一度失った機能を取り戻すために欠かせないのが、リハビリテーション(以後リハビリ)です。理学療法士などの専門家の治療により、失われた機能が再び戻ってくると生活意欲が向上し、生活の質を向上することにつながります。
では訪問看護でのリハビリと病院外来でのリハビリとではなにが違うのでしょうか。今回は訪問看護と外来でのリハビリの違いや併用方法、移行期間について解説していきます。保険制度などを理解したうえで、利用者に説明できるようにしましょう。
1訪問看護のリハビリと外来リハビリの違い
1-1リハビリを行う環境
1-2スケジュール管理
1-3実施する活動量
1-4緊急時の対応
2訪問看護のリハビリと外来リハビリの併用について
2-1医療保険での併用
2-2介護保険と医療保険での併用
3訪問看護リハビリと外来リハビリの移行期間について
3-1移行のための併用可能期間は3カ月間
3-1移行期間の注意点
4『iBow』をリハビリスタッフでも活用!
5まとめ
訪問看護のリハビリと外来リハビリの違い
訪問看護で行われるリハビリと外来で行われるリハビリはどのような点が違うのでしょうか。リハビリを行う環境やスケジュールについて、リハビリの活動量、緊急時の対応方法について見ていきましょう。
リハビリを行う環境
訪問看護で実施する場合と外来で実施する場合とでは環境が全く異なります。訪問看護でのリハビリは、自宅に訪問して看護師または理学療法士、作業療法士によるリハビリです。そのため、実施する場所は自宅となります。
外来で行うリハビリの場合は、主に理学療法士や作業療法士が実施を行います。もちろん外来ですので、患者は病院に来なければリハビリを受けることができません。訪問看護での実施と異なり、自宅にない加重機械を使用するリハビリメニュー作りが可能です。
リハビリを行う環境が訪問看護師や療法士が訪問してリハビリを自宅で行うのか、外来へ通い施設内でリハビリを実施するのかで異なります。
スケジュール管理
訪問看護でのリハビリは、自宅に来る時間と実施する時間があらかじめ決められています。利用者はその時間に合わせてスケジュールを組むため、勝手な変更などはできません。
外来でのリハビリでは、患者が自身の都合に合わせて予約を取り、雨天などの悪条件でも通院しなければなりません。患者が行動を起こさなければリハビリを中断してしまうため、きちんと継続してリハビリに通えるように支援が必要です。
実施する活動量
訪問看護のリハビリは主に自宅の中で行われます。医師の指示があれば屋外でも可能ですが、使用できる器材も限定的です。しかし自宅で行う場合では、マンツーマンでリハビリを行ってもらえるため、ストレッチや自宅での行動を考慮したリハビリを実施できます。
外来でのリハビリは、負荷をかける機械や牽引する器具などさまざまなものを利用できます。特殊な器具を利用するリハビリが必要な場合には外来でのリハビリとなるでしょう。自宅で行うよりも外来でのリハビリの方が活動量は増加し、筋力増強や肺活量の維持などに有効です。
緊急時の対応
リハビリは心肺への負荷をかけることもあります。またリハビリ途中に関節に痛みが出る場合も極稀ですがあるでしょう。このような時に、訪問看護のリハビリと外来でのリハビリとでは対応が異なります。
訪問看護のリハビリの場合、多くの場合が自宅です。異変が起きたらまず受診するところからになります。訪問看護のリハビリを行うスタッフも緊急時の対応を熟知しているとは思いますが、外来よりも対応は物理的に遅くなるでしょう。
外来リハビリではリハビリ室の近くで医師が診療を行っている場合がほとんどです。そのため心停止や急な症状悪化の際にもすぐ対応することができます。また緊急性が低くても、念のため受診して帰ることも可能です。
訪問看護のリハビリと外来リハビリの併用について
訪問看護のリハビリと外来リハビリを併用すれば、都合がよい場合もあると考えられる方もいらっしゃるでしょう。しかし併用するときには厚生労働省が定めている注意点がいくつかあります。保険の関係性と移行期について解説していきます。
医療保険での併用
医療保険でリハビリを行う場合、要介護認定を受けている方は原則利用できません。そのため併用できるのは、小児または40歳未満の方もしくは40歳以上の要介護認定を受けていない方になります。
