これから訪問看護ステーションを立ち上げるのであれば、社会保険への加入が必要です。社会保険は、法定福利厚生によって加入が義務づけられており、従業員が安心して働くための重要な条件になります。
社会保険とはどのような制度で、どのように準備すればよいのでしょうか。ここでは、事業経営者向けに、社会保険の種類や加入手続きの方法などについて紹介します。
なお福利厚生について、社会保険以外にどのようなものがあるのか、詳細を知りたい方はこちらも参考にしてください。
訪問看護の労務管理5〜福利厚生で従業員の満足度向上を目指す!知っておきたい福利厚生の基礎知識~
https://ewellibow.jp/目次
1社会保険って、何?
1-1労災保険
1-2雇用保険
1-3医療保険・介護保険・年金
2社会保険に加入する事業所の条件
2-1パート・アルバイトの条件
3社会保険加入の手続き方法
3-1健康保険・厚生年金保険
3-2労災保険・雇用保険
4社会保険への加入は会社の責務
5まとめ
社会保険って、何?
社会保険とは、病気やケガ、失業など、日常生活に支障をもたらすリスクに備えるために設けられた保険制度で、会社や従業員の加入が義務づけられています。
困ったことが起きたら、社会全体で助け合おうという相互扶助の精神で作られたものです。
しかし、社会保険は複数の保険制度が一括りにされているため、従業員を雇用する時にどの保険が必要で誰が対象なのか分かりにくいのも事実です。手続きを怠ると罰則も設けられているので、正しく理解しておく必要があります。
社会保険は、「労災保険」「雇用保険」「医療保険」「介護保険」「年金保険」の5つで構成されています。
労災保険
労災保険は、業務中や通勤途中に事故、災害などに見舞われた際、対象者に医療サービスを提供する、または現金を給付するものです。万が一労働者が亡くなった場合は、その遺族に支払いが行われます。労災保険は正社員、パート・アルバイト、日雇いに関わらず加入の対象になります。
雇用保険
雇用保険は、失業した場合や自己都合で退職した場合に「失業手当」を給付するものです。これは再就職するまでの支援として行われているもので、ほかにも国の指定を受けた教育訓練を受ける際、費用の一部を支援する場合もあります。
医療保険・介護保険・年金
医療保険は、国民全員が加入する制度で、会社員は健康保険、自営業などは国民健康保険に加入します。医療費の3割は自己負担、7割を公的医療機関が負担します。
介護保険は40歳から64歳までの加入が義務づけられており、介護が必要になった時に介護サービスの費用の一部を負担します。年金保険は、高齢になった時や障がいを患った時に生活を支援する制度です。
社会保険に加入する事業所の条件
社会保険に加入する義務のある事業所は「強制適用事務所」と「任意適用事務所」の2種類に分けられます。強制適用事務所は、常時5人以上が働く個人事業所、国または法人の事業所です。法人事業であれば、たとえ経営者1人でも強制適用事務所となります。
訪問看護ステーションの場合は、都道府県の指定を受けて法人として設立するため「強制適用事務所」であり、経営者も含め従業員は社会保険に加入する義務があります。
一方の任意適用事務所とは、社会保険に加入義務のない5人以下の個人事業所が適用された場合です。
加入条件として過半数以上の従業員が社会保険への加入を望んでいることがあり、この場合事業主が日本年金機構へ申請、認可を受けることで社会保険に加入することができます。この場合、加入の対象は従業員のみで事業主は対象となりません。
パート・アルバイトの条件
訪問看護ステーションで働く従業員は、正社員もしくはパートなどの雇用形態が多くなります。事業の規模が大きくなると、パート・アルバイトも社会保険の加入対象になる可能性があるので把握しておきましょう。
厚生労働省によると、現在は501人以上の事業所に対し「勤務時間または勤務日数が正社員の4分の3である」パート・アルバイト労働者に対し社会保険の加入を義務づけています。
500人以下でも、「1週間の所定労働時間が20時間であること」「1か月当たりの決まった賃金が88,000円(年収106万円以上)であること」「雇用期間が1年以上であること」「学生でないこと」が条件となっています。
現在のところは大規模事業所が対象となっていますが、政府は社会保険適用の拡大を図っており、2022年10月からは従業員101人以上、2024年10月からは51人以上の事業所も対象とすることを決定しています。
参考)厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」
https://www.nenkin.go.jp/社会保険加入の手続き方法
訪問看護ステーションを立ち上げるに当たり、社会保険への加入方法を把握しておきましょう。健康保険・厚生年金保険の加入手続きについて、事業所は原則として設立から5日以内に行わなければなりません。提出する必要書類は5つあります。
健康保険・厚生年金保険
1.事業所の登録を行うための「健康保険・厚生年金保険新規適用届」
2.加入する被保険者のための「被保険者資格取得届」
3.扶養者がいる場合には「被扶養者異動届」
4.保険料口座振替納付書申出書
5.法人の登記謄本または事業を証明する書類
従業員には、本人及び扶養家族のマイナンバーや年金手帳のコピーなどを用意してもらいましょう。これらの書類を、日本年金機構へ提出します。書類審査の後、保険証が会社宛に届いたら従業員に渡します。介護保険は、自動的に行われるので手続きは不要です。
書類様式は、日本年金機構「健康保険・厚生年金保険 適用関係届書・申請書一覧」
https://www.nenkin.go.jp/からダウンロードすることができます。
また、事業を行う中で新たに人材を採用する場合も、採用日から5日以内に2~4の書類を日本年金機構へ提出しなければなりません。提出先は事業所の所在地にある年金事務所、または都道府県ごとの事務センターなどです。
労災保険・雇用保険
労災保険は「保険関係成立届」を保険関係成立日から10日以内に所轄の労働基準監督署に提出、雇用保険は、「雇用保険被保険者資格取得届」を資格取得の事実があった日から10日以内に所轄のハローワークに提出する必要があります。
必ず「労災保険」「雇用保険」の順に手続きを行いましょう。また社会保険の手続きは、採用、求職・退職、扶養増減などがあった場合はその都度手続きが必要になります。
社会保険への加入は会社の責務
健康保険料と厚生年金保険料、また介護保険料は、会社と従業員それぞれ50%ずつ負担、労災保険料は、事業所が全額負担、雇用保険料は賃金(総支給額)✕雇用保険料で、事業所が多く負担する仕組みになっています。
従業員に対し社会保険に加入させないと、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
社会保険は事業所の方が負担にはなりますが、加入は会社の責務であり、社会的信用に関わる大きな要素となり得ます。近年は求職者も、社会保険や福利厚生などを重視する傾向があります。
労働者にとって社会保険制度は大きなメリットであり、万が一の備えがあることで仕事のモチベーション維持・向上に大きく影響することが考えられます。従業員が安心して働けることで、適切なケア、質の高いサービスの提供が行えるからです。
ほかにも、福利厚生として「養老保険」「医療保険」「定期保険」などに加入する事業所もあります。
まとめ
今回は、社会保険に関する手続きやその重要性について紹介しました。電子カルテ『iBow』ではほかにも、「お役立ち情報」コンテンツ
https://ewellibow.jp/で訪問看護事業の立ち上げを検討している経営者向けの記事を掲載しています。
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