訪問看護ステーションだけではなく全業界の経営において、スタッフの定着化は安定経営を行ううえでも重要です。
スタッフの定着率が図れると、組織力・チーム力の向上やフォロー体制の強化が見込め、さらには生産性向上、教育や採用コストの削減につながります。そこで、ここでは訪問看護スタッフの定着率が高いステーションの特徴や定着率をあげる方法などをご紹介します。
また以下の記事も職場環境改善に役立ててください。
働きやすい職場環境に訪問看護専用電子カルテ『iBow』
https://ewellibow.jp/useful/information_20211216/目次
1訪問看護におけるスタッフの定着率の状況
2スタッフが定着化している訪問看護ステーションの特徴
3訪問看護スタッフの定着化に必要なこと
3-1スタッフ定着化を行う目的を理解する
3-2メンター制度で成長をフォローする
3-3スキルアップ・キャリアアップができる環境を整備する
3-4プライベートと仕事が両立できる環境をつくる
3-5システム導入で業務効率化を図る
まとめ
訪問看護におけるスタッフの定着率の状況
まずは看護師全体の定着率についてみていきましょう。以下は公益社団法人日本看護協会(以下、日本看護協会)から毎年発表される離職率をもとに定着率を算出して、2019年から4年間の推移をまとめた表です。
※従業員定着率の計算方法は、100(%)―離職率です。
| 調査年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
| 正規雇用者 | 89.3% | 88.5% | 89.4% | 88.4% |
| 新卒採用者 | 92.2% | 91.4% | 91.8% | 89.7% |
| 既卒採用者 | 82.3% | 83.6% | 85.1% | 83.2% |
※参考)日本看護協会「2019年病院看護実態調査」結果※参考)日本看護協会「2020年病院看護実態調査」結果※参考)日本看護協会「2021年病院看護実態調査」結果※参考)日本看護協会「2022年病院看護実態調査」結果一方、訪問看護師の定着率データに関しては、日本看護協会が発表する2011年版が最新であり、そのデータから算出すると定着率の平均は85.0%です。時期は異なりますが、2019年〜2022年調査結果における正規雇用看護師全体の定着率よりも、訪問看護師は定着率が低いといえるでしょう。
※参考)日本看護協会「訪問看護の伸び悩みに関するデータ」スタッフが定着化している訪問看護ステーションの特徴
では一体どのような訪問看護ステーションであればスタッフの定着化を図れるのでしょうか。定着率の低い訪問看護スタッフを長く就業させるための適した職場環境を調査した研究によると、以下の通りです。
■仕事が継続しやすい職場環境
・療養者のケアについて話し合う機会と時間のあるステーションである
・家庭の事情により生じる事態に対して柔軟な勤務対応をしている
・ステーション管理者は相談しやすい存在である
■就業しやすい職場環境
・療養者のケアについて話し合う機会と時間がある
・ステーション管理者は相談しやすい
※参考)訪問看護師が働き続けられる職場環境要因の検討訪問看護師は1人で現場に行く機会が多く、スタッフメンバーや管理者としっかり話し合えるステーションがスタッフの定着化に成功しているといえるでしょう。利用者に良い環境を提供するためのコミュニケーションがあるのか、わからないときに相談できる環境があるのかなどを今一度、見直してください。
訪問看護スタッフの定着化に必要なこと
では人材定着のためには何が必要になるのでしょうか。ここでは、定着率の高い会社の事例を参考に、訪問看護スタッフの定着化に必要なことを5つご紹介します。実践可能な項目から進めてください。
3-1スタッフ定着化を行う目的を理解する
何事に取り組むためにもまず、目的を理解して行動します。スタッフ定着化を図る目的でよく挙げられるのは、チーム力の向上やフォロー体制の強化、生産性向上、教育や採用コストの削減です。
・チーム力の向上
1人の利用者に対して複数のスタッフが関わる場合が多い訪問看護業務において、スタッフ間のスムーズな連携はより良い訪問看護提供にもつながります。
またスタッフ間だけではなく介護士や療法士といった多職種と連携をとる場面も多く、利用者のQOL向上にもチーム力は欠かせません。スタッフ同士が良い影響を与え合い、チーム力を強化していきましょう。
・フォロー体制の強化
何かあったときに相談しにくい環境だと特に新人スタッフが辞めやすく、人材育成のための人材確保もできずに離職率が高まってしまいます。
