訪問看護を利用するためには医師が発行する指示書が必ず必要となります。指示書にはさまざまな種類があり、使用用途によって内容が異なるため各指示書を把握しておかなければなりません。
今回は指示書の中の「在宅患者訪問点滴指示書」について細かく見ていきます。在宅患者訪問点滴注射指示書の内容について理解できていれば、監査で指導を受けることや医師に指示書を依頼する際に間違うこともなくなるでしょう。
1 在宅患者訪問点滴注射指示書とは
1-1 訪問看護指示書の種類
1-2 訪問看護指示書の必要性
1-3 在宅患者訪問点滴注射指示書について
2 在宅患者訪問点滴注射管理指導料
2‐1 在宅患者訪問点滴注射管理指導料とは
2-2 在宅患者訪問点滴注射管理指導料の点数
3 在宅患者訪問点滴注射指示書の書き方
3-1 指示期間
3-2 回数
3-3 可能な点滴・注射の種類
4 よくある質問
5 訪問看護指示書の作成は『iBow』
5 まとめ
在宅患者訪問点滴注射指示書とは
在宅患者訪問点滴注射指示書は訪問看護指示書の1つです。まずは訪問看護指示書について見ていき、在宅患者訪問点滴注射指示書を細かく見ていきましょう。
訪問看護指示書の種類
訪問看護指示書は厚生労働省が定めた以下の様式が共通で使用されます。
・訪問看護指示書(別紙様式16)
・特別訪問看護指示書(別紙様式18)
・精神科訪問看護指示書(別紙様式17)
・精神科特別訪問看護指示書(別紙様式17の2)
・在宅患者訪問点滴注射指示書
訪問看護指示書、又は精神科訪問看護指示書が交付されていないと、特別訪問訪問看護指示書や精神科特別訪問看護指示書、在宅患者訪問点滴注射指示書を交付することができません。
訪問看護指示書の必要性
訪問看護サービスを実施するためには、訪問看護指示書がなければ訪問看護費を請求することができません。
訪問看護ステーションは主治医からの訪問看護指示書の指示期間や医療処置などの内容を確認して、訪問看護計画書を作成し、指示書と計画書の内容に沿ってサービスを提供します。
1人の利用者に対して、複数の医師より指示書が交付されることはなく、2つのステーションを利用する場合でも1人の同じ医師より交付されなければなりません。
同じ訪問看護サービスでも指示書の内容(訪問看護指示書または特別訪問看護指示書)や疾病(別表7、8)によって利用する保険制度が違い、介護保険か医療保険かに変わってきます。
在宅患者訪問点滴注射指示書について
在宅患者訪問点滴注射指示書は訪問看護指示書が発行され、週3日以上の点滴注射が必要と判断される場合に交付されます。
週に2回以内の点滴注射であれば、訪問看護指示書または特別訪問看護指示書のみで行うことができ、在宅患者訪問点滴注射指示書の交付は必要ありません。その場合には点滴の指示内容を明確に記載する必要があります。
また在宅患者訪問点滴注射指示書単体で使用することはできず、必ず(精神科)訪問看護指示書または(精神科)特別訪問看護指示書の交付が必要となりますので注意してください。それぞれの様式で緊急時の連絡先等の欄は必ず必要ですので見落とさないようにしましょう。
在宅患者訪問点滴注射管理指導料
在宅患者訪問点滴注射指示書の交付を受けた場合、料金や書き方はどのような決まりがあるのか見ていきましょう。
在宅患者訪問点滴注射管理指導料とは
在宅患者訪問点滴注射指示書を交付すると、医師が在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定することができます。
在宅患者訪問点滴注射指示書を交付すると同時に、点滴の処方箋を発行し、訪問看護師が在宅で点滴を実施する流れになります。
しかし、介護保険制度で利用している小規模多機能型居宅介護事業所や複合型サービス事業所(看護小規模多機能型居宅介護事業所)が行う通所サービス中での点滴注射実施については算定できないので注意が必要です。
在宅患者訪問点滴注射管理指導料の点数
在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定する医師は、1週につき100点を請求することができます。
