ハラスメントは、発言や行動によって相手を不快な気持ちにさせる行為です。
訪問看護の現場は利用者の自宅が主なため、利用者や家族からハラスメントを受けやすく、訪問看護師が申告しなければハラスメントが発覚しにくい環境にあります。
そこで訪問看護ステーションを運営する管理者は、ハラスメントにはどのようなものがあるのかを把握しておく必要があります。対処方法や対策方法を実施することで、トラブルの最小化や予防に繋がるでしょう。
目次
1ハラスメントとは
2職場におけるハラスメントの種類
3ハラスメントの10つの類型
3-1パワーハラスメントの6つの類型
3-2セクシュアルハラスメントの2つの類型
3-3マタニティハラスメントの2つの類型
4訪問看護で多いハラスメントとは
4-1身体的暴力
4-2精神的暴力
4-3セクシュアルハラスメント
5訪問看護で行うべき対策とは?
5-1対策内容の公開
5-2研修の開催
5-3複数人で対応
5-4情報把握
6まとめ
ハラスメントとは
ハラスメントとは、人に対する嫌がらせといった迷惑行為のことをいいます。セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントなど、ハラスメントには様々な種類があり、共通するのが言動や行動などで相手に不快感や不利益を与えることを示します。
ハラスメントは受けた人がハラスメントと感じた場合に該当します。そのため客観的にハラスメントと判断することは困難です。
第三者の介入が必要なハラスメントなのか、雇用管理上の問題として対応する必要があるのかなどは主観だけではなく、実際にどのような言動を受けたかを一定の客観性を持って判断する必要があります。
一定の客観性とは、平均的な労働者の感じ方や、ハラスメントを受けた労働者が「やめてほしい」と求めても繰り返され、仕事に影響を及ぼすことが想定される可能性などです。
現代では特にセクシュアルハラスメントやパワーハラスメント、マタニティハラスメントなどが問題視されています。一見、会社などが抱える問題に見えますが、訪問看護でもハラスメントは存在します。
職場におけるハラスメントの種類
職場におけるハラスメントの種類は、主に下記の13個です。
・セクシュアルハラスメント
・パワーハラスメント
・マタニティハラスメント
・モラルハラスメント
・ジェンダーハラスメント
・終われハラスメント
・ソーシャルメディアハラスメント
・テクノロジーハラスメント
・カラオケハラスメント
・アルコールハラスメント
・エイジハラスメント
・スモークハラスメント
・リストラハラスメント
一般的認知度の高いのが、性的嫌がらせを意味するセクシュアルハラスメントや職場の上下関係を利用したパワーハラスメント、妊娠や出産した女性に対して嫌がらせを意味するマタニティハラスメント、言葉や態度などで精神的に苦痛を与えるモラルハラスメントがあります。
他にも近年注目されている男女の性に関する固定概念や、差別意識による嫌がらせ行為であるジェンダーハラスメントや、就活生に対して就活の終了や選考中の企業に辞退を要求する終われハラスメントがあります。
ネット社会の発展が影響したハラスメントもあり、ソーシャルメディアに職場の人間関係を持ち込み利用するソーシャルメディアハラスメントやITの知識がない人に周りくどくIT用語で悪意ある言動を行うテクノロジーハラスメントがあります。
マイナーなハラスメントとしては無理やりカラオケで歌わせるカラオケハラスメント、飲酒を強要するアルコールハラスメント、年齢による差別、偏見を行うエイジハラスメント、本人の意思を無視して煙草などの煙を吸わなければならない空間に同席させるスモークハラスメントなどがあります。
その他にもリストラを目的に自主退職に追い詰めるリストラハラスメントなど多くのハラスメントが存在するため、経営者は一通り頭に入れておく必要があるでしょう。
ハラスメントの10つの類型
ハラスメントと判断するためには、厚生労働省によるハラスメントの類型で確かめることができます。どのような行為がハラスメントにあたるのか知っておくことで予防にもなります。
参考)厚生労働省「パワーハラスメントの定義について」
https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000366276.pdfパワーハラスメントの6つの類型
パワーハラスメントには、下記の6つの類型があります。
・身体的な攻撃
・精神的な攻撃
・人間関係からの切り離し
・過大な要求
・過小な要求
・個の侵害
身体的な攻撃は、殴る・蹴るといった暴力です。精神的な攻撃は、人前で大げさに叱ったり人格を否定したりなどの言動で相手を追い詰める行為です。
人間関係からの切り離しは、集団から孤立するよう仕向けることです。能力以上の労働を強要する過大な要求や、逆に仕事を与えない、あるいは雑務のみを行わせる過小な要求もあります。
最後に個の侵害です。個の侵害とは職場外にも関わらず行動を監視したり、業務上で知った個人情報を他者に暴露するなどの行為を示します。
セクシュアルハラスメントの2つの類型
セクシュアルハラスメントには対価型セクシュアルハラスメントと環境型セクシュアルハラスメントの2つの類型があります。
対価型セクシュアルハラスメントとは、対象者が不快に感じる性的言動に対して否定した際、対象者に解雇や降格、減給といった不当な扱いをする行為です。
次に環境型セクシュアルハラスメントとは、性的な言動により対象者の就業環境が不快なものとなり、業務の能力発揮に悪影響を与えてしまうことを指します。
例えば、一度セクハラの被害を受けると、また同じことをされるという不安が強くなり、就業意欲が低下してしまうことがこれに当たります。
マタニティハラスメントの2つの類型
マタニティハラスメントには、制度等の利用への嫌がらせ型と状態への嫌がらせ型の2つの類型があります。
制度等の利用への嫌がらせ型は、不当な解雇や育児休暇などの制度の利用を阻害することをいいます。次に状態への嫌がらせ型は、妊娠や出産を理由に不当な解雇等の扱いや嫌がらせをすることを指します。
訪問看護で多いハラスメントとは
訪問看護の場合、利用者の自宅で看護を提供します。利用者のプライベートな空間に訪問看護師が出向く形になるため、ハラスメントが起こりやすい環境でもあります。訪問看護の現場ではどのようなハラスメントが多いのでしょうか?
