看護・介護事業は、個人での開業は基本的にできないため、訪問看護ステーションを立ち上げる場合は法人として会社を設立する必要があります。
独立して訪問看護ステーションを自分自身で創り上げたいと考えていても、手続きが複雑そう、大変そうというイメージがあり、何から手を付けてよいのか分からないという人も多いのではないでしょうか。
法人設立における手続きでは専門家に依頼することも多くありますが、どのような会社にするかは自分自身で決定しなければならないため、設立の仕組みを知っておく必要があります。ここでは、法人設立のメリット・デメリット、会社設立の流れについて紹介します。
目次
1法人設立とは?設立するメリット・デメリット
2会社設立までの流れは?
3必要な手続き・費用は
4法人設立後の流れは?
5パーフェクトコース
6まとめ
法人設立とは?設立するメリット・デメリット
「法人化する」ということは「組織を立ち上げる」こととも言え、仕事や売上、責任の大きさも個人事業よりも大きくなる傾向にあります。特に訪問看護事業を立ち上げるには、法人設立を行い、都道府県の指定を受ける必要があり、ハードルが高いと感じている人もいるでしょう。
しかしながら、法人設立はそのメリットを生かすことによって、リスクを低減しながらビジネスにチャレンジしやすい仕組みにもなっています。そのメリット・デメリットを把握しておきましょう。
法人化のメリットにはまず「信頼性」があげられます。会社を設立し、法人化することによって許認可を得られること、社会的責任も大きくなることなどから、信頼性も高くなる傾向にあります。そのため商取引はもちろん、融資の借入なども個人事業に比べて有利になることが考えられます。
また、節税対策につながる可能性もあります。法人事業では、保険類、制限はあるものの寄付金など、支出のうち経費扱いにできるものが増えるため、所得税率を低く抑えられる可能性があります。
さらに法人では欠損金(赤字)が出た場合、10年間の繰り越しが可能です。例えば1期目は100万円の赤字、2期目に300万円の黒字になったとすると、1期目の100万円が損金として相殺され、200万円×税率となります。
税率も、日本は累進課税の制度をとり入れており、個人事業は収入が高くなると所得税・住民税を合わせ50%を超えることがあります。一方、法人税の税率は30%前後に抑えることが可能です。
ほかにも、資金が1000万円未満の法人では条件次第で最長2期目まで消費税が免除されることなど、税制面でメリットが得られやすくなっています。
一方法人化によるデメリットは、手続きの煩雑さがあげられます。会社設立には定款や登記などが必要になり、訪問看護の場合はさらに業務管理体制の整備やマニュアルの作成などが義務づけられています。
また、健康保険と厚生年金保険に加入する必要があります。保険料は会社が折半することになり、従業員が多ければ多いほど、法人としての支払金額も高くなります。ほかにも設立・運営、場合によっては解散にも費用がかかるため、ある程度の資金が必要になります。
会社設立までの流れは?
