則、利用者1人に対して同一時間内に利用するサービスは1つとされています。
例えば、Aさんが10時から訪問看護を30分利用すると、Aさんは10時半までは他サービスが利用できません。しかし例外があり、利用者の心身の状況や介護内容に応じて必要と認められれば、同一時間に複数のサービスを利用可能です。
例えば家庭で全身入浴する際、ヘルパーだけでは難しいと思われる場合には訪問看護や訪問リハビリテーションと一緒に利用できます。
訪問入浴の利用だと、浴槽が置けなかったり入浴に関する処置以外があったりする場合には、ヘルパーと訪問看護で入浴を行うことがあります。必ず複数のサービスを同時に入れる理由が必要ですので注意しましょう。
訪問看護とヘルパーの連携
訪問看護とヘルパーの連携はとても重要です。しかし訪問看護とヘルパーでは事業所が違う場合も大いに考えられるため、連携の方法を考えておく必要があります。
利用者への直接的なケアを行うため、日常生活の変化や互いに行ったケアについて記録として残しておく必要があります。ヘルパーは訪問看護が行った処置や体調の変化に対する所見を記録から読み取り、ケアを行います。
ヘルパーがどのようなケアを行ったのか記録に残し、看護師もヘルパーの記録から看護ケアを考えます。
もしも利用者が急な体調不良や転倒、薬の飲み忘れなどを起こした場合、電話で連絡を取り、連携をはかることもあります。
また喀痰吸引や経管栄養を実施しているヘルパーはさらに綿密な連携が必要となってきます。いつ実施してどのようなことがあったのか、安全に実施できているか、実施して利用者の状態が変わっていないかなど報告書などの書面やその都度、電話を利用して連携を図る必要があります。
連携にも活躍!iBow
病院や施設であれば同じ建物の中で看護師もヘルパーなどの介護職員も職務をこなしているため、利用者の様子をリアルタイムで共有することも難しくはないでしょう。
しかし訪問看護や訪問介護は自宅を訪問しており、原則では同一時間に複数のサービスが入ることはできないため、日頃からの連携が重要となってきます。
『iBow』では電話対応などの細かな情報まで記録に残すことができます。また熱系グラフやスキントラブルなどの写真データを他職種にデータとして送ることや印刷して渡すことも可能なため、よりわかりやすい情報を共有することができ、きめ細かいサービスを提供できるようになるでしょう。
まとめ
訪問看護とヘルパーの違いは、療養上の世話を行うことと生活全般の世話をすることに明確な違いがあります。ヘルパーが範疇を超えた身体介護や生活介護、医療行為をすることは法律で禁止されています。
同一時間に訪問看護とヘルパーを同時利用することは原則できません。同一時間に同時利用する場合には何かしらの理由が必要であり、その理由が認められた場合となります。
基本的に同じ時刻にサービスを提供することはなく、施設よりも連携がとりにくい環境です。しかし訪問看護もヘルパーも利用者が自宅で生活するためには重要なサービスですので、しっかりとした連携が利用者の自立支援を支えるうえでも必要となってくるでしょう。