在宅医療が推進され、訪問看護の需要も高まる中、医療・介護業界も人手不足が課題となっています。訪問看護ステーションを経営する中で、希望に合った人材を雇用するため頭を痛めることもあるのではないでしょうか。
そこで利用したいのが「トライアル雇用」です。求職者に一定の試用期間を設ける制度ですが、実際のところ、事業主にとってどのような価値があるのでしょうか。
ここでは、トライアル雇用のメリットデメリット、トライアル雇用助成金制度の要件や申請方法について紹介します。その上で、人材確保につながる働き方についても見直していきましょう。
目次
1.トライアル雇用とは
2.トライアル雇用のメリット・デメリット
3.トライアル雇用助成金の申請方法
4.トライアル雇用の該当者は
5.柔軟な働き方に『iBow』
6.まとめ
トライアル雇用とは
トライアル雇用とは、事業主がハローワークから紹介された求職者に対し、一定期間試しで働いてもらい、その間に採用するかどうかを決める制度です。期間は原則として3か月、採用であれば求職者の合意のもと常用雇用に移行し、採用に到らなければ解雇扱いとすることができます。
この制度は、就業経験が少ない、あるいは就労期間にブランクがあるなど、様々な事情がある人の救済措置として作られたもので、2003年より厚生労働省とハローワークが主体となり雇用機会の創出に取り組んでいます。トライアル雇用を利用して人材を採用した事業主は、助成金を申請・受給することができます。
トライアル雇用のメリットデメリット
トライアル雇用は、事業主、求職者どちらにもメリットデメリットがあります。
事業主にとって、トライアル雇用を活用する目的でありメリットでもあるのが、ミスマッチを防ぐことです。面接時に求職者の専門能力を認め、良い人材と感じても、実際に働いてみると社風に合わない、職場になじまない、といったミスマッチが発生することがあります。しかし一度雇用してしまうと、よほどの理由がない限り解雇することはできません。
それに対しトライアル雇用は、採用が義務ではありません。期間中に働きぶりを見て、適正でないと判断した場合には断ることができます。
一般的に耳にする「試用期間」というものもありますが、これはあくまでも採用を前提としているため一定期間を過ぎると本採用の義務があります。
また、試用期間には助成金制度がありませんが、トライアル雇用は受給できるため、採用コストの削減につながります。
反対にトライアル雇用のデメリットは、人材育成に時間とコストがかかる可能性があることです。この制度は、即戦力を求める採用活動ではなく、働いた経験の少ない人の就業、育児、介護、病気などからの再就業、障がい者などの就労支援が主な目的です。
採用者への業務指導や教育も必要になるため、現場スタッフの業務負担にならないよう受け入れ体制を整えておくことが大切です。
求職者のメリットも、雇用主と同じようにミスマッチを防げることです。実際の業務に携わり、職場の雰囲気を実感し、納得した上で雇用契約を結ぶことができます。また、試用期間を設けることで、働くことに不安を感じている人もチャレンジしやすくなり、スキルも身につきます。
一方デメリットは、トライアル雇用の間は本採用が約束されていないこと、不採用でも職歴として残り、何度も繰り返すと今後の就職活動に影響することなどが考えられます。
トライアル雇用助成金の申請方法
トライアル雇用助成金制度は、一般トライアルコース、障がい者トライアルコースの2種類があり、雇用主も支給対象者も一定の要件を満たしている必要があります。
事業主はハローワークに求人を提出する際、記入項目の中にある「トライアル雇用併用の希望」にチェックを入れておき、求人が見つかったらトライアル雇用を開始します。
トライアル雇用助成金を申請するには、事業主に対して過去に不正受給をしていないこと、すでに雇用が決まっている人を対象にしないこと、過去にトライアル雇用を実施しながらも、実際に採用した対象者が少ない場合は申請ができないなど、26の要件をクリアしなければなりません。
次に、求職者をトライアル雇用として受け入れたら、トライアル開始2週間後から終了期間までの間に「トライアル雇用実施計画書様式」をハローワークへ提出します。
トライアル期間を終了し本採用となった場合、採用した日から2か月以内に「結果報告書兼支給申請様式」を提出します。その後、助成金が支払われます。なお、ハローワークへの提出書類はすべてダウンロードできます。
参考)厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の申請様式ダウンロード」
https://www.mhlw.go.jp/受給額は、一般トライアルコースの場合、支給対象者1人当たり最大で月額4万円、トライアル雇用期間が最長の3か月とすると、受給額は12万円です。
対象者によっても異なり、母子家庭の母、父子家庭の父、また若者雇用促進法に基づき、厚生労働省から認定された事業主が35歳未満の求職者を雇い入れた場合などは、1人当たり最大5万円支給されます。
ただし、トライアル期間中に求職者が離職した、あるいは早めに常用雇用に切り替わったときは、減額の対象になります。休暇や休業があった場合も、日数分が減額されます。
トライアル雇用の該当者は
トライアル雇用を希望する求職者は、年齢などの制限はありませんが1年以上離職している人、2年以内に2回以上転職している人、学校卒業後3年以内に安定した職業についていない人、就業を希望しているがまだ経験のない人など一定の要件を満たしている人が該当します。
一定時間働いている人、学生、自営、他のトライアル雇用をしている人などは対象外です。
柔軟な働き方に『iBow』
厚生労働省が平成24年に発表した看護職員就業者数によると、現職で働く看護職員数は約154万人、潜在看護師が71万人いると報告しています。
参考)厚生労働省「看護職員就業者数」
https://www.mhlw.go.jp/また、大阪労働局が行った潜在看護師に関わる意識調査によると、復職を希望している人は全体の85%で、看護師に復帰しない、あるいはできない理由には「現在の医療技術についていけない」「夜勤ができない」など、ブランクによる不安や育児関連の悩みが多くあげられていました。
参考)大阪労働局「潜在看護師に関わる意識調査」
https://jsite.mhlw.go.jp/訪問看護は基本的に夜勤はなく、緊急連絡のオンコール対応のみで時間外の訪問も多くはありません。トライアル雇用を活用し、復職意欲を持つ潜在看護師にアピールしていくことで、質の高い人材獲得につながる可能性があります。
そのためには、復職の不安を解消する研修や教育制度などの体制作りと、家事・育児が両立できる柔軟な働き方を提供することが重要なポイントになるでしょう。
そんな訪問看護の働き方をサポートするのが、訪問看護専用電子カルテ『iBow』です。日々の看護記録を電子化、記録は選択式となっており、タッチするだけで訪問先や移動中でも簡単に入力できます。使いやすいインターフェースで、過去の記録もすぐに確認できます。
記録はレセプトや各帳票に連動しており、書類作成時間を大幅に削減、作業効率がアップするのでワークライフバランスにも貢献します。
柔軟な働き方や業務改善について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
訪問看護の人手不足は負担が大きいのも要因?システムで現状を解決しよう!
https://www.kaonavi.jp/dictionary/trial-employment/新型コロナウイルス感染症が訪問看護にどう影響しているか?ステーションの継続に ICTを活用しよう!
https://ewellibow.jp/useful/information_2021029/まとめ
トライアル雇用は、仕事のない人の救済措置としてだけでなく、働く意欲のある人の雇用機会を作る就労支援システムでもあります。助成金制度を上手に活用しながら、ミスマッチを防ぎ効率的な採用活動につなげていきましょう。
訪問看護専用電子カルテ『iBow』は、人材マネジメントにも活用できるので、ぜひ検討してみてください。