訪問看護ステーションにおいては、看護学生の実習を受け入れているステーションも少なくないことでしょう。そこで今回は、訪問看護で実習生を受け入れる際の基本的な考え方や注意点について解説します。
目次
1 訪問看護における実習生の受け入れに対する基本的な考え方
2 訪問看護実習で行うこと
2-1オリエンテーション
2-2同行訪問
2-3カンファレンス
2-4その他
3 訪問看護における実習生の受け入れ時の注意点
3-1学生の「学ぼう」とする意識を引き出す関わりを心がける
3-2実習目的、実習目標を正しく理解し、達成できるようサポートする
3-3スタッフの協力を得る
3-4感染予防
3-5利用者、学生両方への配慮を忘れない
4 看護学生にも活用できる『iBow』コロナ禍での実習も支援
5 まとめ
訪問看護における実習生の受け入れに対する基本的な考え方
医療提供の場が臨床から在宅へ移行しつつある現在、看護学生への在宅看護学の指導は必要不可欠です。実習生は多くの病院や施設、部署での実習を経験していると考えられますが、在宅医療に触れられる機会は決して多くありません。
今後ますます需要が高まるであろう在宅医療に対する理解を深めるためにも、訪問看護をはじめとする在宅看護学実習における実習生の学びの機会は大変貴重であり、重要です。実習生を受け入れる訪問看護ステーションにおいては、短い実習期間であっても、学生が在宅看護について正しく理解し学べるよう、サポートする必要があります。
また、実習生の受け入れは、訪問看護ステーションにとってもメリットがあることも知っておきましょう。実習生への指導は自らの看護を振り返るきっかけになり、訪問看護の評価にもつながります。カンファレンスを通して学生の学びや疑問を確認することで、実習指導者にとっても新たな発見が得られ、学びとなることが多くあるでしょう。
単に実習の場を提供するという考え方ではなく、訪問看護師である自分たちにとっても学びの機会になることを忘れずに、学生と関わるようにしましょう。
訪問看護実習で行うこと
訪問看護実習で行うことについて解説します。
オリエンテーション
まず、オリエンテーションを行い、訪問看護ステーションの概要や訪問看護の特性、利用者とその家族の特性、実習上の注意点について指導します。
その際、病院や施設などの臨床における看護と在宅看護との違いについて詳しく説明しましょう。在宅看護において臨床と大きく異なるのは、看護の提供の場が利用者の自宅であることです。そのため、訪問看護が提供する日常生活援助や医療行為などは、利用者本人や家族の考えや希望をより尊重しながら進めていく大切さを、学生に理解してもらう必要があります。
同行訪問
ケースを選定し、同行訪問を行います。ケース選定の際は、学生が実習目標を達成できるような看護内容であること、そして訪問看護の特性や特徴が理解しやすいケースを選定するよう心がけましょう。
例えば、以下のようなケースを組み合わせて選定すると、さまざまな利用者の生活に触れられ、訪問看護への理解や学びが深まることでしょう。
・脳血管疾患により寝たきり状態になっているケース
・指定難病を抱えているケース
・末期がんのケース
・多くの医療処置が必要なケース
・日常生活援助が中心であるケース
また、独居なのか介護者がいるのかなどといった家族の状況が異なるケースに複数触れられると、利用者をとりまく療養環境についての理解も深まると考えられます。
同行訪問の際には、利用者のおかれている状況や抱えている問題点に対する看護師としての介入や、他職種との連携方法などについても説明し、学生が地域で生活しながら療養する利用者の特性を理解できるようにアプローチしましょう。訪問終了後には、学生へ気付きや学びを確認し、振り返ることで学びを深めていきます。
カンファレンス
同行訪問での気付きや学びを学生間で共有するため、カンファレンスを行います。学生が積極的に参加できるようサポートしましょう。学生は、さまざまな利用者への同行訪問を通して多くの学びを得ているはずです。学生同士が学びを共有することで、より実りある実習となるよう、助言や振り返りを行いましょう。
その他
タイミングが合えば、ケアチーム会議やサービス担当者会議などに参加してもらうこともあります。他職種との連携方法、ケアマネジメント方法について指導できる機会があると、学生はより一層在宅看護の実情を理解できることとなるでしょう。
