訪問看護では、医療的ケアや看護ケアにおいて、さまざまな種類の、そして数多くの医療機器や医療材料を使用します。それらの管理方法や請求方法については決まりがあるため、ルールを守ることが重要です。
そこで今回は、訪問看護における衛生材料の管理方法について解説します。
目次
1 訪問看護における衛生材料・特定保険医療材料とは
1-1衛生材料とは
1-2特定保険医療材料とは
2 提供の流れ
3 自費請求できるか否かのルール
3-1療養の給付と直接関係ないサービス等(実費での徴収が認められるもの)
3-2療養の給付と直接関係ないサービス等とはいえないもの(実費での徴収が認められないもの)
4 利用者に自費請求する場合の注意点
5 訪問看護における衛生材料管理には『iBow』!
6 まとめ
訪問看護における衛生材料・特定保険医療材料とは
訪問看護で扱う衛生材料には、主に衛生材料と特定保険医療材料の2種類があります。医療機関・主治医には、在宅療養指導管理料、衛生材料等提供加算を算定している利用者に対しては、必要かつ十分な量の衛生材料または保険医療材料を支給することが義務付けられています。
衛生材料とは
衛生材料とは、医療や介護などで使用される使い捨ての物品のことをいいます。訪問看護でよく使用する衛生材料の例には、ガーゼや脱脂綿、綿球、手袋、滅菌手袋、包帯、サージカルテープ類、褥瘡に使用するパッド、などがあります。
衛生材料にかかる費用は、処方元の医療機関が算定する加算点数に含まれるため、利用者への自費請求はできません。
従来は、医療機関が利用者に必要な衛生材料の種類と量を判断し支給するシステムでしたが、量に過不足が生じる状況を受け、平成26年以降は保険薬局を介した衛生材料の供給が可能となりました。
特定保険医療材料とは
特定保険医療材料とは、技術料として含まれている医療材料代以外に、別で保険請求ができる医療材料または医療機器のことをいいます。具体的には下記のものがあります。
・インスリン製剤等注射用ディスポーザブル注射器
・ホルモン製剤等注射用ディスポーザブル注射器
・腹膜透析液交換セット
・在宅中心静脈栄養輸液セット
・栄養用ディスポーザブルカテーテル(在宅)
・万年筆型注入器用注射針
・携帯型ディスポーザブル注入ポンプ
・気管切開後留置チューブ(在宅)
・膀胱留置用ディスポーザブルカテーテル(在宅)
・ダイアライザー
・吸着型血液浄化器
・皮膚欠損用創傷被覆材
・非固定性シリコンガーゼ
・水循環回路セット
これらも衛生材料と同様、平成26年以降は保険薬局で交付できるようになりました。
提供の流れ
衛生材料や特定保険医療材料は、利用者の状況に合わせて正しく支給される必要があります。
訪問看護ステーションで算定する訪問看護管理療養費の算定要件内にも、「衛生材料を使用している利用者について、療養に必要な衛生材料が適切に使用されているか確認し、療養に支障が生じている場合、必要な量、種類及び大きさ等について訪問看護計画書に記載するとともに、使用実績を訪問看護報告書に記載し、主治医に報告し療養生活を整えること」と定められています。
看護師が作成した訪問看護計画書をもとに、医療機関・主治医が必要な材料の種類や量を決定する仕組みです。
必要な材料が定まれば、医療機関・主治医が利用者に必要な衛生材料・特定保険医療材料について処方せんによる指示を出し、調剤薬局が患者さんへ物品を支給するという流れで行われています。
調剤薬局は、医療機関・主治医に対し衛生材料や特定保険医療材料費用の請求を行います。
自費請求できるか否かのルール
衛生材料などの費用を利用者に自費請求できるか否かは、厚生労働省の「保険医療期間及び保険医療養担当規則」により定められています。具体的には、その物品が「療養の給付と直接関係ないサービス」であるか、「療養の給付と直接関係ないサービス等とはいえないもの」であるかによって異なります。
療養の給付と直接関係ないサービス等(実費での徴収が認められるもの)
実費での徴収が認められるものには、以下のものが該当します。
・日常生活上のサービスに係る費用
(おむつ代、尿取りパット代、腹帯代、T字帯代、病衣貸与代、テレビ代、理髪代、クリーニング代、ゲーム機・パソコンの貸出、CD・DVDプレイヤーの貸出、患者図書館の利用料等)
・公的保険給付とは関係のない文書の発行に係る費用
(証明書代、診療録の開示手数料、外国人患者が自国の保険請求等に必要な診断書等の翻訳料等)
・診療報酬点数表上実費徴収が可能なものとして明記されている費用
(在宅医療に係る交通費、薬剤の容器代)
・医療行為ではあるが治療中の疾病又は負傷に対するものではないものに係る費用
(インフルエンザ等の予防接種、美容形成、ニコチン貼付剤の処方等)
・その他
(保険薬局における患者への調剤した医薬品の持参料、日本語を理解できない患者に対する通訳料、他院より借りたフィルムの返却時の郵送代等)
療養の給付と直接関係ないサービス等とはいえないもの(実費での徴収が認められないもの)
一方、実費での徴収が認められないものは以下のとおりです。
・手技料等に包括されている材料やサービスに係る費用
(シーツ代や冷暖房代等入院環境等に係るもの、材料に係るもの、とろみ剤やフレーバー等サービスに係るもの)
・診療報酬の算定上、回数制限のある検査等を規定回数以上に行った場合の費用
・新築、新医療機器、先進医療に係る費用
(薬機法上の承認前の医薬品・医療機器、適応外使用の医薬品、保険適用となっていない治療法等)
利用者に自費請求する場合の注意点
利用者に実費徴収する際は、医療機関・主治医と利用者双方の同意が必要です。そのため、実費徴収にかかるサービス等の内容とその料金について、利用者や家族にわかりやすく提示し説明する必要があります。
また、利用者やその家族が「ガーゼが足りない」「ディスポ手袋が足りないのでもっと欲しい」などと言ってきた場合にも注意が必要です。原則として、標準的治療を行ううえで利用者にとって適した材料や量を渡すこととなっているため、明らかに量が不足している場合には衛生材料の種類や処置の方法自体を見直す必要があるかもしれません。
ディスポーザブル手袋といった医療処置だけでなくオムツ交換などの日常的なケアにも良く使う物品の場合は、利用者や家族が、物品を支給された目的以外の用途で使用していないかを確認する必要もあります。その場合は、目的外での使用分は利用者や家族で準備してもらいましょう。
訪問看護における衛生材料管理には『iBow』!
訪問看護専用電子カルテシステム『iBow』では、よく使用する自費の項目をマスタメンテに登録しておくことで、入力欄から簡単に選択が可能となります。毎回入力するような交通費などを登録しておくと、記録を簡略化できます。
また登録したマスタは、記録書Ⅱの作成画面にも表示されるため、入力し忘れ防止にもつながります。
まとめ
今回は、訪問看護における衛生材料の管理方法について解説しました。基本的に、衛生材料や特定保険医療材料は利用者への実費請求はできないことを理解しておきましょう。
実費請求できるものは決まっているため、利用者や家族の同意を得てトラブルのないように努めましょう。