現場中に相談できる環境や職場外で相談ができる環境、先輩や上司に仕事はもちろんプライベートも相談しやすい環境を提供すると良いでしょう。管理職やリーダーがいるだけで、新人スタッフの教育や定着化も容易になり、経営状況も安定します。
・生産性向上
新人スタッフは経験者採用の場合でも職場によって異なるルールを覚えたり、スタッフ間同士の信頼関係をつくったりなど新職場に慣れるまで時間がかかります。
そのうえ新卒の場合は社会人としての教育や専門家としての教育に時間がかかり、どうしても時間あたりの生産性はベテランスタッフの方が高くなるのです。そのため、スタッフの定着率があがると生産性向上につながります。
・教育や採用コストの削減
入職研修や新人教育、採用戦略考案、事務作業、面接や採用活動などには時間とコストがかかります。長く働いてくれるスタッフが多ければ多いほど、無駄な教育や採用が発生せずにスムーズに経営可能です。
3-2メンター制度で成長をフォローする
訪問看護現場を重ねれば重ねるほど、マニュアルにない対応が求められたり、難しい利用者を担当しなければならなかったりする場合もあります。仕事の内容はもちろん、人間関係の築き方や精神的負担ものしかかってくるでしょう。
そんなときに先輩もしくは上司によるメンター制度があると、相談しやすく辛いときの支えになり、お手本として今後のキャリア形成を見通せます。また業務以外におけるプライベートの問題を話せる関係性をつくれると効果的ともいわれています。
3-3スキルアップ・キャリアアップができる環境を整備する
現場での仕事が慣れてくると、さらにスキルアップやキャリアアップについて考える方も増えてきます。タイミングよく訪問看護スタッフが活躍できるチャンスを提供できると、定着する理由にもなるでしょう。
実際に訪問看護ステーションにおける人材確保・定着に関する実態調査報告書によると訪問看護ステーションで効果があった定着対策上位には、以下の理由が挙げられています。
・訪問看護業務の改善
・研修体制の確立
・研修体制の充実
※参考)訪問看護ステーションにおける人材確保・定着に関する実態調査報告書定着率向上させる施策例として、社内における学習機会の創設や外部研修への参加でスキルアップができる環境の提供やキャリアパスを提示する機会を年1回はつくる、外部マネジメント研修に参加するといったキャリアアップできる環境の提供などが挙げられます。
3-4プライベートと仕事が両立できる環境をつくる
訪問看護ステーションにおける人材確保・定着に関する実態調査報告書によると、訪問看護師の退職理由上位には以下の理由が挙げられています。
・妊娠、出産
・転居
・その他の勤務先希望
また一般的な企業でも定着化が図れない原因のなかに以下が挙げられています。
・住宅手当や家族手当がない
・休日の希望が通らない
・休みがそもそも少ない
・有給が取得しにくい
※参考)訪問看護ステーションにおける人材確保・定着に関する実態調査報告書以上より、プライベートと仕事が両立できる職場が求められているといえるでしょう。定着率向上させる施策例として、自己啓発の支援金、各種手当、退職金を準備する、有休取得を時間単位で可能にする、有休が取りやすい環境にするなどの対策が挙げられます。
福利厚生を整えるには時間がかかりますが、現職員に改善して欲しいポイントを聞き出し、できる体制から整備していきましょう。
3-5システム導入で業務効率化を図る
少人数規模が多い訪問看護ステーションだからこそ、システム導入できる部分を自動化すると捻出した時間を利用者に当てて利用者満足度向上につなげられたり、スタッフ間や先輩・上司とコミュニケーションする時間をとり従業員満足度向上につなげられたりします。
たとえば訪問看護専用電子カルテ『iBow』を導入すると、過去の訪問状況や服薬履歴、対応履歴といった利用者情報をまとめられてスタッフ間の連携がスムーズにとれます。また今後の利用者満足度を高めるための計画立案もしやすくなり、スタッフが主体性を持って従事し成長実感を感じられるようになるでしょう。
さらに一見難しそうに見える訪問看護のテレワークも、訪問看護専用電子カルテ『iBow』の導入で実現可能です。勤務中に中抜けの時間で保育園のお迎えにいく、介護や家事をする時間を捻出できると、ライフワークバランスの充実につながりスタッフ定着化も期待できます。
まとめ
スタッフの定着化を課題とされる経営者の方は多くいらっしゃります。今回はスタッフが離れてしまう原因や対策をいくつかご紹介したので、それぞれの訪問看護ステーションにあった方法を見つけて実践してください。
自動化できる部分は訪問看護専用電子カルテ『iBow』を活用しながら、スタッフは人がやるべきことに集中できる環境をつくり、仕事とプライベートが無理なく両立できる職場づくりで経営基盤を安定させましょう。