それでは、会社を設立するにはどのような手続きを行うのでしょうか。大まかな手順を把握していきましょう。流れとしては以下のようになります。
1設立の内容を決定する
2定款を作成し、認証を受ける
3資本金を払う
4登記書類の作成・申請
5市町村・都道府県に開設前の協議を行う
まずは会社設立のための基本的な情報や方針を決めます。ステーションを開設する目的、商号、所在地、発起人、取締役、資本金の額などのほか、株式会社の場合は発行する株式の数や株式譲渡制限の有無なども決めていきましょう。
次に、定款(ていかん)を作成します。定款は先の手順で決定した会社の基本情報や規則などが記載されたルールブックのようなもので、作成後は公証役場で認証を受ける必要があります。会社の印鑑も必要になるので作成しておきましょう。
資本金(資本金)は発起人または取締役などが払い込みます。出資金は1円からでも可能ですが、銀行の融資を受ける際にも信用を得る大切な要素であり、一般的に100万円〜1,000万円が目安とされています。
訪問看護では、国民健康保険団体連合会(国保連)からの介護報酬がありますが、2ヶ月先になるので、その間の運転資金も確保しておくとよいでしょう。
定款の認証を受けたら、会社設立の登記を行うための書類を作成します。登記申請書は、商業登記法に準拠する必要があり、一般的には司法書士に依頼して作成してもらいます。登記申請書に定款や資本金の払込証明書などを添付し法務局へ提出すると、数週間後に登記完了証を受けとることができます。
会社の設立日は法務局に登記申請を行った日、郵送の場合は書類が法務局に届いた日になります。
そして指定取得の申請手続き前に、市町村または都道府県の介護保険・老人医療の担当者などに面談し、訪問看護ステーションを開設する場所や目的、方針などを説明するための協議を行いましょう。事業を行う都道府県に問い合わせておいてください。
必要な手続き・費用は
会社設立には、手続きにかかる費用が発生します。原則として定款の認証にかかる手数料が5万円、定款の謄本手数料が2,000円、登記にかかる費用(登録免許税)が15万円となっています。収入印紙代が4万円になりますが、電子定款を行う場合は不要になります。
資本金によっても変動がありますが、一般的に合同会社であれば10万円~15万円、株式会社であれば20万円~25万円前後と考えるとよいでしょう。さらに税理士や司法書士に依頼する場合は、代行手数料が別途必要になります。
ほかにもNPO法人、医療法人、一般社団法人などがありますが、活動内容や出資金などにより費用はそれぞれ異なってきます。
法人設立後の流れは?
会社を設立した後にやっておきたいことは、以下のようなものがあります。
1会社の口座開設を行う
2税務署、ハローワークなど各種の手続きを行う
3訪問看護事業の指定を受ける
4運営に必要な書類、設備などの準備をする
会社を設立したら、会社名義の口座を開設しましょう。法人は審査に時間がかかるため、早めに行っておくことをお勧めします。
次に、税務署へ「法人設立届」、「給与支払事務所等の開設」を提出します。「給与支払事務所等の開設」の期限は給与事務所の開設と見なされる日から1ヶ月以内となっています。
税務署では青色申告の承認申請書、源泉徴収の納期特例の承認に関する申請書、棚卸し資産の評価方法の届出書なども必要になります。ほかにも、労働基準監督署、ハローワークへそれぞれ書類を提出しておきましょう。
その後は、事業に必要な設備、機材、車両、事業をサポートするシステムなどを選びます。準備が高額になって融資が必要になる可能性がある場合は、会社名義の銀行口座を開設する前に軽く相談しておくのも1つの方法です。事業の内容や方向性などについて、積極的に話を聞いてくれる金融機関を選ぶようにしましょう。
そのほかにも、賠償責任保険の加入や、事業運営に必要な規程、マニュアルの作成など具体的な運営体制の整備を進めていきましょう。
パーフェクトコース
法人設立までの流れや大まかな概要を説明してきましたが、このように登記申請までに求められる手続きや準備は多く、1人で立ち上げるのは決して簡単ではありません。
そこで訪問看護専用電子カルテ『iBow』では、訪問看護ステーションの新規開業までのサポートを行う「パーフェクトコース」を提供しています。開業までの準備を分かりやすく解説している動画やガイドを用意しているほか、事業に必要な申請書類に活用できるテンプレートも用意しています。
新規開業に必要な知識を身につけることができるので、ぜひ相談してみてください。
まとめ
訪問看護ステーションの設立には様々な準備があり大変ですが、専門家のサポートも受けながら1つ1つ実践していきましょう。ステーション運営を実現する大きな自信にもつながっていきます。
法人設立で最も重要なことは、自分自身がどのような訪問看護ステーションを創り上げたいか、地域や利用者にどのように貢献していくかということです。
訪問看護専用電子カルテ『iBow』では、お役立ち情報ポータルサイト内に経営者向けの項目を設け、経営に役立つ様々な情報を発信していますので、ぜひ参考にしてみてください。