訪問看護での自立支援医療の利用とレセプト請求の効率化について
自立支援医療とは、心身の障がいを治療するために必要な医療費の負担を軽減する公費負担医療制度です。経済的な負担を軽減し、治療に専念しやすくすることが主な目的です。またこの制度は病院や診療所への通院だけでなく、訪問看護を利用している方も対象となります。
日本の医療保険制度は非常に充実しており、医療保険に加入することで医療費を軽減できます。しかし心身の障がいのある利用者は、それらの状態を改善するために長期間の治療が必要になります。そのため利用者のなかには、治療費の負担に対して不安を抱えている方もいるでしょう。
この制度を利用することで自己負担を軽減できるため、サービスを提供する側としてしっかりと理解しておく必要があります。また利用者への情報提供として説明することもあるかもしれません。
この記事では、自立支援制度の内容についてお伝えします。
目次
1自立支援医療制度の3つの種類と利用方法
1-1精神通院医療
1-2更生医療
1-3育成医療
2医療支援制度の負担限度額
3自立医療支援制度の注意点
4訪問看護におけるレセプト請求の現状と電子化によるメリット
5まとめ
自立支援医療制度の3つの種類と利用方法
自立支援医療には3種類あります。従来の更生医療、育成医療、精神通院医療が自立支援医療という名前に一本化されました。
①精神通院医療
精神保健福祉法第5条に規定する精神疾患がある方で、精神科の病院または診療所に通院することを目的とした医療制度です。外来通院だけでなく、デイ・ケア、訪問看護の利用も対象となります。訪問看護は、本人の契約と主治医の指示書の記載があれば利用できます。
②更生医療
身体障害者福祉法第4条に規定する18歳以上の身体障害者手帳を所持する方で、永続する障がいに対し、その障がいを除去・軽減する手術等の治療を目的とした医療制度です。主な例として、白内障手術、角膜移植、関節・心臓手術、心臓移植、人工透析、腎移植、象徴機能障害に対する中心静脈栄養法等があります。
③育成医療
児童福祉法第4条第2項に規定する18歳未満の障がいのある児童で、永続する障がいに対し、その障がいを除去・軽減する手術等の治療を目的とした医療です。更生医療と似ていますが、身体障害者手帳は必要ありません。
制度を利用するには、住所地を管轄する市区町村役場窓口へ申請し、必要書類を提出します。審査後「自立支援医療受給者証」と「自己負担額管理票」が届き、それらを医療機関へ提出することで制度を利用できます。申請者は本人以外に、家族・友人・医療ソーシャルワーカー等の代行申請も可能です。有効期限は最大1年間で、毎年更新手続きが必要です。
更新の申請は、有効期限終了の3カ月前から受付が開始します。相談から自立支援医療受給者証が届くまで1カ月以上かかるのが普通です。病態や治療方針の変更がなければ、2回に1回医師の診断書を省略できます。必要書類は以下の通りです。なお、必要書類は担当する課により異なる場合があります。
・自立支援医療雌雄認定申請書(市町村窓口等で入手可)
・診断書(通院している病院・診療所の医師が記入)
・健康保険証
・身元確認ができる書類(個人番号カード等)
・世帯所得の状況が確認できる資料(区市町村課税証明書・非課税証明書等。市町村で入手可)
自立医療支援制度の負担限度額
通常、公的医療保険の負担は3割ですが、制度を利用することで原則1割に軽減されます。さらに世帯所得による区分が設けられており、所得が一定未満の方は、月あたりの自己負担額の上限が設定されます。
そのため上限を超えた医療費は公費負担され、自己負担の軽減につながります。上限は、月0円、2500円・5000円・10000円・20000円まで、上限なし(医療保険の自己負担額制度が適応)です。
また統合失調症等、医療費が高額な治療を長期間に渡り続ける方は、「重度かつ継続」という区分が適用され、別枠で自己負担額の上限が設定されます。対象者は以下の通りです。
・直近の12カ月に、国民保険等公的医療保険の「高額医療費」の支給を3回以上受けた方
・①~⑤の精神疾患の方
①症状性を含む器質性精神障害(高次機能障害、認知症等)
②精神作用物質使用による精神および行動障害(アルコール依存症、薬物依存症等)
③統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害
④気分障害(うつ病、躁うつ病等)
⑤てんかん
上記以外でも以下のもので、症状・経過によっては適用となります。
・不安障害(不安神経症)
・摂食障害(過食症・拒食症)
自立医療支援制度の注意点
精神疾患は、すべて自立支援医療が適用されず、主治医が「精神科医療の長期間継続が必要」と判断した方に限られます。精神通院医療対象の方の骨折や便秘等、自立支援医療と関係のない治療に自立医療支援制度は適用されません。
ただし、精神科の内服薬による副作用で起こる便秘の場合、それらを改善するための内服薬の投薬は医師の判断に委ねられますが、適用になる場合もあります。なお、入院による治療により発生した入院費や、医療保険が対象とならない治療には適用となりません。
通院治療をする際は、指定された医療機関のみ利用できます。つまりどこの病院でも治療できるわけではありません。訪問看護で指定自立支援医療機関の指定を受けるには、都道府県知事に対して所定の手続きを行う必要があります。
訪問看護におけるレセプト請求の現状と電子化によるメリット
厚生労働省保険局医療介護連携政策課 保険データ企画室の調査によると、令和2年12月3日現在、訪問看護療養費のレセプト総件数は平成12年度で535,110件に対し、令和元年度では3,609,465件と約7倍にまで増加しています。これは1施設当たり約3倍弱まで伸びている計算です。今後高齢化の進展や訪問看護の多様化にともない、さらなる増加が見込まれます。
参考)2020年 厚生労働省「訪問看護のオンライン請求について 厚生労働省保険局医療介護連携政策課保険データ企画室」
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000700979.pdfしかし訪問看護の利用者に応じた算定のレセプト請求を正確に行うのは難しく、業務時間外までかかることもあります。そこで訪問看護専⽤の電子カルテの導入をおすすめします。
訪問看護専用の電子カルテは、電子カルテ内に訪問看護業務の流れを入力するだけで、データが整理され毎月のレセプトが作成されます。そのため「記録書と実績の突合」「予実管理」「指示書確認」「保険書確認」の業務がなくなり、多重の確認作業を大きく削減でき業務負担を軽減できます。さらにパソコンによるチェックを行うことで、請求漏れを防ぐこともできます。
まとめ
自立支援医療制度を利用することで、医療費の自己負担を大幅に軽減できる可能性があります。そのためには、市区町村の窓口への申請が必要です。また訪問看護で制度を利用するには、指定医療機関の申請が必要です。
今後、訪問看護では高齢化や要介護者の増加にともない業務が多様化し、多重業務によりレセプト請求が負担になるでしょう。電子カルテを導入することで、これらの負担を軽減できる可能性があります。
訪問看護の業務負担軽減を目的に開発された訪問看護電子カルテ「iBow(アイボウ)」は、訪問看護業務を実施入力するだけで訪問実績が反映されたり毎月のレセプトを作成できたり等、確認業務作業を大幅に軽減できます。またiBowにはカスタマーサポート制度があり、訪問看護に関するシステムや加算等のさまざまな制度の疑問を相談できます。
iBowを導入すれば訪問看護業務に専念でき、よりよい看護の提供へつながるでしょう。ぜひ一度導入を検討してみてはいかがでしょうか?