2024(令和6)年より開始される訪問看護オンライン請求は、紙運用で継続されていた訪問看護ステーションのレセプト(医療保険請求分)がオンライン化されます。
この記事では、オンライン請求について、オンライン請求で得られるメリット、今後の準備やスケジュールについて解説します。
<目次>
1医療保険請求分の訪問看護レセプトのオンライン請求とは?
2オンライン請求のメリット4つを解説
2-1レセプトの印刷・発送作業が不要になる
2-2レセプト請求の受付時間が長くなる
2-3資格過誤による返戻レセプトが減少する
2-4審査後に返送される還元帳票がデータで一元管理できる
3オンライン請求の準備・導入のスケジュール
3-1レセプト作成用端末の準備
3-2レセプト作成用ソフト
3-3オンライン請求用端末の準備
3-4オンライン請求用ネットワーク回線
3-5オンライン利用申請・オンライン請求を開始するための電子証明書
3-6新たなマニュアル
3-7オンライン請求に向けた作業スケジュール
4オンライン資格確認が同時期に利用可能となる予定
5Q&A
5-1オンライン請求開始後は紙請求ができない?
5-2返戻再請求はオンラインで実施できる?
5-3オンライン請求のチェック結果はすぐに照会できる?
5-4オンライン請求にかかる初期費用と毎月の費用は?
6まとめ
医療保険請求分の訪問看護レセプトのオンライン請求とは?
厚生労働省によると2024(令和6)年5月開始予定で、今まで紙出力していた医療保険(健康保険)請求分がオンラインで請求できるようになりました。レセプト電子化により、介護保険請求と同様に伝送が可能となります。
オンライン請求のメリット4つを解説
オンライン請求によって得られるメリットは下記の4つです。
・レセプトの印刷・発送作業が不要になる
・レセプト請求の受付時間が長くなる
・資格過誤による返戻レセプトが減少する
・審査後に返送される還元帳票が電子データで一元管理できる
レセプトの印刷・発送作業が不要になる
レセプトが紙運用の現在は、レセプト作成用ソフトやエクセルで作成したものを紙出力、もしくは手書きで作成したものを発送しています。
オンライン請求に変わることで、発送が不要になり、紙出力にかかるコストや時間、発送にかかる時間を削減できます。
レセプト請求の受付時間が長くなる
オンライン請求によって、レセプト請求の受付時間が下記のように長くなります。
<電子媒体・紙レセプト>
・6日~10日の9:00~17:30
・土日は休み
<オンライン請求>
・5日~7日は8:00~21:00
・8日~10日は8:00~24:00
受付時間が長くなることで、レセプト請求に間違いがないかを確認する時間が増え返戻再請求の件数が少なくなります。
資格過誤による返戻レセプトが減少する
レセプト返戻で多い理由は「資格過誤」です。返戻レセプトが多いと、報酬の振込が遅くなり資金繰りに困ったり、請求書を新しく作成する必要があったりします。
オンライン請求になると、利用者における保険負担割合の変更や、社会保険から国民健康保険や後期高齢者への切り替わりなどをオンラインで確認できます。訪問看護療養費明細書に記載する資格過誤が減少し、返戻レセプトの減少につながるのです。
審査後に返送される還元帳票が電子データで一元管理できる
還元帳票が電子データで一元管理できることで、紙媒体のデメリットを解消可能です。例えば保管場所の必要がない、探す手間がないといった課題解決につながります。
オンライン請求の6つの準備・導入のスケジュール
オンライン請求に向けて、必要な準備は下記の6つです。
・レセプト作成用端末の準備
・レセプト作成用ソフト
・オンライン請求用端末の準備
・オンライン請求用ネットワーク回線
・オンライン請求利用申請・オンライン請求を開始するための電子証明書
・新たなマニュアル
オンライン請求に向けた6つの準備・スケジュールについて解説します。
レセプト作成用端末の準備
オンライン請求を開始するためには、レセプト作成を行うパソコン(以下、レセコン)の準備が必要です。
レセプト作成用ソフト
レセコン導入後は、レセプト作成用ソフトの用意も必要です。
医療保険請求分・介護保険請求分問わずレセプト作成ソフトを使用している場合、開発元のシステムベンダに「訪問看護レセプト(医療保険請求分)のオンライン請求対応予定」について問い合わせてください。対応予定がない場合は、新しくシステムベンダとの契約が必要です。
現在レセプトを手書きやエクセルで作成している場合は、レセプト作成用ソフトの導入が必要なため、システムベンダに問い合わせが必要です。その際も「訪問看護レセプト(医療保険請求分)のオンライン請求対応予定」について確認しておきましょう。
オンライン請求用端末の準備
