あらゆるビジネスにおいて人材は重要な資源になります。訪問看護業界でも、将来的に労働人口の減少が懸念されるなか、ステーションとして質の高い看護を提供し、長期的な運営を図るためにも人材確保・人材育成は大きな課題です。
実際に、人材育成を行う方法や教育体制づくりに悩んでいる経営者・管理者もいらっしゃると思います。そこで今回は、人材育成の概要と考え方、人材育成の課題と設定するべき目標などについて説明します。また、人材育成の具体的な方法も3つ紹介していきましょう。
1人材育成とは
2人材育成で大切な考え方
3人材育成の課題と目標
4成功する人材育成の方法3選
4-1OJT(On the Job Training)
4-2クリニカルラダー
4-3ケースカンファレンス
5『iBow』の紹介
6まとめ
人材育成とは
人材育成とは、ビジネスにおいては会社を支える人を育てることです。スタッフが会社に貢献できる人材に成長することで、会社の成長や事業継続につながります。
人材育成と類似する言葉に「人材教育」「人材開発」などがあります。人材教育は、事業運営に必要な知識やスキルを与えることで、人材開発はスタッフの潜在能力を引き出し、パフォーマンスを発揮できるように考え方や実践力を身につけてもらうことです。
どちらもスタッフのレベルアップを図るものであり、人材育成の方法のなかに存在する手段と考えることができるでしょう。人材育成を行うことで、スタッフ自身の成長をはじめ、ステーションのチームワーク強化、機能強化、職場環境の改善などの効果も期待できます。
訪問看護での人材育成は、利用者の療養生活とその家族の支援を行う人を育てることです。サービスの質が向上すれば、信頼と高い評価につながり、ステーションの収益や事業規模拡大なども可能になるでしょう。
人材育成で大切な考え方
スキルアップの施策を行う前に、人材育成について大切な考え方を把握しておきましょう。一般的な人材育成の事例に従うだけでは、思い描く訪問看護ステーションが醸成されない可能性があるからです。
ステーションごとに運営状況、風土、スタッフの状態や特徴などが異なります。まずはステーションの現状を軸として、人材育成のために何が必要か、どのような課題があるのかを洗い出します。そしてこれからどのような人材を採用するのか、現在働いているスタッフがどのように育ってほしいか、ビジョンを明確にしましょう。
また、人材育成と一口に言っても、スタッフごとにスキルや得意分野、経験が異なります。
人材育成には、新人育成、中堅の育成、管理職の育成などレベルに合わせた対応が必要です。具体例をあげると、病院看護師から訪問看護師へのキャリアパスや、中堅として一定の専門性を身につけ、他のスタッフを教育できるようにレベルアップする人材育成があります。また、管理職として部下のマネジメントを行うキャリアアップ支援も考えられるでしょう。
近年では、地域医療の促進により、新卒など看護師未経験者の育成・研修などを行う動きも見られます。
そして人材育成で大切なことは、長期的な視野で施策を立てることです。スタッフは知識やスキルを身につけるだけでなく、経験をしながらケア手法や考え方などを磨いていきます。その結果を定期的に評価し、必要に応じて修正していきます。内容によりますが、数ヶ月後、数年後を見据えて取り組みましょう。
人材育成の課題と目標
人材育成についての理解を深めていっても、施策や実践を行うのは難しいと感じる人もいます。考えられる課題をあげてみましょう。
人材育成の課題として多いのが、人材育成が後回しになりがちというケースです。特に訪問看護ステーションは小規模事業が多く、スタッフの人員に余裕がないことがあります。
日々の業務や訪問先の対応で忙しく、また基本的に1人で訪問先を回るため、スタッフとのコミュニケーションが減少し、研修や教育の機会を設けられないといった悩みがあげられるでしょう。
ほかにも、自分で考えて行動する主体性のある人材育成に悩むケースもあります。利用者や家族の意見や悩みに寄り添う適応力、医師や自治体、職場のスタッフに相談しよりよい方向性を導き出す行動力が必要です。
このような現状から、目標設定にあたって以下のポイントを目安にしておくことが大切と考えられます。
・事業・チームの目標を明確に設定する。
・目標に合わせたKPIを設定する。
