精神疾患を抱える人を対象とする訪問看護を「精神科訪問看護」とよびます。医療機関を受診する精神疾患患者数の増加に伴い在宅で療養する精神科患者も増加しています。そのため、精神科訪問看護への需要も高まっていることでしょう。
そこで今回は、精神科訪問看護に関して、その特徴や精神科訪問看護師になるための条件、精神科訪問看護の診療報酬について解説します。精神科訪問看護に興味のある人は参考にしてください。
目次
1 精神科訪問看護とは?訪問看護との違い
2 精神科訪問看護師の条件
3 精神科訪問看護師の仕事内容
3-1問診、観察、バイタルサイン測定
3-2服薬管理
3-3セルフコントロールの援助
3-4合同カンファレンスへの出席
4 精神科訪問看護の診療報酬
4-1精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)
4-2精神科訪問看護基本療養費(Ⅱ)
4-3精神科訪問看護基本療養費(Ⅲ)
4-4精神科訪問看護基本療養費(Ⅳ)
4-5その他の加算
5 精神科訪問看護に活用できる『iBow』
6 まとめ
精神科訪問看護とは?訪問看護との違い
精神科訪問看護では、精神疾患を抱えた利用者が在宅で自立した生活を送ることを目的として、症状の観察とアセスメント、服薬管理などさまざまな支援を行います。対象となる精神疾患は、統合失調症やうつ病、双極性障害、自閉症スペクトラム障害、パニック障害、不安障害、持続性気分障害など多岐にわたります。
精神科訪問看護と訪問看護の大きな違いは、訪問看護は身体の傷病を対象としているのに対し、精神科訪問看護では心のケアを必要としている人を対象としている点です。そのため、精神科訪問看護では医療処置を必要としている利用者は多くありませんが、日常生活援助にとどまらず、利用者の気持ちに寄り添った心のケアが求められます。
精神科訪問看護師の条件
精神科訪問看護師になるためには正看護師もしくは准看護師の免許が必要ですが、それ以外に特別な資格は必要ありません。
高い専門分野ゆえ、訪問看護ステーションによっては精神科における1年以上の経験が雇用条件となることもあります。あるいは、精神科での経験がない場合でも、一般社団法人全国訪問看護事業協会などが開催する研修を修了している場合や、精神保健福祉センターなどにおいて精神保健に関する業務の経験が1年以上ある場合には、雇用が認められるケースもあります。
精神科訪問看護師の仕事内容
精神科訪問看護師の仕事内容について解説します。
問診、観察、バイタルサイン測定
症状の観察や問診、バイタルサイン測定を通して、コミュニケーションを図りながら利用者の状態を把握します。必要に応じて、主治医への報告や連絡なども行います。
服薬管理
精神科訪問看護において重要な業務の一つであるのが、服薬管理です。精神疾患を抱えた利用者の場合は多剤の服薬が必要となるケースも少なくないため、日々の服薬が適切になされているかを注意深く確認する必要があります。
セルフコントロールの援助
精神症状を安定させ自立した日常生活を目指すためには、利用者自身が症状をセルフコントロールできるように援助することも大切です。症状への対処法や考え方について一緒に考え、指導を行います。
多職種との連携
精神科訪問看護では、訪問看護と同様に他の関連機関との連携が不可欠です。地域の保健師や相談員、ケアマネージャー等の他職種と連携を図るためにカンファレンスに出席することもあります。
精神科訪問看護の診療報酬
精神科訪問看護の診療報酬は、精神科訪問看護基本療養費とそれ以外の加算に分かれます。精神科訪問看護基本療養費は(Ⅰ)~(Ⅳ)の類型に分かれており、訪問看護を提供する職種や利用者の状態によって算定する類型が異なります。
精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)
精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)は、同一建物居住者以外の利用者に対して精神科訪問看護を提供した場合に算定します。さらに「イ」と「ロ」に分かれており、看護師、保健師、作業療法士が訪問看護を提供した場合には「イ」、准看護師による訪問看護の場合は「ロ」が適用されます。
「イ」の場合の診療報酬は以下のとおりです。
・週3日まで、1回30分以上:5,550円
・週3日まで、1回30分未満:4,250円
・週4日目以降、1回30分以上:6,550円
・週4日目以降、1回30分未満:5,100円
精神科訪問看護基本療養費(Ⅱ)
精神科訪問看護基本療養費(Ⅱ)は、精神障害者施設において複数の利用者に訪問看護を提供した場合に算定する費用ですが、2018年度の診療報酬改定時に廃止となりました。
精神科訪問看護基本療養費(Ⅲ)
精神科訪問看護基本療養費(Ⅲ)は、同一日に同一建物居住者である利用者を対象に精神科訪問看護を提供した場合に算定でき、利用者の人数によって点数が異なります。精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)と同様に「イ」と「ロ」に分かれ、看護師、保健師、作業療法士が訪問看護を提供した場合には「イ」、准看護師による訪問看護の場合は「ロ」が適用されます。
「イ」の場合の診療報酬は以下のとおりです。
・同一日に2人まで、週に3日まで、1回30分以上:5,550円
・同一日に2人まで、週に3日まで、1回30分未満:4,250円
・同一日に2人まで、週に4日目以降、1回30分以上:6,550円
・同一日に2人まで、週に4日目以降、1回30分未満:5,100円
・同一日に3人以上、週に3日まで、1回30分以上:2,780円
・同一日に3人以上、週に3日まで、1回30分未満:2,130円
・同一日に3人以上、週に4日目以降、1回30分以上:3,280円
・同一日に3人以上、週に4日目以降、1回30分未満:2,550円
精神科訪問看護基本療養費(Ⅳ)
精神科訪問看護基本療養費(Ⅳ)は、在宅療養を目標として外泊している入院患者のうち、厚生労働大臣が定める状態の利用者に対して精神科訪問看護を提供した場合に、入院中に1回限りで算定できます。
その他の加算
精神科訪問看護基本療養費と合わせて加算できるものには、以下のものがあります。
・深夜訪問看護加算
・精神科緊急訪問看護加算
・精神科複数回訪問加算
・長時間精神科訪問看護加算
・特別地域訪問看護加算
・複数名精神科訪問看護加算
・夜間、早朝訪問看護加算
ただし、精神科訪問看護基本療養費(Ⅳ)では、特別地域訪問看護加算以外の加算は算定できないため注意が必要です。
精神科訪問看護に活用できる『iBow』
精神科訪問看護では、関係医療機関との連携が必要となる場面も多く、情報提供書やサマリーなどを整理しておく必要があります。また、診療報酬も訪問看護とは異なりやや複雑です。そこでおすすめしたいのが、訪問看護専用電子カルテシステム『iBow』です。『iBow』では日々の看護記録とサマリーなどの書類が連動しているため、作成に時間がかかるはずの書類も簡単に整理できます。また、レセプト業務の簡略化も可能であるため、業務全体において効率化が図れます。
まとめ
今回は、精神科訪問看護に関して、その特徴や、精神科訪問看護師になるための条件、精神科訪問看護に関する診療報酬について解説しました。
精神科訪問看護師は、看護師免許があれば誰でも目指せますが、雇用にあたって精神科領域での経験が求められることがあるため注意しましょう。
また、関連機関との連携やレセプト業務には『iBow』を活用し、業務の効率化を図りましょう。