後でも詳しく記載しますが、在宅患者訪問点滴注射指示書は7日までのため、交付するたびに点数が加算されていきます。また在宅中心静脈栄養法指導管理料または在宅悪性腫瘍等患者指導管理料を算定している場合、在宅患者訪問点滴注射管理指導料は算定できません。
在宅患者訪問点滴注射指示書の書き方
在宅患者訪問点滴注射指示書の書き方についても定められているため、交付されたときには必ず確認しなければなりません。記載例については下記を参照ください。
参考)八戸地域訪問看護協議会「みんな安心 訪問看護活用ガイド」
http://www.hachinohe.aomori.med.or.jp/在宅患者訪問点滴注射指示書の書き方を詳しく見ていきましょう。
指示期間
在宅患者訪問点滴注射指示書は最長でも指示期間7日以内と定められているため、7日を超える場合はその都度在宅患者訪問点滴注射指示書を交付する必要があります。
通常の訪問看護指示書が必ず必要ですが、訪問看護指示書の期間内であれば、2週以降の在宅患者訪問点滴注射指示書は単体で交付することができます。
回数
在宅患者訪問点滴注射指示書は週に3回以上の点滴が必要な方に交付される指示書になります。通常の訪問看護指示書では週に3日までがレセプトでの請求ができる訪問回数の限度です。
しかし、在宅患者訪問点滴注射指示書が交付されている場合、有効期間内であれば4日以上(毎日)の訪問が可能となります。
可能な点滴・注射の種類
在宅患者訪問点滴注射指示書の指示で可能な点滴は、末梢静脈へ行う点滴注射のことをさします。
そのため、中心静脈栄養(IVH)やCVポートを利用する場合、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射は対象外となりますので注意してください。
よくある質問
在宅患者訪問点滴注射指示書でよくある質問をまとめてみました。
Q1.介護保険で利用している利用者が、自宅で点滴を実施することになった。特別訪問看護指示書と在宅患者訪問点滴注射指示書を交付してもらう必要があるのか。
A.点滴の有無ではなく、主治医が利用者の急性憎悪等で週4日以上の頻回の訪問が必要と認めた場合は、特別訪問看護指示書を交付してもらう必要があり、併せて週3日以上の点滴が必要な場合は、在宅患者訪問点滴注射指示書の交付が必要となる。
介護保険の利用者で週3日以上の点滴が必要となった場合は、主治医から在宅患者訪問点滴注射指示書を交付してもらう必要がある。(介護保険による訪問看護となる。)
週に1~2回の点滴が必要な場合であっても主治医からの点滴の指示が必要である。点滴を正確に実施できるようその内容と方法が明確に記載された文書(指示書)であれば、通常の訪問看護指示書その他の様式であっても差し支えない。
Q2.「在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者」は、この管理料が算定できる週においては週4日以上の訪問が可能ということになるのか。
A.そのとおり。
訪問看護指示書の作成は『iBow』
訪問看護指示書は4種類あることはお伝えしましたが、それぞれに点滴注射指示書がセットになっています。わざわざ1つずつ登録していくわずらわしさを、『iBow』はチェックを入れるだけで同時に登録することができます。
また指示書の有効期間が切れる前にリストを出力して、訪問看護指示書の交付依頼書を作成することも可能です。さまざまな細かい機能があり、時間を短縮できる機能を活用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
訪問看護指示書は様式が4種類に分かれており、それぞれ利用方法が異なります。4種類全ての書式に併せて在宅患者訪問点滴注射指示書を兼ねることができるようになっています。
点滴注射の指示日数が3日以上となる場合には注意して指示書の内容を確認するようにしましょう。またIVHやCVポートを利用する場合、皮下注射、末梢静脈注射、筋肉注射は対象外になりますので、間違えて交付してレセプト請求しないよう確認が必要となります。