訪問看護において利用者に褥瘡(床ずれ)が認められ、それが真皮を越える状態である場合に特別管理加算を算定できます。
今回は真皮を超える褥瘡の状態について、そして特別管理加算について解説します。
目次
1特別管理加算とは?
2真皮を越える褥瘡とはどのような状態?
2-1NPUAPの場合
2-2DRSIGN-Rの場合
2-3創面の色調による褥瘡分類
3特別管理加算Ⅱの算定要件
4訪問看護における褥瘡評価には『iBow』の活用を
5まとめ
特別管理加算とは?
特別管理加算とは、特別な医療的管理が必要な場合に基本料金に上乗せして請求できる報酬です。
複数の事業所が共同して介入している場合を除き、医療保険制度・介護保険制度どちらを利用していても共通の加算となります。
また特別管理加算にはⅠとⅡがあり、それぞれ料金が異なります。
特別管理加算Ⅰは、特定の利用者に対して月に4回以上訪問看護を行った場合に加算でき、医療保険制度では5000円、介護保険制度では500単位となります。一人の利用者につき複数事業所の算定が可能です。
特定の利用者とは、下記の状態にある人が該当します。
・在宅悪性腫瘍等患者指導管理を受けている状態にある人
・在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある人
・気管カニューレを使用している人
・留置カテーテル(胃管、腎瘻カテーテル、膀胱留置カテーテルなど)を使用している人
一方、特別管理加算Ⅱは、特定の利用者に対して訪問看護の日数に関わらず加算でき、医療保険制度では2500円、介護保険制度では250単位となります。利用者一人につき1ヵ所のみの事業所が算定可能となります。
特別管理加算Ⅱに該当するのは、下記のいずれかを受けている人になります。
・在宅自己腹膜灌流指導管理
・在宅血液透析指導管理
・在宅酸素療法指導管理
・在宅中心静脈栄養指導管理
・在宅成分栄養経管栄養法指導管理
・在宅自己導尿管理
・在宅人工呼吸指導管理
・在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
・在宅自己疼痛管理指導管理
・在宅肺高血圧症患者指導管理
また、下記の人も該当します。
・人工肛門または人口膀胱を造設している状態にある人
・真皮を越える褥瘡状態にある人
・在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している人
一点注意が必要なのは、特別管理加算ⅠとⅡの算定要件の両方に該当する場合は、特別管理加算ⅠとⅡの両方を加算することはできず、Ⅰのみの加算となる点です。
今回の記事では、特別管理加算Ⅱの算定要件となっている「真皮を越える褥瘡状態にあるもの」に焦点を絞って解説していきます。
真皮を越える褥瘡とはどのような状態?
訪問看護においては、褥瘡の有無や深さについて「訪問看護指示書」に記載されます。
一般的に、褥瘡の深さは皮膚のどこにまで達しているかという視点で「NPUAP」あるいは「DESIGN-R」を用いて評価します。
NPUAPの場合
NPUAPでは褥瘡を「ステージ」で段階分けされています。
皮膚は表面から順に表皮、真皮、皮下組織の順に構成されていますので、褥瘡がどこまで達しているかによってステージが区分されます。
各ステージの詳細は下記の通りです。
ステージⅠ:表皮が欠損していない皮膚の変性。持続する色調の変化を認める。
ステージⅡ:部分創損傷で、表皮剥離、水疱、びらん、浅い潰瘍などの表面的な皮膚の損傷を認める。
ステージⅢ:筋膜を越えない皮下組織に至る組織の壊死や損傷、ポケット形成を認める。
ステージⅣ:筋膜・骨・支持組織に及ぶ創傷を認める。
このうち、ステージⅢとⅣが「真皮を越える褥瘡」状態に該当します。
DRSIGN-Rの場合
一方「DRSIGN-R」は、褥瘡の深さ(Depth)・浸出液(Exudate)・大きさ(Size)・炎症/感染(Inflammation/Infection)・肉芽組織(Granulation)・壊死組織(Necrotic tissue)の6項目について、その程度を点数で表し評価します。
ポケットがある場合には最後に「-P」とつけ、深さ以外の項目の合計点で褥瘡の状態を評価するツールです。
褥瘡の重症度が一目でわかるように、重症になるにつれそれぞれの項目の頭文字が小文字から大文字になっていきます。
d0では皮膚損傷・発赤なし、d1は持続する発赤、d2は真皮までの損傷、D3は皮腔下組織までの損傷、D4は皮下組織を越える損傷、D5は関節腔・体腔に至る損傷という評価となり、深さの測定が不可能である場合にはUと評価します。
今回のテーマである「真皮を越える褥瘡」状態に該当するのはD3以降です。
創面の色調による褥瘡分類
また、褥瘡には創面の色調による分類方法もあります。
皮膚壊死が真皮までにとどまる1度と2度を「浅い褥瘡」、真皮を越える3度と4度を「深い褥瘡」としたうえで、「深い褥瘡」は創部の色や浸出液の程度によってさらに黒色期・黄色期・赤色期・白色期の4段階に分けられます。
特別管理加算Ⅱの算定条件
利用者が真皮を越える褥瘡状態にある場合、特別管理加算Ⅱの算定要件は下記の通りです。
・24時間緊急時対応ができる事業所として届け出ていること
・特別な医療的管理に対し訪問看護指示書への記載がされており、訪問看護計画を立て介入を行っていること(訪問看護指示書の褥瘡の深さの項目に記入があること)
・定期的に(週1回以上)褥瘡の評価を行っていること
・褥瘡についての看護介入(部位や実施した処置など)に関して訪問看護記録に記載されていること
褥瘡の評価の際は、日本褥瘡学会が発表した褥瘡評価スケール「DESIGN-R」を用いると、状況がわかりやすく、訪問看護記録にも残しやすいです。
訪問看護における褥瘡評価には『iBow』の活用を
訪問看護専用電子カルテシステム『iBow』は、DESIGN-Rを用いた褥瘡評価が簡単に行えます。
登録された項目に関して該当するものを選ぶだけで点数計算も自動的に行われるため、計算する手間が省け褥瘡の状態を一目で把握することができます。
まとめ
訪問看護の利用者が「真皮を越える褥瘡の状態」にある場合、特別管理加算Ⅱが算定できます。
今回の記事では「真皮を越える褥瘡の状態」の詳細と、特別管理加算Ⅱの算定要件について解説しました。
特別管理加算Ⅱの算定要件である週に1回以上の評価と訪問看護記録への反映を効率的に行うために、『iBow』を活用しましょう。