日本には、雇用や労働に関する法律が数多くあります。労働者と使用者がお互いの尊厳と安定した生活、産業の発展のために設けられたルールです。では、労働に関する法律にはどのようなものがあるのでしょうか。
この記事では、訪問看護ステーションを経営していくうえで知っておくべき雇用に関する法律についてわかりやすく説明します。法令を遵守し健全なステーションを実現するためにも参考にしてください。
1労働に関する法律一覧
1-1労働基準法
1-2労働組合法
1-3労働関係調整法
1-4労働安全衛生法
1-5労働契約法
1-6最低賃金法
1-7男女雇用機会均等法
1-8育児・介護休業法
1-9労働者派遣法
1-10パートタイム・有期雇用労働法
1-11労働契約承継法
2訪問看護の複雑な労働時間の管理に『iBow KINTAI』
3まとめ
労働に関する法律一覧
労働に関する法律の中でも、基本となるのが「労働基準法」「労働組合法」「労働関係調整法」です。この3つは「労働三法」と呼ばれており、労働法の中でも労働者を守る法律として古くから存在しているものです。具体的に見ていきましょう。
労働基準法
労働基準法は、賃金や労働時間など労働条件の最低基準を設けた法律です。
労働基準法第24条には「賃金の支払の原則」が設けられています。「賃金は、①通貨で、②直接労働者に、③全額を、④月1回以上、⑤一定の期日を定めて支払わなければならない」と記されており、これらは『通貨支払いの5原則』と呼ばれています。
労働者が退職するとき、会社の経営が不安定になったときの賃金の支払いに関する基準をまとめた「賃金の支払の確保等に関する法律」も別に存在しています。
労働基準法32条は「労働時間の原則」についてで、1日8時間、週40時間の法定労働時間が定められています。法定労働休日は最低でも週に1回あるいは4週に4回以上です。
法定労働時間を超えた残業や休日労働を行う場合は、労働基準法第36条に基づき「時間外労働協定」いわゆる36協定を行う必要があります。時間外労働には、深夜労働が2割5分以上、休日労働が3割5分以上の割増賃金を支払うよう定められています。
訪問看護では基本的に夜勤はありませんが、オンコール対応による緊急訪問があった場合は時間外労働が発生します。
また、法定労働時間6時間を超える事業では45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を設けなければなりません。訪問看護の場合、訪問先への移動時間は休憩ではなく業務として扱われるので注意しましょう。
ほかにも解雇予告手当、有期労働契約、年次有給休暇などについても含まれています。年次有給休暇は、平成31年(2019年)より年5日の取得が義務づけられています。
労働組合法
労働組合法は、労働条件や職場環境の維持・改善、地位向上などを目的に労働者の団結権を定めた法律です。
憲法第28条で労働者は①団結する権利、②使用者と団体交渉する権利、③ストライキなどの団体行動をする権利を持っており、これらは「労働三権」と呼ばれています。
労働関係調整法
労働関係調整法は、労働組合法とあいまって労働紛争が勃発した際の解決に向け、労働委員会によるあっ旋・調停・仲裁を定めた法律です。また紛争予防の情報提供、指導などを行いながら産業と経済の興隆に寄与することを目的としています。
労働者と使用者の個別の紛争には「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」があります。
労働安全衛生法
労働安全衛生法は、職場での労働者の安全と健康を確保するための法律です。安全衛生管理者や産業医の選任、安全委員などの設置、健康診断の実施などが義務づけられています。
また労働災害の防止に努める義務もあります。具体的にはヒヤリハットの報告やパトロール、職場内の身体的・精神的攻撃、私的な干渉の防止、問題解決など多岐にわたります。
業務上のケガ、疾病、障害、死亡など労災があった場合に給付する「労働者災害補償保険法」も設けられています。
労働契約法
労働契約法は、労働者と使用者が交渉・合意した労働契約を守るための基本的事項を定めた法律です。「労使対等の原則」「均衡考慮の原則」「仕事と生活の調和に配慮する原則」「信義誠実の原則」「権利濫用の禁止の原則」の5原則が設けられています。
最低賃金法
使用者は、国の定める最低賃金に従ってそれ以上の金額を支払わなければならないことを定めた制度です。最低賃金の金額は、都道府県ごとに異なり毎年改定されます。また特定地域、特定産業に対しては、地域より高い最低賃金が設けられています。
男女雇用機会均等法
男女雇用機会均等法は、雇用、配置、昇進、昇給など待遇で性別による格差を禁止することを定めた法律です。婚姻・妊娠・出産等を理由とする不当な処遇や、セクハラ・パワハラなどの防止措置などがあります。
育児・介護休業法
育児・介護休業法は、育児・介護が必要な労働者が仕事を両立できるようにするため、育児・介護休暇または休業に関する公的福祉サービス、資格などを受ける基準を定めたものです。
令和3年に育児・介護休業法が改正され、男性の育児休業取得を促進するための措置が設けられました。
労働者派遣法
労働者派遣法は、労働者派遣事業の適正な運営と派遣労働者の保護を目的とした法律です。派遣事業者の義務や労働契約、派遣先の義務などを盛り込んでいます。
パートタイム・有期雇用労働法
この法律は働き方改革関連法の一つとしてできたもので、正社員と短時間労働者、有期雇用労働者との待遇による格差の是正を目的としています。昇給や退職手当、賞与など労働条件の文書で交付・説明する義務が課せられています。
労働契約承継法
労働契約継承法は、M&Aや企業の再編など会社分割によって生じる労働契約の適正な継承を定めた法律です。分割によって労働者が転籍・移籍する場合の労働条件などが分割前と同じ雇用契約になるよう、労働者を保護します。
訪問看護の複雑な労働時間の管理に『iBow KINTAI』
法律を遵守し働きやすい職場を目指すためには、業務の効率化が重要と考えられます。そこでおすすめなのが訪問看護専用電子カルテ『iBow』です。
『iBow』は直観的な操作と使いやすいシステムが特徴で、日々の看護記録や申し送りの確認、帳票作成、また利用者のデータや記録を連動してレセプト請求業務の効率化を実現します。
また『iBow』では、訪問看護『iBow KINTAI』サービスも提供しています。スタッフの出退勤や訪問スケジュールを一括管理できるシステムです。
自宅や訪問先からモバイル端末を使って打刻できるため、直行直帰やテレワークなどに対応するほか、オンコールでの時間外勤務、休日出勤、中抜けなど訪問看護ならではの複雑な働き方も簡単に管理できます。打刻漏れを防止し、日々の勤怠状況の把握、超過残業時間の確認も行えます。
そして常勤や非常勤、職種などを区別して日々の勤怠をもとに労働時間を自動計算するため給与計算もラクラクです。
まとめ
私人の関係を規律する、人権を守る法は民法で、民法の特別法として労働法が規定されています。つまり使用者と労働者は「対等な私人」として契約を行っており、労働基準法に違反すると労働者からの損害賠償請求や刑事上の罰則が科せられることもあります。
訪問看護はニーズが高いものの、慢性的な人手不足が続いており一人あたりの負担が大きい傾向にあります。ステーション運営には、事業資産の多くを占める従業員とのよりよい関係づくり、労働条件や待遇などを考慮することが大切です。
労働に関する法律は、種類が多いだけでなくその時代の働き方に合わせて改正もよく行われるので注意しましょう。
2019年に施行された改正安全衛生法では、タイムカードやパソコンのシステムによる労働時間の客観的な記録が義務化されています。手書きの出勤簿や残業の自己申告などは認められません。この機会に『iBow KINTAI』の導入を検討してみてはいかがでしょうか。