平成29年に内閣府が行った「高齢者の健康に関する意識調査」によると、60歳以上の人のうち51%の人が「最期を迎えたい場所」を「自宅」と回答してします。
参考)内閣府「高齢者の住宅と生活環境に関する意識(4)」
https://www8.cao.go.jp/つまり多くの高齢者は、最期の療養期間を病院などの医療施設ではなく「住み慣れた自宅で過ごしたい」と考えています。
このような状況を踏まえ、今後自宅での看取りを希望される高齢者は増加することが考えられます。そのため今回は、訪問看護での基本的な看取りの流れについて説明します。
目次
1訪問看護で看取りはできる?
2看取りの看護とは
3看取りの流れ
3-1医療スタッフによる意思決定支援
3-2介護負担軽減のための対応
3-3終末期に向けた看護
3-4患者死亡時の対応
4自宅での看取りに必要なこと
5看取りにも活用できる『iBow』
6まとめ
訪問看護で看取りはできる?
一般的に看取りというと病院で行う印象があると思いますが、訪問看護で看取りを行うことは可能です。近年は自宅での看取りを希望する患者が多いことを踏まえ、厚生労働省では在宅医療の推進を目指しています。
看取りとは、無理な延命処置などを行わずに、最期を迎える期間を安心して過ごしてもらうために見守ることをいいます。看取りでは患者の残された時間を大切にし、本人の意思を尊重した関わりをすることが重要視されています。
患者が自宅での看取りを希望した場合、訪問看護師は最期の時まで基本的な日常生活援助を行います。また基本的な看護だけではなく、患者の不安などの精神的ケアや家族の負担軽減などについても支援します。
状況によっては医師の訪問看護指示書のもと、訪問回数や訪問時間を調整できる場合もあるため、医療チーム内で相談するとよいでしょう。
看取りの看護とは
こうした看取りの看護は、人生の最期を迎えた患者に対して看護を行うことになります。身体的・精神的苦痛を和らげ、患者の意思を尊重した生活を送ることができるように支援していきます。
患者や家族にとって、訪問看護師は医療的知識に基づいた相談相手となります。医療チームとして患者を支えるにあたって、生活支援の中心となり寄り添うことが大切です。
看取り看護とターミナルケアは、医療行為や延命治療を行うかどうかという点で異なります。ターミナルケアは必要な医療や延命治療を行いますが。看取り看護では基本的に延命治療は行わず、日常生活の支援や精神的ケアをメインに行います。
看取りにおける訪問看護師の役割とは、最期が近い患者の不安に寄り添ったり、在宅で穏やかに過ごすためのケアを行ったり、患者家族の介護負担などの精神的サポートを行うことです。
看取りの時期において、患者は様々な悩みや問題を抱えていることが想定されます。身体の痛みや心理的・社会的問題を早期発見し対処することで、患者が安楽な生活を送ることができるように緩和ケアを行います。
患者一人ひとりが抱えている問題は異なるため、身体的な問題ばかりを評価するのではなく、気持ちや家族の状況などもあわせて総合的に判断することが重要です。
看取りの流れ
それでは、訪問看護における看取りの流れについて説明します。
医療スタッフによる意思決定支援
まず医師から患者とその家族へ病状の説明をし、終末期に向かっていくということを伝えます。今後どこで療養するかについても確認し、看取り方法について提示します。
医師からの説明後、看護師は患者と家族の精神的サポートを行いながら意思決定を支援します。意思決定の理由や背景を把握し、必要な情報の提供や課題への支援を検討しましょう。
次に、自宅で最期を迎えることについて患者と家族の意思を確認します。緊急時に延命治療をしないことを説明したうえで事前意思表明書を書いてもらい、今後の医療的行為や療養方法についての希望などを話し合います。
事前意思表明書を書いてもらったら、看護師間で情報共有できるように電子カルテ上で「在宅看取り DNRあり」と記載します。
かかりつけ医に看取りを依頼する場合には、事前に診療情報提供書で情報共有し、いつでも対応してもらえるように連携しておきましょう。事前に連携しておくことで、緊急時もスムーズに対応できます。
患者と家族の意思決定について医師、看護師でカンファレンスを行い、倫理的問題がないかを確認します。
介護負担軽減のための対応
在宅での看取りが決定したら、ケアマネジャーと協働し看取りのための療養環境を整備します。介護に必要な物品や、介護サービスを導入することで家族の負担が軽減し、患者と家族が安心して生活できるように支えます。
終末期に向けた看護
訪問看護では、患者がより良い生活を送るために日常生活の支援を行ったり、患者の死への不安に寄り添ったりします。家族の精神的負担に対しても、傾聴したり必要な医療サービスを提案したりすることで、患者本人との最期の時間を大切に過ごしてもらえるように支援します。
また、患者が生活を安楽に過ごせているかを観察し、苦痛のないように全身状態を確認しケアを行います。死に近づいている兆候が見られた場合には家族や医師へ報告し、最期を安心して迎えることができるように関わりましょう。
患者死亡時の対応
患者が亡くなった時は、訪問看護師は主治医へ患者の状態を報告します。報告を受けた医師は、患者の自宅に訪問し死亡診断を実施し、その後病院で死亡診断書を作成します。訪問看護師はエンゼルケアを行い、家族に患者との時間を大切に過ごしてもらうように声掛けをするとよいでしょう。
自宅での看取りに必要なこと
自宅での看取りは、患者本人の思いを尊重し、家族と最期の時間を一緒に過ごすことができる点が大きなメリットです。その一方で家族の介護負担の増加や、患者が家族に気を遣ってしまうなどの精神的負担があるため、それらの負担を軽減する必要があります。
精神的負担を軽減するうえで重要となるであろう条件は、以下の4つです。
・患者とその家族が「最期を自宅で過ごしたい」という意思があること
・家族や介護サービスにより十分な介護を受けられること
・24時間体制で医療と介護が提供できること
・在宅医や訪問看護などの医療体制が整っていること
2015年に介護保険法が改正されたことにより「在宅医療・介護の連携推進」が制度化され、上記の条件を地域で支援できる仕組みが整備されてきています。
4つの条件の中でも特に重要なのが24時間体制の医療提供です。医師会などとの連携により、在宅診療所や在宅療養支援病院は増加傾向にあります。整った医療体制のもと介護サービスを提供することで、患者の自宅で最期を迎えたいという気持ちを尊重することができるでしょう。
看取りにも活用できる『iBow』
訪問看護専用カルテ『iBow』は、訪問看護師目線で作られた電子カルテシステムです。『iBow』のカスタマイズ機能では看取りケアの項目を作ることができるので、看取りを希望されている患者のカルテに必要なケアや観察項目を追加することができます。
事前にケアの内容や観察項目を設定しておくことで、どの看護師が訪問しても同じ質の看護を提供できる点がメリットです。また、記録が看護師の主観によって異なるのを防ぎ、誰が見てもわかりやすい記録を簡単に作成することができます。
まとめ
今回は訪問看護での看取りの流れについて説明しました。自宅での看取りにおいて訪問看護は、患者の気持ちを尊重し、その人らしい生活を送るために重要な役割を担っています。医師や地域と連携して、患者と家族が安心して最期を迎えることができるようサポートしていきましょう。
『iBow』お役立ち情報では、より質の高い看護を提供するための情報についても発信していますので、ぜひご覧ください。
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