訪問看護事業を立ち上げるには、法人格を取得する必要があり、さまざまな税金を納税していかなければなりません。
「訪問看護ステーションを開設したいけれど、どのような税金をどこに払うか分からない」「法人で払うべき税金の仕組みや支払い時期はいつ?」という疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
今回は、法人が支払うべき税金の種類や支払い方法などを紹介します。信頼される経営を行うためにも、税金の基礎を理解しておきましょう。
1【一覧】法人税の種類
1-1法人税
1-2地方法人税
1-3特別法人事業税
1-4復興特別所得税
1-5印紙税
1-6消費税
1-7法人住民税
1-8法人事業税
1-9固定資産税
1-10軽自動車税(環境性能割・種別割)
2税金を支払うタイミング
3まとめ
【一覧】法人税の種類
法人にかかる税金は、基本的に国に支払う国税と、各都道府県に払う地方税の2種類があります。大まかに分類すると次のようになります。
・国税(法人税 地方法人税 特別法人事業税 復興特別所得税 印紙税 消費税)
・地方税(法人住民税 法人事業税 固定資産税 軽自動車税(環境性能割・種別割))
法人税
法人税とは、企業活動によって得た所得に対して課税される税金です。法人所得は法人の利益の額から経費、販売費、損金などを差し引いた金額のことで、そこに法人税率がかけられます。
株式会社などの一般法人は、資本金1億円以下で年間所得800万円以下の部分は15%、年間所得800万円以上の部分は23.20%です。基本的に、課税所得×税率-税額控除額で求められます。課税所得が1,000万円の場合、1,000万円×15%=150万円になります。
地方法人税
地方法人税は、国税である法人税の一部で事業所得にかかる税金です。国に納税しますが、その税金は国から各自治体に分配される仕組みになっています。令和元年10月以後に開始する法人の税率は、法人税の10.3%です。
特別法人事業税
特別法人事業税は、令和元年の税制改革により創設された税金です。集めた税源の偏在性を是正するのが目的です。
法人税率は所得800万円以上で23.20%ですが、事業税や住民税などを合算した実効税率でみると諸外国に比べ高いため、税率を引き下げる傾向にあります。2011年度は40%台、年々減少で推移し現在は30%台になりました。それでもざっくりと計算するだけで、利益100万円に対し30万円近く納税しなければなりません。
特別法人事業税は、企業が法人事業税の一部を分離する形で国税として納付します。その後は国が各都道府県に分配することで、引き下がった税源を有効活用する仕組みを作っています。
納付は、法人事業税の「所得割」の納税義務がある法人が対象です。法人事業税については、のちほど説明します。
復興特別所得税
法人特別所得税は、東日本大震災からの復興に使われる財源を確保する措置として、令和19年(2037年)まで所得税を納める法人すべてに課せられた税金です。税率は、各事業年度の法人税額の10%です。
印紙税
印紙税とは、契約書や領収書など取引に関わる文書を課税文書として収入印紙を貼り納税します。金額は文書の内容、取引額に応じて異なりますが、一般的に5万円以上のものが対象になります。
消費税
消費税は商品やサービスの消費にかかる税金です。消費者から預かった消費税から会社が必要経費として支払った消費税の差額を計上して納税します。
消費税は、課税売上が1,000万円を超える場合に適用されます。1,000万円以下は納付の義務はありませんでしたが、令和5年10月1日からのインボイス制度により1,000万円以下の場合でも支払う事業者は出てきます。
原則として前々年度(2年前)の事業売上にかかるため、訪問看護ステーションを立ち上げた後2年間は消費税納税の義務はありません。消費税は現在10%ですが、そのうち7.8%を国税、2.2%を地方税として分ける仕組みになっています。
法人住民税
法人住民税は、訪問看護ステーションが設置された地域に納める税金で、自治体からの住民サービスを受けることを目的に都道府県、市区町村に支払うものです。
法人住民税は、資本金額や従業員数に応じて定額で支払う「均等割」、法人税額に応じて支払う「法人税割」の2種類があり、均等割は売上が赤字でも納付する義務があります。
税率は「控除前の法人税額×税率」で、利益の何%になるかは地方自治体によって異なります。各自治体のホームページより税率と均等割を確認してください。
法人事業税
法人事業税は、企業活動を行うことで利用する道路や行政サービス、公共施設、警察などの経費の一部を負担する税金です。
資本金1億円を超える普通法人には、付加価値に課税される「付加価値割」、資本金から課税される「資本割」、所得額から課税される「所得割」の3種類を支払います。資本金1億円以下の法人は所得割のみ、所得が赤字の法人には支払い義務はありません。
税率は法人の種類や課税所得、事業開始年度などによって異なります。申告では法人事業税、特別法人事業税と合わせて納付します。
固定資産税
固定資産税は、ステーションが保有する土地や建物、車、パソコン機器、医療器具など、事業を継続するうえで必要な資産に対してかかる税金です。固定資産は資産の評価額から課税標準額を算出し、税率1.4%をかけます。市街地や約10年以内に市街化計画がある土地、建物は都市計画税も加算されます。
軽自動車税(環境性能割・種別割)
軽自動車税は、軽自動車、二輪の小型自動車、原動機付自転車、小型特殊自動車などが該当します。税額は乗り物の種別、排気量ごとに設定されています。
税金を支払うタイミング
税金の種類はたくさんあることが分かりましたが、これらの税金をいつ、どのように支払うのでしょうか。年間スケジュールをみていきましょう。
まず法人の確定申告は、原則として事業年度終了の翌日から2か月以内となっています。訪問看護ステーションの事業年度が4月1日~3月31日の場合、4月1日~5月31日までに所轄の税務署に税金を納付しなければなりません。
法人税、法人特別所得税、法人住民税、法人特別所得税、復興特別所得税、法人事業税、特別法人事業税、消費税がこれにあたります。
ただし、やむを得ない事情で決算ができないなど確定申告が難しい状態の場合は、延長の特例を受けることで2か月(7月末日)の納付が可能です。
一方、固定資産税は東京23区は都税事務所、ほかは市町村から毎年1月1日を基準に税額が通知されます。償却資産については、1月末までに所有している資産の状況を申告しなければならないとされています。
自動車税は、毎年5月上旬に納付書が市町村から送られ支払期限は5月末日となっています。
ちなみに自動車税は、トラックやバスなどの自動車重量税、自動車税、軽自動車税の3種類があり、自動車重量税は国税、自動車税、軽自動車税は地方税です。自動車税は各都道府県、軽自動車税は市区町村に納付します。
全体でみると、3月31日を事業年度終了とした場合の納税期間は固定資産税を除き5月末日、特例を受けた場合でも7月末日に集中します。特別優遇措置や税額控除など節税対策の検討も必要になるため、日々の各種領収書や証明書などの保管・管理も大切です。
まとめ
支払うべき法人税の種類は多く、覚えるのは容易なことではありませんが、金額を間違えたり、支払期限が遅れたりすると追加徴収や税務調査などが入る可能性があります。
健全な経営のためにも、税金の種類や目的、大まかな金額などを把握しておきましょう。税金の計算シミュレーションができるツールなどを利用するのもおすすめです。
事業を経営しながら税額の計算や手続きを行うのは困難です。日々の税務会計から確定申告、法律に関することなど不安がある場合は税理士などの専門家に依頼、相談しながら進めていきましょう。
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