訪問看護サービスが介護保険で利用できるようになり、20年以上が経ちました。訪問看護サービスの認知度は地域包括ケアを国が推し進めて、一般の方にも広く知られています。
しかし訪問看護サービスと言えば在宅医療で人工呼吸器やインスリン注射など医療依存度の高い方を対象者としているイメージが強くあります。そこで今回はまだあまり知られていない介護予防訪問看護サービスについて、サービス内容や対象者、利用料金などを解説していきます。
目次
1介護予防訪問看護とは
2どのようなサービスが受けられる?
2-1バイタルサインや病状の確認
2-2内服薬の管理
2-3清潔の保持
2-4食事の世話
2-5褥瘡の予防・処置
2-6リハビリテーション
2-7ターミナルケア
2-8認知症患者の看護
2-9家族への介護方法の相談
3介護予防訪問看護の対象者
4利用料金は?
5『iBow』の活用
6まとめ
介護予防訪問看護とは
介護予防訪問看護とは、要介護認定で要支援1または2と認定された方に対して、訪問看護師が自宅や施設などの生活をしてる場へ訪問して看護を提供するものです。
要支援の方は要介護認定を受けた方と比べると必要な支援が違ってきますので、サービス内容も少し変わってきます。看護の役割として、療養上のお世話や診療の補助を行うことに変わりはありませんが、対象者が要支援者のため、心身の状態に合わせて生活の質に重点を置いた看護サービスとなっています。
では介護予防訪問看護とは、どのようなサービスが受けられるのでしょうか。
どのようなサービスが受けられる?
介護予防訪問看護では、次のようなサービスを受けることができます。同じ在宅医療の中でも要介護1~5の方が対象の訪問看護サービスと何が違うのか見ていきましょう。
バイタルサインや病状の確認
バイタルサイン測定は日頃から測定しておくことにより、異常時の早期発見につながります。血圧が高くなってきていたり、不整脈が見られたりと、放置しておくと脳卒中や心筋梗塞につながる兆候を見逃さないために行っています。
要支援の時から身体や持病の変化を早く捉えることで悪化を予防することも可能です。
内服薬の管理
利用者が自分で管理できている(飲み忘れなどがない)状態であれば、確認だけ行うこともあります。
初期の認知症状(MCI)が出てきたりすると内服の飲み忘れが出てきます。そのような場合、大切な薬も飲めていないため体調を崩す可能性も出てきます。
早期発見することで適切な内服や認知症状、日常生活に支障をきたす副作用の出現などを発見することができます。
清潔の保持
身体を拭く、おむつ交換、入浴介助など清潔を保つために必要な援助となります。
自身でできることは行ってもらい、できないところをいかに自身でできるようにするのかが介護予防の訪問看護サービスの役割になってきます。
また高齢者になると抵抗力の低下から普段から常在する菌で感染症を起こすことも増えていきます。清潔を保持するということは健康を守ることにもつながる大切なことです。
食事の世話
買い物や調理は行うことはできませんが、食事量が減っていないか、固いものが残っていないかなどを観察します。また間食をされる場合は、度が過ぎてしまうと身体に変化がある場合もあります。
体重が過度に増えると膝に負担がかかり、歩行もできなくなる可能性もあります。反対に食事をとることができなくなった時には、高カロリーゼリーや高カロリー飲料などを組み合わせると効率よくカロリー摂取ができます。
そうならないように日頃から食事に注目して見ていくことも必要です。
褥瘡の予防・処置
要介護状態の方は自分で寝返りができずに褥瘡(床ずれ)になってしまう方は少なくありません。要支援の方はまだ自分で動くことができるので、あまり褥瘡ができる方はいません。
しかし高齢になるにつれて座っている時間が長くなり、知らないうちにおしりに褥瘡ができることもあります。そのような状況にならないように、予防的な観点として栄養状態や皮膚の観察も介護予防訪問看護サービスで確認していきます。
リハビリテーション
介護予防訪問看護サービスではリハビリテーションも重要な役割の一つです。要支援状態にあるということは介護が必要になる可能性も高いため、リハビリテーションを導入し介護が必要な状態を予防する役割があります。
活動量が低下することにより筋肉が固まってしまいます。そうすることにより腰痛の出現や膝の痛みが出現するなど、さらに活動が制限される悪循環に入ります。リハビリテーションによりとれる痛みもありますので、担当のセラピストと相談しながら進めていきます。
ターミナルケア
ターミナルケアと聞くと要介護状態を想像しますが、中には要支援の状態で日常生活を送られている方もいらっしゃいます。病状が軽くて自覚症状がなくても、要介護認定で要支援が出れば介護予防訪問看護サービスとなります。
認知症患者の看護
要支援の認知症患者はまだ目立った認知症状が見られていないことも多くあります。日常生活の中でできることは自分で行い、脳に刺激が与えられると認知症の進行も遅くなり要介護状態になることを防ぐこともできます。
家族への介護方法の相談
訪問看護師の対象は療養者のみではなく、家族も対象とされています。普段、療養者を見ているのは家族ですから訪問看護がいなくてもいい状態を作っておく必要があります。
そのためには家族へ介護方法の相談を受けた場合には解決方法を一緒に考えることもあります。
介護予防訪問看護の対象者
介護予防訪問看護の対象者は冒頭でも書いたように、要支援1・2の方が対象になります。要支援とは「日常生活上の基本動作がほぼ自立し、状態の維持もしくは改善の可能性が高い」とされている方です。
高齢となっていくにつれて、身体機能の低下は生理的にしかたがないことでしょう。しかし看護師の介入により機能低下の改善や維持ができるようになっていきます。
利用料金は?
訪問看護サービスと介護予防訪問看護サービスでは料金が少し異なります。30分未満のサービスであれば、訪問看護費は470円/円ですが介護予防訪問看護費は450円/回と少し安くなっています。
また介護予防訪問看護費とは別に加算がついてきます。加算とは、決められた要件を満たしてきちんとした体制管理ができているという評価を得られているということです。
利用者は利用料金にプラスして支払わなければなりませんが、その分、緊急時に予定外の訪問をしてもらうことができます。
『iBow』の活用
『iBow』は介護予防訪問看護サービスでも利用することが可能です。その場で記録を記入することもでき、端末へ入力するとステーションのパソコンにも反映されている仕組みになっています。
訪問が終わった後にわざわざステーションへ出向いて入力作業や複写の記録用紙を綴じたり紛失したりすることもありません。分厚くなったカルテや個人情報を持ち歩くこともなく、訪問する看護師の負担が減ります。
まとめ
介護予防訪問看護とは、要支援1または2の方を対象とした訪問看護サービスです。介護予防を目的とした訪問看護のため、異常の早期発見や現在の心身の状態を把握し維持または向上する目的があります。
介護予防訪問看護サービスでは、バイタルサインの測定や病状の観察、清潔の保持、食事の世話、リハビリテーション、褥瘡の予防と処置、ターミナルケア、認知症患者の看護など多機にわたります。
提供するサービスは要介護1~5の方の訪問看護サービスと変わりはありませんが、目的が変わってます。介護予防訪問看護サービスの利用料金(介護予防訪問看護費)は訪問看護サービスの訪問看護費と比べると450円/回と480円/回と1回30円ほどの違いです。
在宅医療はこれからの医療を支える大切な分野です。在宅医療の人材を大切にするために業務の効率化や看護職員の負担軽減を考えている方は、訪問看護専用電子カルテ『iBow』を検討してみてください。