参考)厚生労働省「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」
https://www.mhlw.go.jp/content/12305000/000532737.pdf身体的暴力
身体的暴力はなんと45.4%の人が受けたことがあるハラスメントとして回答しています。
具体的にはコップを投げつけられる、手を払いのけられるといったものから蹴られる、叩かれる、つねられるとダイレクトな暴力があります。さらには首を絞める、服を引きちぎるといったケースもあります。
精神的暴力
精神的暴力は61.8%の人が受けたことがあると回答しているハラスメントです。
具体的には大声を発する、怒鳴ると言った声で威嚇するものがあります。また、威圧的な態度で文句を言う、理不尽なサービスの要求などのクレームもあります。さらには土下座の強要や支払料金を床に並べ拾わせるなどの精神的暴力があります。
セクシュアルハラスメント
セクシュアルハラスメントは53.5%の人が受けたことがあるハラスメントとして回答していることが分かっています。具体的には不必要に触る、抱きしめるといったものから、性的な話を持ち出す、卑猥な言動を行う、下半身を丸出しにして見せるという行為があります。
訪問看護で行うべき対策とは?
訪問看護師に対するハラスメントは未然に防がなければなりません。しかし具体的な対策を知らないという管理者もいます。
ここからは、どのような対策が効果的なのか見ていきましょう。
対策内容の公開
ハラスメントや暴力が起こる前に、被害に対しての対策内容を予め公開しておきましょう。
どのような対応を行うのか契約書や重要事項説明書に対応内容を明記し、スタッフだけでなく利用者にも周知しておくことが重要です。
研修の開催
ハラスメントや暴力への対策の知識を持つことは、ハラスメントを受けた際の対応に役立ちます。またスタッフ間で差異なく知識を共有するために、研修を開催することが効果的です。
研修内容には知識の得ることはもちろん、シミュレーションなども行うことができるため、実際のハラスメント発生時の予行練習を行うことも可能です。
複数人で対応
病院やケアマネジャーからの情報を得て、必要があれば2名で訪問看護を行うことも効果的です。
1対1の場面ではハラスメントが起こりやすいですが2人で対応することでハラスメントの予防・被害を抑えることに繋がります。
情報把握
利用者のサマリーなどから得られる情報だけでなく、現在訪問看護師がどの利用者のもとに訪問しているか、訪問時間はどのくらいかなど把握しておくことも大切です。
普段の行動を把握しておくで、異変を察知しやすくなります。
まとめ
訪問看護の場ではハラスメントを受けたことあると回答した人が5割以上いることが分かっています。
どのようなハラスメントを受けたのかといった詳細な情報は、後の対策や対処方法を実施する際に大切な資料となります。
しかし詳細な記録の作成は時間がかかってしまい、業務内容外であるハラスメント行為は人によっては我慢してしまい、記録上はなかったものになってしまうこともあります。
訪問看護に特化した電子カルテ、iBowを利用すればタイムリーに記録をすることができるため、利用者とどのような話をし、どのような言動を受けたのか詳細に記録を残すことができます。
また、ネットワークで他の端末を繋がっているため、ハラスメント発生時、管理者はすぐに詳細な情報を把握することができます。詳細な情報の把握は、次にどのような行動を取ればいいのかにも繋がるためとても重要です。
iBowを利用することで「報告、連絡、相談」の円滑化にもなり、ハラスメントの予防、対処に効果的です。