訪問看護には、疾患や病態、年齢などによって利用回数や利用時間に決まりがあります。
今回の記事では、医療保険・介護保険を利用した訪問看護の場合、そして自費の訪問看護の場合について、対象者や利用回数、利用時間について解説します。
目次
1訪問看護を利用できる回数や時間は決まっている?
2医療保険の場合
2-1医療保険における訪問看護の対象者
2-2医療保険による訪問看護の回数と時間
2-3利用手続きの方法
3介護保険の場合
3-1介護保険における訪問看護の対象者
3-2介護保険による訪問看護の回数と時間
3-3利用手続きの方法
4自費の場合
4-1利用手続きの方法
5まとめ
訪問看護を利用できる回数や時間は決まっている?
訪問看護は、自費の場合を除いて介護保険または医療保険といった公的な制度を利用して受けられるサービスです。
そのため、訪問看護を必要とする利用者に対して平等にサービスを提供することを目的として、利用回数や利用時間には上限が定められています。
訪問看護をどれだけ利用できるかは利用する保険が医療保険であるのか介護保険であるのか、そして利用者の疾患や健康状態等によって異なります。
医療保険の場合
まず、医療保険の場合について解説します。
医療保険における訪問看護の対象者
医療保険における訪問看護の対象者は以下のとおりです。
・40歳未満
・40歳以上65歳未満で、16特定疾病の対象者ではない場合
・40歳以上65歳未満で、介護保険第2号被保険者でない場合
・65歳以上で、要支援・要介護に該当しない場合、介護保険を利用しない場合
・「厚生労働大臣が定める疾病等」「精神科訪問看護が必要」「病状の悪化等により特別訪問看護指示期間にある場合」のいずれかに該当し、要介護あるいは要支援の認定を受けた場合
いずれの場合も、主治医により訪問看護が必要だと判断された利用者が対象となります。
医療保険による訪問看護の回数と時間
医療保険による訪問看護の場合、1回30分~90分の訪問看護を週に3回まで受けられます。
ただし、厚生労働大臣が定める疾病等や特別管理加算の対象者や状態の急性増悪等による特別訪問看護指示期間にある場合には、週に4日以上の訪問看護や1日に2~3回の訪問、1人の利用者に対して複数の訪問看護が可能となります。
医療保険の場合の「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当する疾患等は以下のとおりです。
・末期の悪性腫瘍
・多発性硬化症
・重症筋無力症
・スモン
・筋萎縮性側索硬化症
・脊髄小脳変性症
・ハンチントン病
・進行性筋ジストロフィー症
・パーキンソン病疾患
・多系統萎縮症
・プリオン病
・亜急性硬化性全脳炎
・ライソゾーム病
・副腎白質ジストロフィー
・脊髄性筋委縮症
・球脊髄性萎縮症
・慢性炎症性脱髄性多発神経症
・後天性免疫不全症候群
・脊髄損傷
・人工呼吸器を使用している状態
また、特別管理加算の対象者は次のとおりです。
・在宅悪性腫瘍患者指導管理
・在宅自己腹膜灌流指導管理
・在宅血液透析指導管理
・在宅酸素療法指導管理
・在宅中心静脈栄養法指導管理
・在宅成分栄養経管栄養法指導管理
・在宅自己導尿指導管理
・在宅人工呼吸器指導管理
・在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
・在宅自己疼痛管理指導管理
・在宅肺高血圧症患者指導管理
・気管カニューレ・留置カテーテルを使用している
・人工肛門・人工膀胱を造設している状態
・真皮を越える褥瘡状態にある
・在宅患者訪問看護点滴注射管理指導料を算定している
利用手続きの方法
医療保険における訪問看護の場合の利用手続き方法は、主治医により訪問看護指示書が交付された後、サービス事業者と個別契約を結ぶ流れとなります。
介護保険の場合とは異なり、市区町村への届け出は不要です。
介護保険の場合
続いて、介護保険を利用した訪問看護について解説します。
介護保険における訪問看護の対象者
介護保険における訪問看護の対象者は以下のとおりです。
・65歳以上で要支援・要介護と認定された人
・40歳以上65歳未満で、16特定疾病疾患の対象であり、要支援・要介護と認定された人
16特定疾病疾患は、次のとおりです。
・がん末期
・関節リウマチ
・筋委縮性側索硬化症
・後縦靭帯骨化症
・骨折を伴う骨粗しょう症
・初老期における認知症
・進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症・パーキンソン病
・脊髄小脳変性症
・脊柱管狭窄症
・早老症
・多系統萎縮症
・糖尿病性神経障害・糖尿病性腎・糖尿病性網膜症
・脳血管疾患
・閉塞性動脈硬化症
・慢性閉塞性肺疾患
・両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
介護保険における訪問看護の回数と時間
介護保険における訪問看護の場合利用回数には上限がありませんので、利用者の状態や希望に合わせて回数を決めることが可能です。
しかし、1回の訪問時間には決まりがあり、20分未満、30分未満、30分以上60分未満、60分以上90分未満の4つから選ぶ必要があります。
介護保険を利用した訪問看護の場合、訪問介護など他の介護サービスとの併用するケースも多いため、ケアマネージャーを中心として支給限度額と他のサービスとの兼ね合いをみながら1回あたりの訪問時間を決めていきます。
利用手続きの方法
介護保険を利用した訪問看護の場合、まず利用者あるいはその家族が市区町村に利用を申請します。
その後介護認定調査や判定を経て要介護認定を受け、主治医に訪問看護指示書を交付してもらった後、サービス事業者と個別契約を結ぶという流れとなります。
自費の場合
訪問看護は、医療保険や介護保険といった公的保険制度を利用せず自費で受けることも可能です。
その場合、民間の訪問看護サービス・ステーションを利用することとなります。
自費の場合は年齢や疾患、そして利用回数や時間に一切制限がありませんので、利用者や家族のニーズに合わせたサービスを受けられます。
医療保険や介護保険と組み合わせた利用も可能ですので、最近では保険で足りない部分を自費で補っている利用者もいます。
利用者が自費で訪問看護を利用する場合、サービス料はもちろん利用者が全額負担することとなりますので、どのようなニーズがあるのかを細かく把握し、要望に沿ったサービスを提供する必要があります。
利用手続きの方法
自費の訪問看護の場合、市区町村への申請や主治医による指示書は必要ありません。
利用者あるいはその家族が電話等で事業所に直接依頼し、訪問看護師によるプランニング訪問を通して疾患や病状、容体についての確認や希望の聞き取りを行った後、プライベート看護サービスと個別契約を交わす流れとなります。
まとめ
今回は、訪問看護の利用回数や時間の制限について解説しました。
訪問看護の対象者や訪問回数、時間は、利用する保険の種類、そして疾患や状態によって異なります。
訪問看護ステーション側としては、どの利用者がどの保険を利用した訪問看護であるのか、そして訪問の頻度や時間はどのような設定になっているのかということを把握しておくことが重要です。