小児でリハビリが必要な方や40歳未満の場合は介護保険の認定を受けられないため、医療保険でのリハビリは併用可能です。その場合は訪問看護計画書にリハビリの計画が組み込まれていることが条件となります。
介護保険と医療保険での併用
医療保険での併用は可能でしたが、介護保険と医療保険を併用してリハビリを受けることは原則できません。要介護認定を受けている場合は介護保険が優先になるため、介護保険での訪問看護を利用することとなります。
しかし、医師が医療保険でのリハビリを継続的に行う必要があると判断した場合には、医療保険を利用して外来リハビリと医療保険での訪問看護のリハビリを利用が可能です。医師が必要と判断するのは下記のような理由があります。
・外傷性の肩関節腱板損傷
・高次脳機能障害
・厚生労働大臣が定める疾患等(別表7)に該当する場合
・訪問看護特別指示書が発行された場合
・精神科訪問看護指示書に基づく訪問看護 など
訪問看護リハビリと外来リハビリの移行期間について
医療保険を利用したリハビリを特段の理由がない限りは受け続けることはできません。そのため医療保険でのリハビリから介護保険でのリハビリに移行する必要があります。移行期間について見ていきましょう。
移行のための併用可能期間は3カ月間
外来リハビリを受けていたが、他の施設で介護保険によるリハビリを受けるようになった場合、移行期間が設けられています。移行期間内であれば、医療保険と介護保険との併用が可能です。
移行期間は、利用開始日を含む月の翌々月までとなっています。厚生労働はこの期間で介護保険におけるリハビリを併用して実施することで、スムーズな移行ができると考えられています。
参考:「医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項及び医療保険と介護保険の相互に関連する事項等について」の一部改正について
移行期間の注意点
移行期間内であれば、要介護認定を受けていても介護保険と医療保険を併用して利用することが可能です。
利用者にとっては体験期間があることで、リハビリスタッフが変わる不安や自宅でのリハビリ、デイケア、デイサービスなどでのリハビリなど環境が変わることへの不安を取り除くことができます。
しかし移行期間は限りなく併用できるわけではありません。移行期間終了後は介護保険でのリハビリとなります。
移行期間に算定できる疾患別リハビリテーション料は一カ月に7単位までとされています。また介護保険と医療保険の同日訪問は算定できないこととなっているので注意が必要です。
もしも目標設定等支援・管理料が算定されて3カ月以内の場合、下記の条件であれば、医療保険から介護保険でのリハビリへ移行したものとはなりません。
・体験目的での介護保険を利用したリハビリ
・1カ月に5日以内かつ同日訪問ではない
『iBow』をリハビリスタッフでも活用!
訪問看護に特化した電子カルテ『iBow』ですが、実はリハビリスタッフも活用できる機能があります。看護記録のみではなく、リハビリスタッフ用に記録項目を変更することが可能です。
リハビリでは客観的な視点で複数の人が評価を行うため、さまざまな評価基準を使い、利用者の状態をアセスメントします。『iBow』では記録項目をカスタマイズし、さまざまな評価基準でスタッフ間の連携を行うことが可能です。
また月次報告書へリハビリスタッフが作成した内容を別添資料として自動で転記でき、添付することも可能です。看護師だけでなくリハビリスタッフも一緒に評価を統一できるため、より連携を深めることができるでしょう。
まとめ
訪問看護でのリハビリと外来リハでは環境やリハビリメニューの違いから、保険制度上での決まり事などさまざまな点で違いがあります。しっかりと主治医に利用者の状況を報告し、どちらの保険を利用してリハビリを継続していくのか連携する必要があります。
また移行期間で介護保険でのリハビリに移行する場合には、訪問看護師や訪問看護のリハビリスタッフと信頼関係を築いたり利用者の状態を把握する期間となります。スムーズな移行ができるように事業所内でも連携が取れるようにしておきましょう。