開設したばかりの訪問看護ステーションや小規模なステーションでは、リーダーだけでなく個々のスタッフが契約に対応する機会が多くなるため手順を把握しておくことが求められます。
特にこれからケアをする相手に対し、お互いにどのような認識とルールがあるかを共有するためにも大切な業務です。
この記事では、利用者との契約に必要な書類や申し込み方法、契約手順の流れなどを説明します。また書類の保管方法、契約の注意点などについても理解しておきましょう。
1訪問看護利用者と契約する目的
2訪問看護利用者との契約に必要な書類
2-1居宅サービス契約書
2-2重要事項説明書
3訪問看護利用者との契約完了までの流れ
3-1介護保険を利用する場合
3-2医療保険、自費の場合
4訪問看護利用者との契約書保管方法
5訪問看護利用者との契約における注意点
6まとめ
訪問看護利用者と契約する目的
訪問看護を利用する際には「居宅サービス契約書」を交わしますが、契約書の作成では書面の初めに契約の目的を記載するのが一般的です。
厚生労働省が示す訪問看護の基本方針は、「利用者が可能な限り自宅で能力に応じた日常生活を営むことができるよう、療養生活を支援し心身の機能回復および維持、向上を目指すことである」としています。
参考)厚生労働省「訪問看護(参考資料)」
https://www.mhlw.go.jp/file/契約はこれに準ずるもので、訪問看護ステーションが病気や障がいのある人に対して自宅で生活ができるようにサポートするサービスを提供し、利用者がそのサービスに対して料金を支払うという旨の契約を交わします。サービスの取引同意書と考えるとよいでしょう。
訪問看護利用者との契約に必要な書類
訪問看護を利用する際に必要な書類は、大きく分けると「居宅サービス契約書」と「重要事項説明書」の2つがあります。
居宅サービス契約書
契約書で説明しなければしなければならない部分は、概ね次のようなものがあげられています。
・契約の目的
・契約の期間
・訪問看護の内容
・訪問看護の利用料金
・利用料の滞納について
・契約終了の決まりごと
・損害責任
・秘密保持
・苦情や要望の対応について
それぞれのステーションで契約の様式が異なる場合があり、利用料金や個人情報の保護に関する同意書を別書類として提示するところや、秘密保持や苦情の要望を重要事項説明書のほうに記載するところもあります。
利用料金では料金表の提示、サービス料金や加算、銀行口座の引き落とし設定などの確認を行います。滞納については、ステーションの死活問題に関わる可能性もあるためどのように対応するか説明を加えておきましょう。
契約終了は、利用者の事情で契約を解約できること、正当な事情がある場合はステーション側からも契約を終了できること、その際には予告期間を設けて通知する必要がある旨を記載します。
賠償責任は利用者の心身の健康、生命、財産に損害を与えた場合の責任を指すものです。重要なのが秘密保持についてで、信頼性を確保するためにも訪問看護では利用者の連絡先や病気、障がいなど知り得た情報を第三者に漏らすことがないよう確約する義務を示す必要があります。
重要事項説明書
もう一つの「重要事項説明書」は、ステーションに関する詳細を公表するものです。主に次のようなものがあげられます。
・事業所の概要(法人名称、代表者、所在地など)
・職員体制(人員数・役割など)
・事業内容(サービス内容)
・営業日/時間
・事故・災害時の対応、相談窓口(連絡先や担当者など)
基本的に訪問看護は、ケアマネジャーや医療機関からの紹介がほとんどのため、利用者に対しどのようなステーションか改めて説明し同意してもらう必要があります。
事業の所在地や営業日をはじめ、職員体制についても記載する必要があり、看護師・理学療法士・保健師・事務員などの人員数、常勤・非常勤の違いなども明確にします。サービス内容は、バイタルチェックや医療処置、介助、リハビリといったステーションが提供できる基本的な内容が分かるようにしておきましょう。
事故・災害時の対応とは、緊急事のステーションの連絡先、担当する管理者名のことです。ほかにも、ステーションへの苦情や他機関の対応が必要な場合に備えて、市役所の介護保険課・担当者の連絡先なども入れておくとよいでしょう。
訪問看護利用者との契約完了までの流れ
契約を行う前に、訪問看護利用の流れについて理解しておくことも大切です。利用者の健康状態や年齢によって使用する保険制度が異なります。
介護保険を利用する場合
利用者が介護保険を利用する場合、要介護の認定を受けていればケアマネジャーへ相談します。そこでケアマネジャーがケアプランの作成、ステーションの紹介を行い、主治医の訪問看護指示書を受け取って訪問看護ステーションが契約を行う流れが一般的です。
要介護認定を受けていない場合は、申請の申し込みをし審査・判定を経て認定を受けることになります。
その後ケアマネジャーがケアプランを作成しますが、原案の段階でケアを受ける本人や家族、訪問看護師、介護士などの関係者が集まって「サービス担当者会議」を開き、ケアプランの内容を検討します。
ケアプランの修正などを行い詳細を決定したら、訪問看護ステーションは契約書と重要事項説明書を用意し利用者と契約を行いましょう。
医療保険、自費の場合
医療保険が適用される場合は、医師へ相談しステーションを紹介してもらう形が多く、自費でできる場合は医師の紹介または直接訪問看護ステーションに問い合わせ、相談するケースもあります。
いずれもケアマネを介さずに進行でき、医師からの訪問看護指示書をもらえればステーションでは契約の手続きを行えます。
訪問看護利用者との契約書保管方法
契約日は、契約書や重要事項説明書についての説明が終わってから不明な点はないか確認し、それぞれに署名捺印をもらった日になります。これらの書類は、ステーション側と利用者側でそれぞれ署名捺印したものを保管する必要があるため、必ず2部持参しましょう。
保管期間は、訪問看護が終了してから2年間としているところが多いですが、都道府県によって5年間の保管を義務づけているところもあるため、各自治体への確認がおすすめです。
訪問看護利用者との契約における注意点
訪問看護の利用者との契約では、理解を求めることが最重要です。介護保険では契約が義務づけられていますが、医療保険や自費での場合は義務づけられているわけではありません。
その場合契約書はなくてもよいことになりますが、利用者とステーションの間で「言った・言わない」などのトラブルに発展する可能性は十分にあるため、利用内容の同意・共有をしておくことが大切です。
少なくとも重要事項説明、料金、個人情報保護に関する部分を書面にして署名捺印をもらっておくことをおすすめします。
また契約を行う際は、できるだけかみ砕いて説明しましょう。契約書は公文書のため堅苦しい表現になっており、高齢者などには分かりにくい部分が多くなります。できるだけ簡潔に、ゆっくりと分かりやすい言葉で説明することが大切です。
説明している間は「ここまで分からないことはありますか?」「意味が分からないときは質問してくださいね」などの言葉をかけ、相手の反応をうかがいながら進めるとよいでしょう。
説明が終わって合意を得てから、相手に署名捺印を求めます。それが済んだら、控えを利用者に渡して初回訪問日時などを確認して終了です。
まとめ
契約時には利用者またはケアマネから医師の指示書を依頼したり、健康保険証、介護保険証などを用意してもらったり確認事項が多々あるので、事前にチェックリストを作成しておくとよいでしょう。
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