・期間を設定する。
まずは事業所、チームで目標を明確にします。目標によって人材育成の行動指針や方向性を立て、その目標に合わせたKPIを設定しましょう。KPIとは、目標に向かうプロセスごとの達成度合いを数値化し、計測し、客観的に定量化して評価する考え方の一つです。その評価をもとに人材育成の見直しや改善を行います。
また、目標やプロセスごとに期間を設定しましょう。期日から逆算して人材育成の計画を立て、「後回し」を防止するのです。
成功する人材育成の方法3選
人材育成における考え方や目標設定などを理解したら、実践に移ります。ここでは、人材育成を行うためによく使われている手法を3つ紹介します。
OJT(On the Job Training)
OJTとは、一定の知識やスキルを持った職場の上司や先輩スタッフなど、できる人が実践を通して業務内容を指導する方法です。東京都の「訪問看護OJTマニュアル」によると、小規模なステーションでも取り組みやすいOJTとして「同行訪問」と「評価シート」の活用を促しています。
参考)東京都「訪問看護OJTマニュアル」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/houkan/ojtmanyual.files/OJT-1.pdf同行訪問は人材育成の基準を「新卒」「病院などからの転職」「ブランクのある復職」に分け、実践方法をマニュアル化します。評価シートは、課題や目標を数値化して定期的に評価し、指導する管理者と指導を受けるスタッフの双方が認識を共有できるようにするものです。
クリニカルラダー
クリニカルラダーとは、日本看護協会が2016年に公表した人材教育ツールで、はしご(ラダー)を登るように一段ごとに看護の実践能力を高められるようにしていくシステムのことです。
参考)日本看護協会「看護師のクリニカルラダー」
https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/fukyukeihatsu/ladder.pdf基本的な実践能力を「ニーズを捉える力」「ケアする力」「協働する力」「意思決定を支える力」と定義し、それぞれレベル1~5まで設けています。レベルごとに訪問看護人材の具体的な目標や実践するべき行動などが分かりやすく示されています。
ケースカンファレンス
ケースカンファレンスとは、医師やケアマネージャー、看護師などが集まって、状況や課題の有無を確認し合ったり、サービスが適切に行われているか検証したりするもので、時にはサービス利用者や家族も交えて行われる場合もあるのです。ケアカンファレンス、または事例検討会などと呼ばれています。
現場の状況を明らかにし、多角的な視点での意見、アイデアなどを受けて刺激し合い能力を高める機会となっており、人材育成としても効果が高く、実施率も高いとされています。
『iBow』の紹介
人材育成のマネジメントを行う経営者・管理者の業務効率化をサポートできるのが、訪問看護専用電子カルテ『iBow』です。
『iBow』は、日々の看護記録をはじめ、訪問件数や時間、医療保険・介護保険の人数、ケアの実施状況、スタッフのスケジュールなどさまざまなデータを自動集計し、簡単な操作ですぐに確認することができます。
また、これらのデータを統計・出力することで、利用者の状況、運営状況などの分析などが行えるほか、ステーションやスタッフの課題の洗い出し、目標の設定などに役立てることができます。管理画面は一目で分かるよう見やすくなっているため、確認作業もスFムーズに行え、個別の人材育成も管理しやすくなるでしょう。
まとめ
人材育成の実施は、離職を防ぐためにも大切な要素です。人材育成によって質の高い看護を提供できれば、スタッフのモチベーションアップやキャリアアップ、ワークライフバランスを維持できる働き方にもつながります。
設定した目標を『iBow』を通じて個別に状況を把握したり、すべてのスタッフと共有したりすることが可能です。データ管理やマネジメントにお悩みの方は、ぜひ『iBow』を検討してみてください。
人材マネジメントの詳細については、こちらも参考にしてみましょう。
https://ewellibow.jp/useful/information_20220124/#m5