訪問看護における実習生の受け入れ時の注意点
訪問看護において実習生を受け入れる際には、実習が安全に行われるよういくつかの注意点を把握しておく必要があります。
学生の「学ぼう」とする意識を引き出す関わりを心がける
実習指導者は、学生の「学ぼう」とする意識を引き出す関わりを心がけましょう。学生は慣れない場所での実習に緊張しているはずですので、こちらから積極的に声をかけ、効果的な学びが得られるよう介入します。
実習目的、実習目標を正しく理解し、達成できるようサポートする
実習目的や実習目標を正しく理解し、学生がそれらを達成できるようにサポートすることも実習指導者の重要な役割です。特に、ケース選定の際には、実習目的や実習目標を踏まえた検討が重要です。できる限り、学びが偏らないように配慮しましょう。
また、実習目標の達成には、教員との連携も必要不可欠です。実習前後には、担当教員とのコミュニケーションを通し、実習の進行状況や学生の良かった点、改善すべき点などについて情報共有しましょう。
スタッフの協力を得る
在宅看護学実習においては、主に実習指導者が学生と関わることになりますが、実習指導者以外のスタッフにも実習への協力を依頼することが大切です。実習生の受け入れは、多かれ少なかれ実習指導者への負担がかかるため、指導者ばかりに負担が集中しないように注意しましょう。
また、実習生は、複数の訪問看護師と関わることで、多くの看護観や看護方法に触れられ、学びが深まるはずです。実習生に関わるスタッフは、自らの看護観や訪問看護において大切にしていることについて説明してみましょう。
感染予防
訪問看護実習においては、感染予防も重要なポイントです。在宅療養をしている利用者のなかには、免疫力が低下している人も少なくないため、学生の訪問を通して感染を起こしてしまうようなことがないよう、細心の注意を払う必要があります。
手指衛生、マスクの装着など基本的な感染予防行動はもちろんのこと、必要に応じて防護具を利用しましょう。実習生には、在宅での感染予防行動は臨床とは異なる部分があることを理解してもらい、指導者は必要に応じて助言を行いましょう。
利用者、学生両方への配慮を忘れない
実習指導者は、利用者と学生の双方への配慮を忘れてはなりません。
利用者には、実習生のために同行訪問を許可してくれているため、失礼があってはなりません。学生には、マナーを守るよう指導し、利用者が気分を害するようなことがないように注意しましょう。
臨床とは異なり、利用者の自宅におじゃますることになるため、靴を揃える、持ち物は床に置くなどの、在宅ならではのマナーの指導を忘れないようにしましょう。
また、学生へのフォローも欠かせません。実習生は学びに来ている立場であるものの、慣れない環境での実習、複数のケースの訪問は学生への心身の負担が大きいものです。頑張りをねぎらい、利用者との関わりで問題はなかったかどうかを確認するようにしましょう。
看護学生にも活用できる『iBow』コロナ禍での実習も支援
訪問看護実習は、看護学生が在宅看護について学ぶための貴重な機会です。しかし、近年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、訪問看護実習の機会が妨げられてしまうこともあります。
そこでおすすめしたいのが、訪問看護専用電子カルテシステム『iBow』です。『iBow』では、コロナ禍で実習にいけない看護学生を支援するために、『iBow』を無償で提供しており、学校内での現場実習を実現しています。
また、コロナ禍に関係はありませんが、『iBow』では同行者の欄に看護学生の記載も可能です。どの実習生がどの利用者を訪問したかが後からでもわかりやすく、スタッフ間の連携も図りやすくなります。
まとめ
今回は、訪問看護ステーションにおける実習生の受け入れについて、基本的な考え方や注意点を解説しました。看護学生にとって訪問看護実習は、在宅看護について学ぶ大変貴重な機会です。学生が在宅医療について理解できるようサポートしていきましょう。また、コロナ禍で実習が妨げられてしまう際には、『iBow』を活用し、学校での学びをサポートしていきましょう。