オンライン請求用端末は併設している医療機関で「医療保険請求に使用している端末」がある場合、電子証明書の発行のみ必要です。
医療保険のオンライン請求用端末がない場合は、端末を導入する必要があります。この端末は「オンライン請求」と「オンライン資格確認」で兼用が可能です。また、「オンライン資格確認用」として端末を導入する場合は補助対象となるよう現在調整されています。
オンライン請求用ネットワーク回線
既存のネットワーク回線の種類により、対応が異なります。
・「IP-VPN」「IP-sec+IKE」いずれかの接続方式の場合
追加契約が必要になります。
・「IP-VPN」接続ができる場合
既存のネットワーク回線を使用できます。ただし、端末は別途必要になります。
・上記以外の回線である場合
「IP-sec+IKE」接続で既存のネットワーク回線を使用するか、「IP-VPN」接続ができるように新しく契約を行うかが必要です。
インターネット接続環境がない場合には、ネットワークの新規契約が必要です。新規導入する場合は、補助金の対象となるよう調整中のため、今後の動きを確認しておきましょう。
オンライン請求利用申請・オンライン請求するための電子証明書
「オンライン請求システム利用規約への同意」、オンライン請求を開始するために「電子情報処理組織の使用による費用の請求に関する届出」、「電子証明書発行依頼書」の提出が必要です。
「電子証明書」は端末ごとに1枚必要となるため、端末を複数使用する場合は台数分用意しておきましょう。
これらの書類は2023年8月以降に提出予定のため、発表されたら作成しましょう。
新たなマニュアル
訪問看護レセプトのオンライン請求を行うためには、決められた様式で作成されたレセプトデータを審査支払機関に送信、審査結果に係わるデータなどをオンライン請求システムから取り込む必要があります。
訪問看護事業所ごとにシステム仕様や導入機能が異なるため、それに合わせたマニュアル・作成の流れを新たに作る必要があります。
オンライン請求に向けた作業スケジュール
訪問看護事業所の作業スケジュールを解説します。
2023年4月から7月にかけては以下4つの作業をします。
・レセプト作成用端末の準備
・訪問看護システムベンダとの契約調整
・オンライン請求用端末の準備
・ネットワークの敷設
2023年8月から2024年1月にかけての準備は下記3つです。
・セキュリティ対策
・運用に向けたマニュアルの整備
・オンライン請求開始に係わる届出・電子証明書の発行
2024年2月よりシステムベンダによる接続・運用テストを実施し、2024年4月に診療報酬改定に対応しているか確認試験を訪問看護事業所が行い、オンライン請求開始となります。
オンライン資格確認が同時期に利用可能となる予定
訪問看護事業所では、オンライン請求と同時にオンライン資格確認ができるようになります。
マイナンバーカードによるオンライン確認ができるようになると、利用者の資格情報、過去に使用してきた薬剤情報、最新の健康保険資格がその場で確認できるため、資格過誤によるレセプト返戻が減り、業務削減が可能です。現状、介護保険資格について確認できない点は注意してください。
オンライン資格確認に必要な機器・ネットワークは、オンライン請求に向けて準備する機器の一部・ネットワークを兼用できます。
Q&A
オンライン請求に変更に伴い、気になるポイントを4つ解説します。
・オンライン請求開始後は紙請求ができない?
・返戻再請求はオンラインで実施できる?
・オンライン請求のチェック結果はすぐに照会できる?
・オンライン請求にかかる初期費用と毎月の費用は?
オンライン請求開始後は紙請求ができない?
オンライン請求が基本となるため準備をしておきましょう。
返戻再請求はオンラインで実施できる?
伝送後の返戻再請求はオンラインで可能です。しかし、保険者からの再請求は紙運用が継続されます。
オンライン請求のチェック結果はすぐに照会できる?
審査結果は翌日までに照会できる予定です。訪問看護レセプトにおける運用は医科等レセプトと同様となる見込みであり、現在医科レセプトは混雑時でも翌日正午までに照会できています。
オンライン請求にかかる初期費用と毎月の費用は?
初期費用は訪問看護事業所によって異なります。
電子証明書が1枚1,500円+送料、ネットワーク開設費用が約12,000円、オンライン請求用端末が約100,000円で約11万円必要です。
毎月かかる費用は、ネットワーク代で6,000円~8,000円程度かかります。
まとめ
今回は、オンライン請求について解説しました。オンライン請求は、2024(令和6年)開始予定の訪問看護レセプトのオンライン化です。
オンライン請求に対応するためには、ネットワーク回線やレセコン、レセプト作成ソフトの契約など準備が必要です。早めに準備しておき、オンライン請求に対応できるようにしておきましょう。